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地域から政治を考える

来るべき衆院解散総選挙に向けて

市民と野党の共同実現を模索



 「森友・加計問題」によって、安倍政権の支持率は低下し、都議選でも惨敗を喫した安倍は、内閣を改造して、お友だち内閣をやめ、安倍政権に距離を置いてきた人々を閣僚に入れることで、支持率の回復を図ろうとした。たしかに少しは改善したが、安倍首相に対する国民からの不信は依然として強い。

 一方、同じく都議選で大敗した民進党の蓮舫、野田が辞任し、民進党の党首選挙がおこなわれることになった。前原、枝野で争われることになった。二人の方向は真逆で、前原は共産党を含む野党共闘に反対しており、小池新党との連携の方に積極的である。枝野はその反対に野党共闘を肯定し、小池新党との連携は否定している。このどちらが勝利するかで、野党共闘のながれは変わる。

 衆議院解散総選挙の行方はわからないが、10月22日というような話も出ている。遅くとも来年の末までにはある。

 市民と野党の共同実現にむけてやってきたが、野党第一党である民進党の行方が不透明だ。大阪では、野党の数を合わせても、維新や自民には勝てない。東京都議選では、小池新党が受け皿になった結果として自民と民進が大敗した。受け皿があれば勝てることは明確になった。

 市民と野党の共同を訴えているが、まだ、受け皿となるには難しい。参議院選挙のときにも、結局候補者を絞りきれず、関西では野党は京都の一議席だけで、あとは全滅した。同じ轍を踏まないためにも、統一候補をつくることを目指さなければならない。

 私が関わっている大阪9区では、今年の初めから、市民と野党の共同をめざした活動がはじまった。1月に、茨木市で第一回「市民と野党の共同実現」集いが行われ、9区の各地で活動している市民グループが初めて集まった。9区は、茨木市、箕面市、池田市、豊能町、能勢町という5つの市町で構成され、運動的な意味でも横の連携はなく、都市と農村が入り交じっている。

 第1回では、先進的な例として、昨年の参議院選挙で野党統一候補を実現し、勝利した市民連合三重の方のお話を聞いた。そこで確認できたのは、野党の数合わせではなく、市民運動が、積極的に役割を果たしていくことの重要性だ。

 続く2月には池田市で、第2回の「市民と野党の共同実現のつどい」が行われたが、各地での運動の発展が十分でなく、各地での運動をつくること、情報交換など連携することを確認したに留まった。

 8月27日には、第3回の「市民と野党の共同実現のつどい」を能勢町で行うことになっている。そこでの課題は、9区として来る衆議院選挙で市民と野党の共同の実現を図っていくことだ。

 9区では、何人かの野党候補者が名乗りを上げている。前回の衆議院選挙では、自民党、維新がそれぞれ9万票をとり、共産党が3万、無所属で出た元民主党員が1万という結果だった。自民・維新以外の単なる数合わせでは、到底太刀打ちできない現状だ。その意味で重要なのは、市民と野党の共闘の中で、市民運動がどれだけ浮動票を動かせるかにある。街宣などだけではなく、直接人々に働きかけ、そして、そのつながりを広げていくことが重要だと思う。

 もう一つは、争点を明確にすることだ。大阪では維新府政がカジノを大阪に誘致しようとしているため、各地の市民運動の中で、カジノ問題に関する講演会や集会が行われている。カジノ問題が争点になるだろう。また、安倍政権や維新の関与が濃厚な森友問題も争点の一つになりうると思う。

 ただ、現状では、既存の野党候補者から統一候補をつくるのは難しい。また、民進党の党首が前原になれば、共闘も難しくなる。その意味で、最も重要なのは、市民の側が勝てる候補者を選ぶか創り出すことだ。簡単ではないが、乗り越えるべき問題だ。

 「衆議院選挙は政権選択の選挙である」と言われるが、現状で言えば野党が与党に代わる政権をつくるにはほど遠い。目標は、政権の交代ではなく、現在3分の2以上ある与党の議席を1議席でも減らしていくことだろう。そうした意味でも、市民と野党の共同実現を目指したい。 

                                              (戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)




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