ACT.71 夢の衝撃 (2000.02.02)

 久しぶりに夢を見た。
 というと、普段はもう本当にぐっすりと深い眠りに落ちていて、目覚め爽快、気分も晴れやか、軽い足取りで仕事に向かっていると勘違いされるかもしれないが、そんなことは全くない。それ以前にそんな人が日本にどれだけいるというのだ。いるのであれば、その秘訣などを賜りたい気持ちでいっぱいである。特に軽い足取りで仕事に向かう向かう辺りを。
 夢の話であるが、多分たまに見ているのだと思う。多分というのは全く覚えていないからだ。私の睡眠も普通の方のそれと同じく、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しているものと思われる。ご存じの通り、夢はレム睡眠中に見るのだが、私はその時ものすごく些細なことで目が覚めてしまう。それは例えば、軽い物音だったり、自分でした寝返りだったり、顔に触れる飼い猫の肉球の感触でだったりする。だから、夢を見ていたとしてもすぐにそれは頭から消え去っていく。そう、長時間の間、夢を見続けられないのだ。
 そんな私が久しぶりに記憶に残る夢を見た。それだけなら特筆するようなことでもないのだが、今回のは妙にリアルでやたらと印象深く心に刻まれてしまったのだ。といっても、内容は大したことではないし、時間も短いものである。
 それは私が車の運転をしているところから始まる。運転している車は実際に私が所有しているものだった。出ている速度や回りの景色からここは高速道路であるようだ。しかし、やたらと車線数が多い。もしかしたらアメリカのハイウェイだったのかもしれない。私は軽快にドライブを続けている。そこで突然フロントガラスが曇ってしまう。私は曇りを消そうとワイパーを使ったり、エアコンを使ったり、直接手でガラスを拭いたりするのだが一向に曇りはとれず、どんどんフロントガラスは灰色に染まっていく。そして最後には、曇っていないのは中央のやや下に15cm四方ほどのスペースだけとなってしまったのだ。車を止めればいいのに、無理矢理その隙間から外を見て運転を続ける私。そんな状態で満足に運転が出来るわけもなく、右前方を走る車に接触。私の車はクルクルと回転しながらハイウェイを滑走していく。車内で私はパニック状態。ああ、事故を起こしちゃったよ、どうしよう、どうしよう!とうろたえるばかり。やがて車は後部から壁へ激突。ものすごい衝撃が体を包み、後部はぺシャンコ。奇跡的に私は無傷なのだが、しばらくそのまま茫然と動けなかった。
 とまあ、こんな感じである。今回のポイントはやたらとリアルであったことだ。まあ、過去にもリアルな夢は何度か見たことがある。しかし、衝撃までリアルに覚えているのはこれが最初だ。目が覚めた直後も、しばらくはその事故のショックでか何も考えることができなかった。そして、夢だと分かって本当に嬉しかったのである。それぐらい恐い夢でもあった。
 が、それが教訓となったわけではない。相変わらず私の運転する車は法定速度を守らない走りをしてたりする。あれだけ事故の恐ろしさを知ったはずなのにそれはなぜか。答えは簡単である。あれだけの大事故をしても無傷で助かるのだから。

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