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地域から政治を考える

ピースマーケットのせ2018
能勢から世界へ、平和への想いが広がるように



 世界では、南北首脳会談があり、朝米首脳会談も行われるという流れが生まれ、東アジアが戦争の危機から平和へと向かうのか、注目を集めています。しかし、日本はその流れの蚊帳の外で、相変わらず国民に嘘をつきつづけ、次から次に出てくる醜聞に、改憲どころではなくなっています。

 そんな状況の中、今年も能勢で「ピースマーケットのせ」を開催しました。3回目になります。

 恒例となったイベントの最後で、みんなで「ピースマーケット音頭」を踊りました。「♪核抑止力より仲良くし力~」ではじまる音頭を出演者、出店者、来訪者、高校生たちまで、一緒に踊りました。個性的な参加者たちの声が一体となって、晴天の能勢の空に響きました。核抑止力がほしい北朝鮮とそれを持たせないために核攻撃の脅しをかける米国の緊張から、「仲良くし力」で朝鮮半島にも東アジア全体にも平和が訪れることを祈って、楽しく踊りました。

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 このイベント開催のきっかけになったのは、能勢に暮らしていた94 歳の戦争体験者、清洲辰也さんの平和への思いでした。それを形にできないか。より多くの人に平和の重要性を言葉ではなく、実感として伝えていけるようなものはできないか。清洲さんをサポートしていた人たちを紹介してもらい、これまで能勢で一緒にやっていた人たちとともに、ピースマーケットをやることになりました。私自身も、声高に反戦や平和を叫んでも人々の共感を得ることが少ないことを感じていましたし、違う方法でのアプローチをやってみようと考えました。

 「護憲」や「平和」という言葉までが、行政から“偏っている” と言われる状況で、「ピース」という言葉を許容範囲ギリギリとして能勢町の後援も受けられるようになりました。高校と高校生の協力を得ようとしたら、当初はイベントの名称に抵抗を示され、“多文化共生とかなら”と言われたこともありました。結局、昨年から能勢高校の生徒たちも参加できるようになりました。これは非常にうれしいことでした。

 もう一つ、平和を実現する実践としての多文化の交流ができる場として、アラブや東南アジアなどの文化的な要素を組み入れてきました。日本に在住する外国の人々、その文化に触れることは、平和・共生の道を開くものになるからです。食べたり、話したり、見たり、聞いたりすることを通じて触れ合う場となることを目指してきました。今年は、シリアの人たちが来ることができなかったりしましたが、いろんな国の食や文化に触れ合える場にできたのではと思っています。

 もう一つ考えていたのは、それを次の世代に伝えていくことです。子供たちが来て楽しむのは、重要な要素としてあります。楽しみながら、平和を感じていくことができればと思っています。うれしいことに、今回も家族づれの方々がたくさん来訪されました。

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 さまざまな個性や、思いが結び合い、お仕着せではない関係性をつくっていくように。実行委員会自身が、実行委員のそれぞれの思いや個性が生かされるものとして、多様な表現、多様な思いが、生かされるようにと考えてきました。
 おおよそ1000 人くらいの人たちが、この交通の便の悪い能勢に集まりました。その人々が自分の生活の場に帰り、ここで実感したことが広がっていくことを願っています。能勢から世界へ。

ピースマーケット
  ■「ピースマーケット音頭」で踊ろう!
                         (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)


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