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地域から政治を考える

安倍「改憲意思表明」を受けて
2018年、決意を新たに改憲阻止へ



 1月7日、「堺からのアピール」が主催する「総選挙を振り返り、市民が主体の政治をめざす」新年の集会が開催され、24日には、「MINIT's9」の新年のつどいが開催された。その両方に参加した。

 堺からのアピールは昨年の衆院総選挙で大阪16区と17区での野党統一候補の実現に取り組んみ、立憲民主党の森山ひろゆきさんを統一候補としてたたかった。私は堺に実家があることもあって賛同人になっていたが、集会に参加するのは今回がはじめてだった。

 「MINIT's9」も、昨年の衆院総選挙で大阪9区に社民党の服部良一さんを統一候補としてたたかった。結果は、森山さんは小選挙区では負けたが比例で復活、服部さんは小選挙区で敗北し、比例復活もかなわなかった。

 いずれもの集会でも市民と野党の共同の有効性が確認され、継続していくことになった。ただし振り返ると、とくに9区では、統一候補が決まるのが衆院解散の直前で、市民運動の動きも遅かった。その結果、政党間の調整が優先する形で統一候補が決まることになった。

 一方、堺の場合は当初から統一候補として森山さんを決めていた。民進党の希望の党への身売りというアクシデントはあったものの、森山さんが立憲民主党から出馬することを決断し、混乱を乗り越えた。

 9区にも当初は民進党の立候補予定者がおり、同じアクシデントに見舞われた。しかし、結局9区では出馬をあきらめることになり、しかも民進党の勢力は自主投票となった。その結果、社民党と共産党の協議によって統一候補が決まることになった。市民運動の側は民進党へ働きかけを行ったが、事態は動かなかった。

 それでは、自民、維新の候補に勝つことができないことは明らかだった。選挙結果でも、9区の比例票を見た場合、立憲民主党、希望の党に投票した人を含めると、野党候補は維新の候補を上回っていた。

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 「MINIT's9」の集会で、講師の富田宏治さん(関西学院大学、政治学)は1000万人から2000万人の棄権層が存在し、その棄権層の中に支持を広げる陣地戦の重要性を話された。衆議院選挙の比例の得票数をみると与野党が伯仲しており、棄権層をどうとりこむかによって勝敗が決まってくることは明らかだという。『安倍9条改憲NO! 全国市民アクション』の呼びかけによる3000万人署名運動は、そうした棄権層に向き合う武器として、空中戦ではなく陣地戦として取り組む必要であると強調された。

 「MINIT's9」には政党代表の一人として服部良一さんも参加され、統一候補を選ぶプロセスから市民の参加が必要だと言われた。服部さん自身、政党間の調整によって「落下傘候補」となってしまったことへの反省があったものと思われる。市民運動の側としても、いろいろ厳しい状況があったことはたしかだが、結果として自分たちが選びとった候補者を実現できなかった点は反省すべきだろう。

 3000万人署名のプロセスの中では、この失敗を繰り返すことなく、市民が受け身ではなく主体として取り組むものにしていくことが重要だと思った。

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 「堺からのアピール」の集会で講演した『新聞うずみ火』の矢野宏さんは、次の衆議院選挙までに安倍政権を退陣させるチャンスは、改憲をめぐる国民投票しかないと語っていた。国民投票で改憲案が否決されれば、安倍さんは退陣せざるを得ないからだ。その意味でも、署名活動を通して国民投票で「改憲反対」を過半数にしていくことが必要だ。

 安倍さんは念頭改憲で、「改憲を実現する時にきた」と決意を述べていた。私たちも決意をあらたに、市民と野党の共闘を発展させ、3000万人署名に取り組みたい。

                                         (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)




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