▲ネットから得た火災発生当初の風景
タイトル
HOME過去号>142号  



市民環境研究所から

火事を出しても謝らない京都大学

やっと酷暑の夏が終わった。昨日は夏で今日は秋ですねとあいさつを交わし、Tシャツ一枚から一気に冬に着る長袖に変わった。ゆるやかに季節が移り変わってくれることは無くなったのだろうか。異常の連続は農家を泣かせている。9月の曇天と高温続きは野菜の生育を妨げ、京都の農家も大変であるという。野菜不足からくる値上がりが止まるところを知らず、レタスが1個200円前後から、ついに500円となった。とは言っても、簡単な朝食で済ませる私にはレタスは重要な食材なので買わないわけにはいかない。が、スーパーで買って事務所に戻ると、女性陣から「レタスを止めてキュウリにするという知恵が働かなかったのか」と厳しく云われた。もっともなことである。

 ここ市民環境研究所から外を眺めると東大路が平行に走っており、夏が過ぎると途端ににぎやかになる。自転車に乗った京大生が右へ左へと走って行く。右へ走るのは講義時間に遅れないようにと、左に走るのはやれやれ講義が終わったからと下宿に帰って行く姿である。そんな自転車学生の態度の悪さは地域住民の頭痛の種であるが、飲食店などは京大関係のお客で成り立っているがゆえに、なかなか苦言を呈せない。そんな事情を知って、代わって京大に苦言を呈したところ、学生部では評判がよくないと現職教員から聞かされた。

 京大は周辺住民のことなどはほとんど考えない。そのことを更に如実に表したのが、7月1日に発生した京大病院構内での火事である。その日は金曜日で午後6時半から慣例の京大でのゼミに出席するため車で急いでいると消防車が追抜いて行き、バス停3つくらい前方に黒煙が高く昇っていた。交差点を左折する時に開けた窓から煙臭い空気を吸い込んだ。夜遅く終了したゼミのあとで、京大病院構内実験室が燃えたこと、その部屋は放射線使用の実験をしていたことを知った。消防車が24台も出動する大騒ぎだったのに、火事現場から50メートルも離れていない知人の家に、京大からはお詫びも挨拶もないという。月曜日になっても、京大のホームページにさえ顛末記もお詫びも出ていない。あきれ果てて845分に京大事務に電話を入れると、病院がすべてやるというだけであった。そこで京大病院に電話をすると、まだなにもできていないことをグダグダと言うばかりだった。火事を出して3日にもなるのに謝らないとは言語同断だと声を荒げると、夕方にはなんとかするという。京大のように天下の存在になるとそんな振舞になるらしい。4日(月)の夕方に「お詫びとご報告」というチラシが京大病院長名で出され、郵便箱に投げ込まれていたという。スーパーのチラシでもなかろうに、住民と顔を合わせないで何がお詫びだと人々は思った。病院に再度電話すると近々謝りに行くという答え。6日になってやっと知人のレストランに担当者が顔を出したという。文句を言わなければ、出向くことはなかっただろう。ここまで来るとあきれ果てて怒る気もなくなる。

 火事を出したら可能な限り早い段階でお詫び行脚をするのが人間社会の当たり前の振舞であろう。季節の流れで自然の風景が変わるように、自然に人間的な振舞が出てくるように教育するのが教育組織であり医術の世界の基本だろうにと、異常気象の中で思った。大組織とは誰も人間らしく振る舞わず、責任を取らないことが最重要事項のようである。さらにその後の京大のとんでもない振舞については次の機会に書かせてもらう。

               (市民環境研究所代表 石田紀郎)


200×40バナー
©2002-2016 地域・アソシエーション研究所 All rights reserved.