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地域から政治を考える

超監視社会は戦争ができる国への一里塚

町中「防犯」カメラだらけ!

豊中、箕面、伊丹市、島本町などの自治体で、監視カメラの導入がすすめられている。この問題について、「あっちにカメラ、こっちにもカメラ・・・街じゅうに監視カメラだらけ! 「防犯カメラ」で地域は安全になるのか?」という講演会が2月17日、豊中市の蛍池公民館で開催された。この集会には、豊中市議、箕面市議、伊丹市議、島本町の方の報告があり、弁護士の大川一夫さんの講演が行われた。

「防犯」カメラの設置の状況として、箕面市では、すでに750台ある地域防犯カメラが1800台も設置される事態となっている。また、伊丹市でも1000台のカメラが「安心・安全のまちづくり」をうたい文句に設置がすすめられている。伊丹市の場合は、カメラの機能だけではなく、「ビーコン」で位置情報が把握されるシステムが導入され、それが保護者のスマホに送られるシステムとなっており、それによって通学する子供の行動監視をすることができる。豊中市では、1230台の防犯カメラの設置を予定しており、説明会が行われている。島本町でも20台の防犯カメラが設置されようとしている。

これらの動きの特徴は、自治体、自治会などが進んで設置を決めており、防犯カメラの危険性についての認識がないことである。設置に反対する住民は極めて少数で、議会でも共産党を含めて設置を認めており、防犯カメラの設置に反対するものは異端視される状況にある。大川弁護士の講演によると、過去に釜ヶ崎の監視カメラ問題に取り組んだときには、市民も一緒に設置に反対したが、今は反対するものが異常だと思われるように変わってきたということだ。当時は、警察が直接監視カメラを設置した。それが今は、自治体と警察が一体となって設置していく方式に変わっている。

なぜ、住民たちは監視カメラに関心がないのか。自分が監視されていること、現在が超監視社会であること、人権侵害がおこなわれていることに気が付いていないからである。

さらに、「防犯」という名目で設置がすすめられているが、実際には犯罪率は低下し、今は昔よりも安全な社会になっていることは統計的に明確であり、また、防犯効果も明らかではないにもかかわらず、住民は設置をもとめる。そこには、「体感治安」の悪化がある。なんら根拠がないにもかかわらず、住民たちは不安を感じているということである。マスコミはニュースを、あたかも凶悪犯罪が頻発しているかのように誇張して伝え、根拠のない不安をあおり立てている。また、格差社会が広がり、先行きへの不安も「体感治安」をさらに悪化させている。

監視カメラが増え続けることで、超監視管理社会がつくられていく。基本的な人権であるプライバシーが侵害されるだけではなく、権力にとって支配しやすい体制がつくられる。GPSの犯罪捜査への利用や現在の顔認証システム。さらには、顔認証から個人を特定し、その他の情報と統合するシステムまでつくられようとしている。それがマイナンバーなどと結びつけば、個人情報がすべて映像から把握できるようになる。

話をするだけで罪に問われる共謀罪が「テロ等準備罪」と名前を変えて、国会に提出される。監視管理社会の強化と一体となって、現代の治安維持法体制がつくられる。「対テロ戦争」「安全・安心のまちづくり」による警察国家がつくられる。行き着く先は、戦争ができる国の完成である。

(戸平和夫:北摂反戦民主政治連盟)

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