ウチの治療器でも治せる？｜げんきＤＡＳで治そう！００６

そこだけ先生の奥さんは、肩こりがぶり返してしまいました。
うちで治せばタダだな。主婦目線でそう考えた奥さんは、そこだけ先生に治してもらいました。
なんだ、ウチの治療器でもちゃんと治るんだ…。

患者さんにも、柔道整復師、鍼灸師の先生方にも楽しんで読んでいただけるように、「そこだけ先生とえだね先生」の話として、なるべくわかりやすく工夫しています。

各ページは、４～５分で読める文章量でまとめています（文庫本２ページ分くらいの文量です）。
それぞれの章は読み切りになっていますが、順番に読んでいただくとさらにわかりやすくなると思います。

特別な治療器でないと治らない？そんなことはありません。
たいていの症状は、機器の使い方、治療点の選び方で効果が得られるものです。

肩こりが治り、ぶり返す

そこだけ先生の奥さんは、えだね先生の治療のあと、肩こりがラクになりました。

「ウチの子が生まれてから、ずっと肩がだるかったからなぁ。」
そこだけ先生の奥さんは思いました。
男の子を抱っこするのは大変なのです。

しかも、今年で３歳の息子は、年々重くなり、力が強くなり、抱っこが大変になります。

せっかく治してもらった肩こりも、週末に家族でお出かけして長いあいだ抱っこをした後で、ぶり返してしまいました。

「もう一度、えだね先生に治してもらおうか？」
そう思った後、「なるほど、これじゃ通いたくなるな」と、奥さんは考えました。

「でも、3,000円を払うのは悔しいな。ウチのダンナも同業者なんだし、ダンナに同じことをしてもらえばタダだっ！」

家庭を守る主婦として、そこだけはゆずれないな、とそこだけ先生の奥さんは思いました。

「この印刷の、赤い丸がついてるところに、電気流して、ホカホカあったかいのやってよ。」
奥さんはそういいながら、そこだけ先生にげんきＤＡＳの測定結果の印刷を手渡しました。

「なに？げんき…ディー・エー・エス？」
「ちがう、げんきダスって読むのよ。」
「わかりやすい名前だな、わかりやすすぎ、あははははっ。」
「あははじゃなくて、さっさとやってよ！」
子どもか？あなたは子どもなのか？と奥さんは思いましたが、それがそこだけ先生の良さでもあります。

赤い丸は、えだね先生が書いてくれました。
どこを治したか訊いたら、ここですと教えてくれたのです。

「これ、どこでもらってきたの？なんでこんなの持ってるの？」
電極を貼りながら、そこだけ先生は訊きました。

「先月、古里のおばあちゃんがいってた、となり町の先生のようすを見に行って、もらってきたの。」
奥さんが答えると、そこだけ先生は梅干を食べたような、やめてぇ！と心が叫んでいるような顔をしました。

古里のおばあちゃんは、７回ほど通って足首のねんざが良くなると、近所だというのにやっぱり来なくなってしまったのです。
そこだけ先生にとって、いま最大のトラウマです。

「その先生のとこで、この赤丸のとこに電気を流して温めたら、肩こりがよく治ったの。だから、ちょっと、同じようにやってみようよ。治療器はウチのと同じような低周波と温熱だったし。」

「その先生、よく治ったんだ…。」
そこだけ先生は、最大のトラウマが更新したな、と思いました。

低周波で、首の骨の右側と、手首をつないで治療した後、それぞれに温熱治療器も使いました。
とにかく、印刷のとおりにしてみました。

「お疲れさまでした…。」そこだけ先生は、しょげ返った声でいいました。
「どう？効いてる、ラクになった？」
気になったので奥さんにそっと訊いてみました。

「まだ変わらないわよ。代謝の調子が戻るようにする治療だから、ここから症状が良くなっていくのよ。２、３日の間にだんだん調子が良くなるものなのよ。」
奥さんは、えだね先生の受け売りで答えました。

「そうか、古里のおばあちゃんが楽しそうに説明してたわけだわ。」
奥さんは思いました。

「医学とかむつかしい話はわからないけど、こういうものなんだって、絵でみせて人に説明できると楽しいもの。」

翌朝になって肩が軽くなったと気がつくと、奥さんは「あなただって、肩こり治せたわよ。」と、朝ご飯を食べながら、そこだけ先生をなぐさめてあげました。
そこだけ先生が、まだしょげていたからです。

単純でおおらかなそこだけ先生は、それだけで嬉しくなって、「あんなふうに印刷して渡してくれたら、あとはいつもの治療と同じだよ。ウチの治療器でも治せるね。電極を貼って、タイマーを回せばこっちのものだぁ！」とすかさず元気に大いばりです。

喜んでる場合か？と奥さんは心の中でツッコミましたが、かわいそうなので微笑むだけにしておきました。

「でもさぁ、あんなふうに印刷してあったら人にみせたくなっちゃうよね。それで、他の先生に治してもらったら、商売にならないよね。」
そこだけ先生は、「大事なところに気がつきました！」という調子で、得意そうに話しました。

「大丈夫よ。たいていの患者さんは、ダンナさんが治療院やってないし。それより、古里のおばあちゃんったら、測定結果だけじゃなくて、こっちのパンフレットも伊丹さんに見せたみたい。伊丹のおじいちゃんも、となり町の先生に通ってるみたいよ。」

「あっ、わかる、オレ、その気持ちわかる。高校時代にサッカーのスローイングで悪くした肩、オレも診て欲しいもん。オレ、その先生のところ、行っちゃおうかな。」

「そうじゃないでしょ！患者さん取られてるんでしょ！なんでそんなに能天気？」と、奥さんは驚きました。
その能天気な明るさが好きで結婚したのですが。

それでも、えだね先生のところに行ったら勉強になるかもしれないな、と気を取り直して、そこだけ先生にもう一枚トーストを焼いてあげました。

（2018年09月25日公開）

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