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市民環境研究所から

まやかしと愚弄の台風は去った
衆院総選挙が終わって



 10月に入ってからも、清々しい秋の気配の青空を見ないままに衆議院選挙に入り、強烈な台風21号の襲来の投票日となった。この国の汚れ切った政界とそれを批判しない大衆社会をきっちり洗い流して、台風が持ち去ってくれるのを期待していたが、神風はもっと汚れた社会を露わに見せるように大地の表面を水洗しただけである。今年は清々しい秋空を見ることなく真冬に入るのだろうか。

 改憲勢力の自民党と公明党で衆議院の議席3分の2が占められた。その上に、自民党の補完物でしかない希望の党などというまやかし政党がいる。「しがらみのない政党政治を」と言うだけの小池と希望の党に、いつかは自民党よりも右の位置に座ろうとしている前原が、選挙民を愚弄するように、民進党全員の身売りを強行した。選挙民を騙すのが政治家なのだろうか。党首らしきことをなにもしないで、民進党を投げ捨てた。

 捨てられたにもかかわらず、喜んで希望の党に出向いた情けない議員が京都には3人も居る。泉、北神と山井であり、投げ捨てた前原は無所属で出馬するという。どんな屁理屈をつけても説明ができないだろう。選挙結果を見ると、前原と泉は当選し、北神と山井は選挙区では落選した。

 福島原発崩壊と大量の難民を出した2011年以降、こんな原発悲劇の再発を防ぎ、原発ゼロ社会を実現するためには、いままでの経緯をとやかく言うのを止め、京都では「オール京都」を合い言葉にバイバイ原発京都集会を毎年開催してきた。毎年3・11前後に円山音楽堂に集まり、デモを展開してきた。呼びかけ人は集会場の壇上に座らされる。そんな目立つ席は嫌だと言ったが認められずに座った最初の壇上で、隣に居た共産党系の活動家から、「こんなふうに並んで座る日がくるとは思いもしなかった」と声かけられた。まったく同感である。

 それから6年の間に、戦争法や共謀罪の悪法を安倍内閣が強行成立させた。戦争法強行採決日の19日には毎月、京大近くの百万遍交差点から市役所まで、いろんな人が集まって「左京みんなの行進」があり、筆者も参加している。そのほかにも、毎週金曜日には関西電力京都支店の前で原発廃炉を訴える、通称「キンカン行動」があり、こちらも時々参加している。原発ゼロには、所属党派や団体の違いは関係ないと思って参加している人々がいる。

 それなのに、国会議員で円山集会に参加してくれているのは福山議員と穀田議員だけである。民進党では前原はもとより、府会、市会の議員の誰も参加しない。それが「原発ゼロ」を公約に掲げた希望の党に入った。代表の小池は、これまで「原発ゼロ」を言ったことも、東京都の電力のために存在していた福島原発が崩壊し、引き起こした大惨事の救済を言ったこともない。小池も前原も選挙のためのウソを平気で公約とし、政治家で居られればよいと希望の党に移籍した京都選挙区の3人も、それに同調した。こんな連中は、この国にも京都にも不要である。そうブログに書いた。

 彼らへの怒りが収まらないままに投票日となり、希望の党も移籍組もみじめな結果となった。原発ゼロと改憲阻止の闘いを、これまで通りにオール京都を合い言葉にがんばろうと思う。自民大勝はくやしいが、一瞬の秋の晴れ間くらいはありそうである。

                                                 (石田紀郎:市民環境研究所)





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