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地域から政治を考える

統一地方選挙の結果を受けて

維新の躍進という苦境
どのように跳ね返せるか


 統一地方選挙の前半戦、後半戦を振り返ってみると、いずれも私たちの仲間の候補者は当選したので、それはそれでよかったのですが、全体として大阪では維新の会の圧勝という結果になりました。なんでそうなるのか、私にとっては理解がしがたい結果となってしまいました。

 前半戦には大阪府知事と大阪市長のダブル選挙がありました。私たちの大方の予想に反して、いずれも反維新候補は大敗しました。反維新候補は自民・公明から共産党までを含めて支持したにもかかわらず、出口調査によると、自民は支持層の半分が、共産党支持層でも3割が維新を支持する事態になり、さらに無党派層の多数が維新の候補を支持しました。

 同時に行われた府議選では、どの選挙区でも維新の候補が50%近くを得票し、その残りを自・公が争い、それ以外が議席を獲得する余地は非常に少なかったようです。共産党は2議席にとどまり、立憲はかろうじて高槻島本選挙区で一議席を獲得。全88議席中、維新が51議席と過半数の議席を獲得しました。自・公はそれぞれ15議席で、維新にはまったく及びませんでした。

 大阪市議会選挙でも、維新は40議席と、過半数には届かないものの議席を積み増しする一方、自・公は選挙前よりも議席を減らしました。ほかは共産党の4議席のみで、他の政党は1議席も獲得できませんでした。

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 さらに統一地方選の後半戦と同時に行われた衆議院補選の大阪12区でも、維新の新人が大差で自民の後継候補を破りました。共産党は現職の衆院議員が無所属となり、野党統一候補として臨んだものの、得票率はわずか8.9%で、前回の本選挙よりも得票率を落としています。旧民進党で12区を地盤としていた候補も無所属で出馬しており、その影響があったのは確かですが、仮に2人の票数を合わせても維新の候補に勝てなかったのが実情です。

 府下の市議会選挙でも、ほとんどのところで維新が40%近い得票を獲得し、複数が上位当選を決めました。

 維新は今回、大阪府知事と大阪市長が入れ替わるクロス選挙という奇策に打って出たにもかかわらず、圧倒的な支持をもぎ取りました。むしろ完全に勢いを取り戻したと言えるでしょう。彼らにとって、以前の住民投票で否決された都構想を再び生き返らせる道が開かれたことは間違いありません。

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 大阪維新の会の圧倒的な強さの根源はどこにあるのか、共産党支持層の一部までも維新に流れるという事態の背景には何があるのか――。

 未だはっきりとした理由は掴めませんが、少なくとも次の2点を指摘することはできるでしょう。まず、大阪の人々にとって維新は自分たち大阪の利害を代表する政治勢力として受けとられていること。また、それとの関連で、維新は既成の政治党派に代わる改革勢力と捉えられていること。この点では、国政で自公に対峙している野党もまた、保守的な勢力として映っているように思われます。

 大阪12区補選の結果から、夏の参議院選挙に向けて、野党は政党の数合わせだけでは勝てないという事態が明らかになりました。そもそも、全国的に見れば野党の候補が統一されていないところも多く、その意味でも勝利は非常に困難な状況にあると言わざるを得ません。

 こんな状況の中、一部で噂されるように、消費増税の延期を口実にして衆参同時選挙でもやられた日には、安倍政権の打倒どころか与党の過半数議席を止めることもできないでしょう。

 現在の状況を乗り越えるために必要なのは、各地域の市民運動が地域における改革の実践を積み重ね、それによって野党と市民の共闘を主導し、統一候補をつくりだしていくことでしょう。私もあきらめずに可能性を模索していきたいと思います。

                                            (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)


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