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コラム 地域から政治を考える

高浜原発再稼働をめぐって



  
高浜原発の再稼働が目前に迫っています。12月24日、福 島地裁は、関電の言い分をそのままに、仮処分の決定を取り消しました。これに先立つ22日に福島県知事が同意し、25日には、関電は、燃料を装填しま した。この1月末にも再稼働が行われようとしています。
 原発立地自治体は、すべて再稼働に同意した。しかし、国は、周辺自治体の同意はもとめませんでした。周辺といっても、京都府の舞鶴は、高浜原発の 20キロ圏内に入るし、琵琶湖を抱える滋賀県も、30キロ圏に入っています。福井と高浜町が同意しても、実際に被害を受けるのは周辺自治体も同様で す。
 関西広域連合は、再稼働について12月24日付で意見を出したが、同意自治体の範囲や避難対策について見直しを求めたが、国が、再稼働についても、 事故が起こった際にも責任をとることを明言したとして、再稼働に合意しています。この意見の中で福島の教訓として、リクスゼロの安全はあり得ないと述 べているにも拘わらず、再稼働に徹底して反対はしませんでした。
 昨年12月、高浜原発再稼働阻止リレーデモを高浜原発から出発して、関電本社まで行いました。のべ1000人が参加しましたが、鹿児島の川内原発再 稼働阻止の運動と比べて、盛り上がりに欠けていました。この点について、高浜原発再稼働阻止のたたかいをリードしてきた人々に聞いたところ、立地現地 の運動が出来ていないことが川内原発再稼働阻止闘争との違いで、それが盛り上がりを欠けさせていると指摘されていました。反対に中嶌哲演さんなど福井 県でたたかう人たちは、「消費現地」での闘いを強める必要があると考えていると言っていました。1月5日、6日の緊急行動高浜町デモで、各戸へのポス ティングをしました。その時は、ほとんどの人々がビラを受け取り、声援をしてくれました。しかし、個々の人々が、原発をこころよく思っていなくても、 補助金をもらっているなどで、反原発が口にだせない状況がつくられていると感じました。それが立地現地での困難さをつくっていると思いました。福井の 困難な状況の中では、福井を犠牲として電力を享受してきた「消費現地」での再稼働阻止のたたかいを強めることによってしか、その状況を突破できないの かと思いました。
 福島の原発事故はいまだに終息したと言えない状況であり、関西広域連合の「意見」でも書かれているように、「リスクゼロ」はあり得ないのです。国が 責任をとると言っても、事故が起こり、命が奪われ、生活、家族が破壊される事態が起こっても、とりもどせるわけではありません。人間のひとりひとりの 人権を考えるなら、それを決定的に脅かす原発再稼働はありえないことです。
 立地自治体住民は、その犠牲と引き換えに補助金で生きてきた結果として、再稼働は補助金の継続を意味し、いまの彼らの生活の継続もできることになり ます。原発の再稼働によっていつ起こるともしれない事故でのリスクを考えるより、現在の生活を継続することが重要であること、それが再稼働に同意する 大きな理由だと思われます。この壁を打ち破ることは、非常に困難であると言えます。また、それを知っているからこそ、国は同意の対象を、福井県と立地 自治体に限ったのです。国は沖縄県と県民を「国益」の名の下に、ひとりひとりの生きる権利を否定してきました。そして原発でも同じことが行われてきま した。福島の事故を見れば、国も責任を取りきれないことは明らかです。       

(北摂反戦民主政治連盟 戸平和夫)



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