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オスプレイが沖縄で墜落した

国民主権を取り戻す私たち自身のたたかいとして沖縄の人々とともに

辺野古違法確認裁判のことを書こうと思っていたら、12月13日、ついにオスプレイが沖縄で墜落した。アメリカ海兵隊は、9日にも岩国所属のF/A-18ホーネット戦闘爆撃機を高知沖で墜落させている。沖縄では、オスプレイがまき散らす騒音による被害だけでなく、民家の近くでオスプレイによる荷物のつりさげ訓練も行われている。住民の抗議にもかかわらず、オスプレイによる危険な訓練が強行されている。

日本の防衛省は慌てふためいたようだ。これは沖縄だけにかかわる問題ではなく、オスプレイの訓練は本土でも行われているし、自衛隊はこの危険な航空機を巨額の金を出して購入しようとしているからだ。

オスプレイの危険性はこれまでも指摘されてきたし、そのため沖縄では普天間基地へのオスプレイ配備に県民あげて反対してきた。そして、高江のヘリッパッド建設阻止のたたかいも、SACO(日米特別行動委員会)合意に含まれていなかったオスプレイが配備されることになって問題が大きくなった。オスプレイは、F-35など最新鋭の戦闘機などとならんで、米国の「リバランス」戦略の中で、海兵隊の戦闘能力を向上させるものとして、位置づけられている。日本が米国に従属し続けている限り、それを受け入れざるを得ない。

沖縄の辺野古をめぐる12月20日の最高裁での判決は、沖縄に対して聞く耳を持たないということを明確に示した。沖縄のような歴史的で構造的な差別が存在するところは、そのことが勘案されなければならない。沖縄県側の弁論も聞かないという態度は、日本の裁判所が、政治・行政から独立しているとは言い難いことを示している。「国民主権」という言葉がむなしくなる。

米軍基地に関する一連の騒音訴訟でも明らかなことは、安保条約に基づく米軍の存在は、日本の憲法よりも上にあるということだ。日本の国民がその騒音被害を訴えても、日本の法律がおよばないとして、規制をもとめることができない。沖縄県民が復帰のさいに夢見た日本国憲法による保護は、米軍との関係においては適用されない。米軍とその手先である日本政府は、沖縄県の民意を無視し、県民の犠牲を強いてきた。

翁長知事は、北部訓練場の一部返還式典への参加を見送った。当然である。危険なオスプレイが発着するヘリパッド建設の見返りに、米軍が使えない土地を返還するという形だけの負担軽減を認めるわけにはいかない。負担軽減の名の下に、日本政府はあらたな負担を強いる辺野古新基地を建設しようとしている。

民意を否定する安倍政権は、高江の工事を強行し、12月22日に名護市で北部訓練場の部分返還を祝う式典を開催した。辺野古では、15日にこれまで停止していた陸上工事を再開し、さらに27日には、10か月ぶりに、辺野古沿岸部での工事を再開した。沖縄県民のたたかいは、不屈につづけられていくだろう。国民主権を取り戻す私たち自身のたたかいとして沖縄の人々とともにたたかっていかなければと思う。     (北摂反戦民主政治連盟 戸平和夫) ▲沖縄県名護市安部(あぶ)の海岸に墜落した米軍のオスプレイ。海への汚染も心配されている


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