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ネパール・タライ平原の村から(68)

   “新しい”ライフスタイル?

  ネパールの農村で暮らす、元よつば農産職員の藤井牧人君の定期報告。その68回目。


 この一ヶ月ほど、日本に一時帰国していました。能勢へ向かう道中、最近の畑では太陽光パネルも栽培されていることを教えてもらいました。何が獲れるのでしょうか? とかく、いろいろ考えさせられたり、発見のある一時帰国となりました。

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 帰国した日の晩、テレビのワイドショー番組で“ミサイルが飛んで来たら、何分以内にどこへ隠れるか”かわいらしいイラストボードを使って、わかりやすく解説していました。日本の政情をあまり把握してなかったので、最初は“えっ何それ?”と一瞬思ったのですが、数分したら、“あっそうですか”という気になりました。その軽い話し方、クイズ番組のそれと同じトーンで語られていることの方に、むしろ違和感を覚えた次第です。

 滞在中、リサイクル業者の倉庫で、廃棄処分前の衣類をたくさん選らせていただいた日もありました。サイズの大きい衣類やユニクロの製品が目につき、値札が付いたままの衣類も混じっています。今や「使い捨て時代を考える」のでなく、「買い捨て時代」を考えないといけない時代だったのですね。

 知人からは「ミニマリスト」が流行っているとの話を聞きました。モノが溢れた日本で今、モノの所有を最小限(ミニマム)にした生き方が流行っているとのことです。一部で流行っているだけなのか、大流行なのか、一時の流行りだったのか、知人以外からそのコトバを耳にすることはなかったのですが……。

 そのミニマリストにとって、なくてはならないモノが1つ。それはスマホだとのことです。これさえあれば、ピッピッピッと必要な時に必要なモノを必要最小限、手に入れることができるのだとか。大量生産・大量消費社会に疑問を投げているようで、大量生産・大量消費に支えられた大量情報社会が前提。便利で効率的でないと困るという、新しいような新しくないライフスタイルのようだ……と僕は理解したのですが、合っているでしょうか?

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 こうして「スマホめ! この野郎!」みたいなことを書いている僕ですが、実はネパールでも、歩かないとたどり着けない山村でも、被災地でも若い世代を中心に、今や誰もがスマホを持っています。何せこれまで手に入れることができなかった、あるいはようやく手に入れていた、動画機能(DVD・テレビ)・オーディオプレーヤー・パソコン・カメラ・ビデオカメラ・ICレコーダー・ケータイ一式が1~2万で一度に手に入るのですから。インターネットを個人で利用する人はまだ少ないのですが、誰それと動画や音楽をダウンロードさせてもらったりしながら、みな夢中になっております。

■動画とポップスに夢中
 何より僕自身。姉が買い替えたいとのことで、海外でも使えるSIMフリーのスマホを譲ってもらうこととなりました。最初は断って、母に勧めたのですが、母が使いこなすのが大変とのことと、ネパールで緊急時に連絡しやすいこと、ビデオ通話無料のアプリで連絡できるとかで、もらうこととなりました。

 友だちがくれたプリペイド式ケータイ(死語?)もイマイチ馴染めなかった僕ですが、スマホも馴染めないような気がします。が、ためしに指でスイスイ動かし、メールチェックをしてみたりしていると、こういうことについて、ちょっとこれから書きづらい気持ちになってしまいました。                                                                         (藤井牧人)




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