二人で勉強会|げんきDASで治そう!008

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勉強会ができる げんきDAS

データを見ながら話せば、患者さんのことがよく解るかも。
えだね先生とそこだけ先生は、二人で勉強会を始めようと考え始めます。


患者さんにも、柔道整復師、鍼灸師の先生方にも楽しんで読んでいただけるように、「そこだけ先生とえだね先生」の話として、なるべくわかりやすく工夫しています。

各ページは、4~5分で読める文章量でまとめています(文庫本2ページ分くらいの文量です)。
それぞれの章は読み切りになっていますが、順番に読んでいただくとさらにわかりやすくなると思います。


そこだけ先生は、えだね先生が高校の先輩と知って、いろいろ質問を始めました。
あの、鍼灸で虚とか実とかいっているのが、なんかわかんないっス。教えてほしいっス。

患者さんについて話し合う

「古里さんっていう、肩こりの患者さんなんスけど、近所だからオレのとこ通ってたんスけど治らなくて、えだね先輩のところ通ってるっていわれて、オレ、ほんと、マジ落ち込んじゃったんスよね。」
相手が同じ高校の先輩だと知ったそこだけ先生は、いきなり高校時代の話し方に戻ってしまいました。

古里さん げんきDAS

「ああ、古里さんですか、あの方は難しいですよね。左肩は代謝が停滞して、右肩は代謝が過剰なんです。」
「首が悪いんでしょうね。左右で治しかたが違うと思います。」

「先輩って呼んじゃうんだ」と、えだね先生は心の中で微笑みました。
でもえだね先生は根が真面目なので、相手が後輩だと分かっても相変わらずていねいな話し方です。

そこだけ先生は体育会系 げんきDAS

「そうなんスか?なんだか、触った感じは左右で違うんだけど、どう違うかハッキリ言葉にできなかったんスよ。」

「私も、測定しないとよくわからないと思いますよ。たぶん、たいていの先生はわからないんじゃないですか?」

そこだけ先生が正直に答えるのをきいて、えだね先生も隠しごとなく答えました。

まじめなえだね先生 げんきDAS

何を治してる?

「そういうときは、代謝が停滞して力がない、鍼灸でいう虚(きょ)のほうを温熱刺激で代謝を良くしてあげると、自然と左右が整うようです。」
「代謝が停滞したところから治したほうが、お年寄りでも負担が少ないみたいですよ。」
えだね先生は、どちらかといえば鍼灸が好きで、虚(きょ)とか実(じつ)といった考え方になれています。

「虚実って、学校でやったんスけど、なんかよくわからないっス…。」
そこだけ先生は、もともとサッカーでの故障を治したのがきっかけで治療家になったので、柔道整復=ケガの治療のほうが得意です。
鍼灸のことばに実感がありません。

水分量と痛みのちがい げんきDAS

「筋肉の痛みでたとえると、寝ている間におこる「こむら返り」は、筋肉の脱水症状ですよね。つまり水の不足なんです。これは虚(むな)しい状態なので虚(きょ)です。」
「逆に、急な運動の翌日の筋肉痛は、筋肉の中の代謝が過剰で、水分が過剰になって痛む。こっちは、実(じつ)になるんです。」

えだね先生は、説明が好きだし、たとえ話が好きです。
「水がない方は、力が無くてふにゃふにゃ。または、干からびてゴリゴリしていたりします。」
「水が過剰な方は、固くて張ってパンパンに膨らんでる、っていう感じなんです。」

そういえば、古里のおばあちゃんの肩って、そんな風に左右で違ったな、とそこだけ先生は思い出しました。

実は奥さんも げんきDAS

治療方法について話し合う

「水がないところは、指圧で血行をうながすと気持ちいい。でも、水が過剰なところは、押すとすごく嫌がって逃げようとするんですよ。」

もむとどうなる? げんきDAS

古里さんは片側だけ揉まれるのを嫌がったな、とそこだけ先生は思い出しました。

「代謝が停滞しているときは、押すと血行が促進されて気持ちいいし、温熱刺激も血行を促進して良いようです。」

「代謝が過剰なときは、押すといやがりますよね。そういう時は、低周波のほうが無難みたいです。」

「でも、もんだ時に痛いのか、気持ちいいのかって、なんだかハッキリしないときがありますね。」
「そういうとき、測定って便利ですよ。違いがわかりやすいんですよ。」

えだね先生は、わかりやすく説明を続けます。

「ただ圧痛をみつけて、同じ治療器を当ててるだけじゃダメなんだな。圧痛の種類がわからないといけないんだな。」
そこだけ先生は驚きました。治療機器を使い分けるなんて今まで考えてもみませんでした。

「鍼と灸とか、低周波と温熱とか、使い分けると幅が広がりますよね。治療器を買い足すのも楽しくなるし。」

「オレは買い足さないっス。新しい治療器だけ使うっス。」
「新しいのに買い替えて、古いのは下取りに出してしまうっス。使い分けができてないからっス…。」
そこだけ先生は、新しい治療器に買い替えたいというたびに、最後は笑って許してくれた奥さんに、ちょっとすまない気がしてきました。

涙で笑顔がにじむ げんきDAS

二人で勉強会

「ほかにも、伊丹さんって患者さん、ひざの痛みで来てるっスよね?古里のおばあちゃんに紹介されて、こっちに来てるっスよね?」
気になってしまうので、そこだけ先生は続けて訊きました。

伊丹のおばあちゃん げんきDAS

患者さんの個人情報だし、話していいのかな?と、真面目なえだね先生は思いました。
すぐには話すべきではない気がします。

「そこだけ先生の治療院の近くから来ている患者さんに、勉強会で治療法を検討させてくださいって、お願いしてみますよ。」
「OKをもらえたら、二人で勉強会ってことで、一緒に治しかたを考えましょう。そういうことなら、患者さんもOKしてくれると思います。」

えだね先生はそういって、「来週の木曜の午後に遊びに来ませんか?」と、そこだけ先生を誘いました。
そこだけ先生は隠しごとの無い、というよりできない、いい人だなと思ったからです。

「データを見ながら話せば、きっとわかりやすいと思いますよ。」
「患者さんに見せるだけでなく、治療家どうしで話し合うにも良さそうです。やってみませんか?」
そんな風にできたら面白そうだなと、えだね先生自身も思い始めていました。

「真面目で信頼できる人だな。」
患者さんの気持ちを大切にするえだね先生に、そこだけ先生はそう感じて、自分も見習おうと思いました。

(2018年11月07日 公開)


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