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安倍「自己保身解散」を受けて


与党議席を一つでも減らすために



 “選挙は来年の夏ぐらい”と、のんびりしたことを言っていたら、臨時国会冒頭解散、10月22日選挙に。まさに、森友・加計隠しの自己保身解散でしかない。自民党の多数は安倍政権の延命のみを目的とする解散に賛成している。この選挙で安倍政権が延命されれば、国民の支持を得たとして、強引に憲法の改悪をしあげていくだろう。

 それに対抗する私たちの武器は、市民と野党の共同で統一候補をたてることにしかない。しかし、小池新党の登場、民進党の右往左往で、野党共闘は複雑になっている。

 さる9月10日に行われた第四回市民連合の全国意見交換会では、どこの地区でも民進党および、その支持母体である連合との共同の難しさがあげられていた。民進党を含む野党の共同をつくりださなければ、安倍のこの攻撃に対抗することはできない。市民連合全国意見交換会では、中央はどうあれ、地域レベルで民進党に働きかけることによって、共同をつくる努力をしよう、ということになった。また、その際、市民運動による主導が重要だと確認された。

 私の足元である大阪9区(茨木、箕面、池田、豊能、能勢)は、市民運動そのものが自治体単位でバラバラに活動している状態にあった。今年の1月から、9区全体として意識して交流を行ってきたが、市民連合のような単一の団体に固まるレベルには達していない。お隣の10区や8区では、統一候補も、市民運動も機能しているのに……。

 安倍の攻勢に対して、どのように受けて立つのか。民進党と共産党を合わせても基礎的な組織票は6万くらいしかにならない。前回の衆議院選挙で、自民党は9万5000票、維新は9万1000票をとっている。そのとき、野党を合わせても4万票くらいしかなかった。いずれにせよ、とても野党が数合わせをすれば勝てるといった状況ではない。最近では、とくに民進党の衰退が激しく、維新に票を持っていかれている。こんな状態では、自民党も維新も、とても追い詰めることなどできない。

 だからこそ、市民と野党の共同が必要になる。意見交換会で紹介された成功事例では、市民運動が主導する形で野党共同をつくりだし、統一候補を立てている。市民の力が重要で、野党のブリッジになるだけでなく、無党派層を掘り起し、票を積み上げていくということだった。

 始まったばかりの9区の運動は、茨木では総がかり行動での運動の積み上げがあり、箕面でもこれまでの運動の蓄積がある。池田は共産党系の運動が強いところ。豊能と能勢は、市民活動としては大きなものはない。このように、それそれ違う事情から運動をつくっていくことを目指していく中で一つにまとまっていこうとの腹づもりだったが、残念ながら、安倍の攻勢を受けて立つには遅すぎる。そこで、9区の運動の連絡会を中心にして、選挙態勢をつくることにした。

 ただし、問題はもう一つある。野党側の候補者が三人になったことだ。それまで民進党と共産党の候補者だけだったところに、社民党の候補者が現れた。その結果、二党間の調整だったものが三党になってしまった。時間が残されていないので、三人の候補者から統一候補を絞るしかない。

 選挙戦での勝利に近づけるためには、最低でも民進党と共産党の数合わせがいる。重点地区ではないので、共産党は候補者を降ろすことも辞さない立場。しかし、民進党が自らの候補者を降ろして、組織基盤のない社民党の候補者を立てるかどうか。反対に、民進党の候補者を立てた場合に、社民党が自らの候補者を降ろしてくれるかどうか。いずれにしても、民進党と共産党の政策合意をつくって、直接的であれ、間接的であれ共闘をつくることが重要で、その上で候補者については確定していくしかない。

 時間がないが、その努力をしていくしかないと思う。同じようなことが各地で行われている。とにかく、安倍政権を追い詰め、憲法が改定できない議席にまで減らすことを目指さなければならない。

                   (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)




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