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地域・アソシエーション研究所 第11回総会
  現在の社会情勢を踏まえ、さらに展開を

 
昨年に開催した当研究所の第11回総会について、以下に概要を掲載する。なお、総会議案書は残部があるので、必要な方はその旨をご一報いただければ送付します。

設立から10年を刻んだ節目の総会を、11月16日開催しました。参加者は40名程。地域・アソシエーション研究所を支える関西よつ葉連絡会のいろいろな部署で働いている、比較的若い職員の人たちも多く参加していて、10年間の研究所活動の成果を感じることができる総会となりました。


総会のもよう
●総会のもよう

今期は、設立10周年ということで、5月に記念のシンポジウムを開催しました。「地域とアソシエーション―その構想と現実」と題した、とりあえずの総括文をニュースに掲載して、その問題意識を軸に、日々、生産と生活を積み重ねている地域の中で、未来社会の構想を模索しておられる3つの地域の活動家の皆さんから発言していただくという試みです。パネラーをお願いした3人の皆さんは、共に農村地域からの報告だったという現状は、都会での私たちの活動の不十分さを端的に示すものでもあるし、現代社会の都市と農村の断絶の深さを物語っているとも言えるものです。
  そして、総会の論議は、研究所の設立趣意に沿って、この10年の活動を振り返り、これからの10年の研究所活動の方向性や、検討すべき課題についてが中心となりました。
  研究所が、関西よつ葉連絡会の事業活動に依拠して設立され、その活動の普遍的意義を探ることを、設立目標の一つとして掲げて来た以上、これからも、よつ葉の活動実体とまったく離れた研究所の活動は考えられないものです。と同時に、昨年の3・11を契機として、より明確に意識されることとなった日本社会の大きな変化は、さまざまな領域で、これまでの運動、事業の根源的見直しをせまっています。そうした時代に立ち向かう構えや視点を、時間的にも空間的にもより広げ、研究所の活動として追求していくことも課題であることは言うまでもありません。これまで積み重ねてきた研究会活動をより充実させていくこととあわせ、新しい研究会の組織化を積極的に進めていきたいと考えています。総会の場で提案があった新しい研究会としては、研究所設立時から協力していただいている、元兵庫有機農研代表の本野一郎さんが講師となる、「たべもの歴史研究会」が2013年1月からスタートします。
  もう一つ、総会で論議されたテーマは、急速に流動化が進む、日本の政治情勢への評価と私たちの対応についてです。総会開催時はいまだ流動的であった衆院の解散・総選挙が直後に決まり、12月に実施された選挙の結果、自民・公明の連立政権が3年ぶりに復活する流れとなりました。「日本維新」「日本未来」等の国政進出も現実となって、政党政治の流動化は更に加速する見通しです。その根底には、今回の総選挙の投票率が戦後最低を記録し、無効投票数が史上最高に達した事実が象徴する、代議制そのものへの人々の強い不信感があると言えます。あれほどの深刻な原発事故の後に行われた選挙であるにもかかわらず、「反原発」が人々の投票行動の中心に置かれなかったという事実は、とりわけ小選挙区選挙の投票行動を律する人々の判断の根拠を、「政治」とのかかわり方をどのように把えるのか、私たちに問いかけています。もちろん、研究所自身が何らかの政治主体となるものではありませんが、地域に根を下ろし、生産と生活を集積する活動にとっても、政治は不可避のものです。研究所としても、こうした課題にかかわる講演会やシンポジウム、研究会活動を時期に応じて企画していきたいと考えています。

最後に、研究所の人的体制についても意見が出されました。これからの10年を考え、研究所の活動のさらなる発展をめざす上で、研究所の運営体制や事務局体制の充実は重要な課題となります。運営委員会の構成としては、新たに、豊中市議の木村真氏を加えることを提案し、承認されました。事務局体制の充実にむけては、来期までには具体的な提案を準備していくこともあわせて提案して諒承をいただきました。
  総会終了後、恒例となった懇親会を行い、夜おそくまで交流を深め、無事散会することとなりました。

  (津田道夫:研究所代表)


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