タイトル
HOME過去号>130号

市民環境研究所から

アベ政治を許さない!



この連載の書き始めは季節のあいさつと決め込んでいる。何年かあとに、もし誰かが、そして筆者がこの文章を読むとしたら、その時代を思い出す際には、どんな春だったのか, 夏だったのかを読めば、書いた内容のリアリティーも出るのではとの思いからである。下手な季節描写で思い出せるのは筆者だけかもしれないが、お許 しをいただいて、今回も季節の描写から入らせていただく。
 なんとも耐え難い酷暑である。全国的な酷暑のうちでも京都は連日トップ10の中にあり、それも連日の真夏日で、ほとんどが37度越えである。先 日は 0.1度差で全国2位になった。残念だと自宅でつぶやいたらバカにされたが、京都は39.1度もあったのだから、やはり1位になりたかった。そうすれば何年かのちの本文再 読時にはこの8月を容易に思い出せるのにと、暑さボケのバカな遊びをしている。
 酷暑がなくても2015年8月は記憶から去ることはないだろう。「脱原発」・「再稼働反対」に代わって「戦争法は憲法違反」が緊急の課題となっ た。もちろん両者は根っこは同じであり、双方の運動を同時に続けねばならないのは当然である。酷暑の中で、次々と開催される集会やデモに参加する には厳しい日々であるが、筆者の鞄の中には片面には赤地に「戦争法は憲法違反」と書かれ、反対の側の面には白地に「アベ政治を許さない」と黒く印 刷された厚手の紙を挟んだプラスチックのファイルが常備されている。どこかのデモや、どこかでの集会に行ったり出合ったりした時は、このファイル を鞄から取り出し、デモに加わって歩くこともあるが、急ぎの時はこのファイルを掲げて手を振る。A4版の大きさが丁度よい。バス停で待っている時 には団扇代わりにもなる。
 今回の戦争法案提出ほど主権者をバカにしたものはない。主権者たる国民に法案を示し、説明する前に安倍はアメリカに行き、アメリカの政府・議会 に、この戦争法を9月中に成立させると明言した。説明する必要もないほどの、なんたる振舞であろうか。こんな言葉を使ったことはほとんどなく、一 度も文字にしたこともないが、安倍のこの振舞を聞いた時に「売国奴」と人前で声高に叫び、いま文字にしてしまった。これ以外に彼の行動を表現する 言葉を持ち合わせていないのは悲しいが、今の自民党と公明党の国会議員全員がこの言葉に該当する。なぜなら、安倍の行動に批判すらできない輩の集 合だからであり、この国がアメリカの属国であることをこれほど国民にあからさまに教えた総理大臣はなく、総理の云うがままに国会を運営し、戦争法 案成立に向かっているのだから「平和の党」の公明党も売国の党である。
 7月18日に「アベ政治を許さない」ポスターを全国一斉に掲げる運動があった。この文字は俳人の金子兜太さんが書かれたもので、運動の提案者は 澤地久枝さんだという。仮に戦争法案が成立しても、「アベ政治を許さない」とゴマメノハギシリでも言い続ける人々は多いだろう。筆者も続けたい。 動かない若者も動き出した。新しい老若の連帯も生まれるだろう。売国奴の思う通りにさせない。先日、十年以上も市民環境研究所の事務所に来ていな かった遠方の友人が訪ねてくれた。ビルが分からないとウロウロしながら上を見ていたら、このポスターがガラス窓に貼ってあるのが見えたから、迷わ ずに来れたと3階まで上ってきた。「アベ政治を許さない」がこれからの我が国の指針だろう。


(市民環境研究所代表 石田紀郎)


200×40バナー
©2002-2019 地域・アソシエーション研究所 All rights reserved.