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コラム 地域から政治を考える

沖縄と能勢


   今号から、新しいコラムがスタートします。関西よつ葉連絡会や北大阪商工協同 組合を構成する法人で働く人達を中心に、地域での反戦、反原発、民主主義の実現にむけて大衆的な政治活動を進める組織として25年ほど前につくら れた、「北摂反戦民主政治連盟」というアソシエーションがあります。ちょっと古くさい名称ですが、略称「北民連」。
 この北民連の事務所で今秋から活動する戸平さんに、「地域から政治を考える」と題して、毎号連載のコラムをお願いすることになりました。北摂地 域での人々の生活に根ざした政治への取り組みをレポートしてもらえれば、と期待しています。                             (事務局)


  辺野古基地建設を巡って安倍政権と沖縄県民、県との攻防が激化している。安倍政権は、沖縄県民の意志を踏みにじり、基地建設を強行しようとしている。しかも、県民によ る平和的な抗議行動に対して、わざわざ東京の警視庁機動隊を100名も、200名も、派遣して弾圧させるなど、まさに、琉球処分そのものである。辺野 古キャンプ・シュワブゲート前での非暴力抵抗運動を続けている山城博治さんは「沖縄の闘いが崩れ去ると同時に日本の民主主義も終わる」と語っている。
 わたしの関わっている市民団体の主催で大阪府北部の能勢町で、今年9月26日、沖縄から知花昌一さんをお迎えして「沖縄と戦争法」講演会を開催し た。講演会では、1970年代に能勢ナイキ基地反対闘争をたたかった能勢町在住の阪根俊夫さんにお越しいただいて、知花さんとの対談が実現した。
 阪根さんは、基地設置反対住民連絡会の事務局長であったと同時に、教師として、教組の運動に関わっておられた。沖縄の教組と池田、豊中、箕面、豊能 能勢四教組とのつながりで、沖縄との交流を行っていた。能勢ナイキ闘争の発展のなかで、住民連絡会でも代表を派遣し、沖縄の闘争、そしてナイキミサイ ルそのものを学ぼうとしていたとのことだった。
 当時の沖縄は、米軍が沖縄の基地からベトナムへの爆撃や、部隊の派遣を行っており、まさに、戦場そのものだった。戦後25年、戦争に直接巻き込まれ ることがなかった能勢の住民たちがそこに出かけた。そして、沖縄の状況について実感的に知らない能勢の人たちは、沖縄が置かれている現実に直面した。 その衝撃を通して、交流は続いたという。
 知花さんは、その対談の中で復帰前は、「憲法九条をもつ日本は、憧れであり、日の丸は米軍の支配に対する解放の象徴であった」と語った。それは、米 軍の支配の中で味あわされてきた屈辱からの解放だった。その期待は見事に日本政府によって裏切られた。知花さんは、今の状況を「第五次琉球処分」と呼 んでいる。
 日本政府が姑息な手段で、沖縄の自治、すなわち自分たちの意志で決定し、行動する自由をあからさまに否定し、金や力で強引にその政策を押し通そうと する。沖縄の人々にとっては、米軍支配の時代の「屈辱」を、日本政府の言う「国益」の名の下に、再び味あわされている。こうした沖縄県民の現実を知ら なければ、いくら「沖縄との連帯」を叫ぼうと、構造的な差別を超えることはできない。
 阪根さんが、その体験から「無知は差別」であると言われたのが印象的であった。


(北摂反戦民主政治連盟 戸平和夫)



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