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沖縄のたたかいは非暴力である

高江・嘉手納から

北民連(北摂反戦民主政治連盟)第2次沖縄派遣団の一員として、沖縄へ行ってきた。今年になって3回目だ。高江では、年末ヘリパッド完成に向けて緊張が高まっていた。参議院選挙でオール沖縄の伊波洋一さんが勝利した翌日、7月11日に工事が再開され、大阪府警を含む本土から500人の機動隊を動員して抗議する市民を力で排除している。6月に行ったときには、静かな高江だったが、いまは、機動隊に先導された10トンダンプが、何十台も轟音をあげて砂利を運び続けている。しかも、突貫工事のために、予定になかったヤンバルの森を伐採し、工事用道路をつくっている。自然破壊を危惧する県が、調査のため中止を求めていたにも関わらず、沖縄防衛局はそれを無視して工事を続けている。

同時に鞭と飴を使い、反対の声を抑え込もうとしている。10月に高江で抗議行動のリーダーである山城博治さんを器物破損で逮捕し、拘留ができないとわかると別件で再逮捕し、さらに地元だけではなく、本土からのボランティアを含む5人が拘束されている。その一方で、はヘリパッド建設への保障を要求し、また、高江地区でも、建設に反対だが保障を求めた。これは、辺野古でもおこなったように、県を通さずに直接的に国が金を出すという仕方で、反対の声を抑えようとするものだ。

私たちは、北部訓練場メインゲートの座り込みに参加した。この日は150人が参加したが、機動隊は、1人の市民に二人から三人の機動隊員をつけて、動けないようにした。その横をダンプが轟音とともに通りぬけていった。沖縄のたたかいは非暴力である。言葉で抗議をする。下手に手を使えば公務執行妨害にされかねない。「土人」発言で問題となったためか、どこの県警もマスクをし、抗議しても無視して沈黙している。話をする機動隊員がいれば、すぐに交代させられた。

N1ゲートでダンプの出入りを監視していた高江の人が、「もっとたくさんの人が集まれば、ダンプを阻止できるのに」と、悔しそうに言っていた。その時は36台のダンプがN1に入った。

抗議行動のあと、嘉手納弾薬庫がある沖縄市で、米軍用地の中にある農地をとり戻した畜産家で、沖縄市議の池原秀明さんのお話を聞く機会があった。そのたたかいは、占領軍とのたたかいであり、イスラエル軍に占領されたパレスチナ農民のたたかいにも似ていた。このお話についてはまた別に報告するが、お話しの最後に、機動隊との対峙の仕方を教えていただいたのが印象深かった。「沖縄のたたかいは非暴力である」ということを強調され、正面から機動隊と対峙し、手で押したりすると暴力とされるので、対峙するときは背中を向けて、警官を背中で押せば暴力にならないと教えてくれた。

池原さんは、法律の隙をつき、さまざまな知恵で農地をとり戻したひとだが、実際にこれを私たちの前でやって見せてくれたときには、つい笑ってしまった。警官との対峙を含めてひとつひとつのたたかいが、日米の支配を掘り崩していくのだと実感したのだった。最大の教訓としてあげてくれたのは、ひとつひとつのたたかいで組織をつくりながらやることと、勉強することだ。何も知らなければ何もできないということを強調された。

12月の完成をおくらせるため、もっとたくさんの人に高江に行ってほしい。

(北摂反戦民主政治連盟 戸平和夫)

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