はしか流行の懸念! ワクチン接種どうする?
Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」 4月から定期接種へ
さいたま市、全中学校の正門にAED設置へ 
トピック4 止まらぬ花粉治療薬の供給不足
トピック5 埼玉で「溶連菌」初の流行警報…発熱や喉の痛み まれに重症化


トピック1 はしか流行の懸念! ワクチン接種どうする?

日本・世界で相次ぐはしかの感染
2024年、はしか(麻しん)の感染例が、奈良県、大阪府、東京都で次々に報告されています。
WHO世界保健機関によると、2023年の世界の感染者数は32万人と前年の1.8倍に増加。特にヨーロッパ(ロシア・中央アジアを含む)では前年の60倍にも上っています。




はしかは怖い病気
はしかの原因は「麻しんウイルス」。このウイルスに感染すると10日前後の潜伏期間を経て、発熱や咳、鼻水など、風邪のような症状がまず現れます。
数日で熱はいったん下がりますが、まもなく39度以上の高熱が出て、その後、全身に赤い発疹が現れます。




1週間から10日ほどで多くは回復しますが、肺炎や中耳炎などの合併症を起こしやすく、1000人に1人は脳炎をおこしたり亡くなったりします。
また、この麻しんウイルスは脳内に潜伏することがあり、症状が収まってから4?8年ほどたってから突然、運動障害などを生じ、次第に意識障害も進行し、やがて植物状態になる亜急性硬化性全脳炎という合併症もあります。
麻しんウイルスは感染力が非常に強く、空気感染します。すれ違っただけでも感染するといわれ、基本再生産数(1人の感染者が免疫を持ってない何人に感染を広げるか)を比べると、インフルエンザ1~2、新型コロナ2~3に対して、はしかは12以上と、感染力がけた違いに強いことが分かります。
はしかの治療についてですが、はしかのウイルス(麻しんウイルス)に効く薬は現在のところありません。はしかの免疫を持つ人の血液中の抗体を注射するガンマグロブリンを使うことがあります。

ワクチン接種率に変化!その原因は?
はしかに感染しないためには、ワクチンを接種して免疫を獲得する必要があります。現在、子どもには、麻しん・風しん混合のMRワクチンが、1歳の時と小学校にあがる前の年の2回にわたって定期接種が行われています。
しかし、その接種率に変化が現れています。小学校に上がる前の第2期の接種率が2022年には目標接種率を下回る92.4%と、ここ10年で最も低くなったのです。
これには新型コロナによる受診控えが影響していると考えられています。





ワクチン接種 こんなときどうすれば?



ワクチン接種は受けられますが、定期接種の年齢でなければ費用は自己負担となり、1回およそ1~1万5千円程度かかります。それでも、かかったときのリスクを考えると受けた方がよいでしょう。小学生や大人が受けても効果はあります。
ただし、MRワクチンは出生数を中心に生産数が決められており、定期接種年齢以外の人が、突然いっせいに接種を求めると、定期接種用が足りなくなるおそれがあります。
そこで、定期接種以外で心配な人は、まず抗体検査(血液検査)を受けましょう。1回5千円~8千円程度で受けることができます。十分な抗体を持っていたら、ワクチンを接種する必要はありません。抗体がなかったり少なかったりした場合は、医師とワクチン接種の相談をしてください。




はしかの場合、1972年9月30日までに生まれた人は、ワクチン定期接種の対象外で、一度もワクチンを受けていないと考えられます。しかし、この年代の人はほとんど、はしかにかかっていて、免疫を持っている世代です。自然にはしかにかかった人は生涯続く強い免疫を持っているので、ワクチン接種を受ける必要はありません。
その世代より若く、2000年4月1日までに生まれた人は、1回だけワクチン接種している可能性が高いと考えられます。この方々は、まずははしかの抗体検査を受け、抗体がなかったり少なかったりしたら、医師とワクチンの相談をしてください。
子どもの頃、はしかにかかったかどうか、ワクチンを受けていたかどうか、覚えていない場合、母子手帳に記されていることが多いので、母子手帳を探して確認するとよいでしょう。




麻しん・風しん混合のMRワクチンは生ワクチンなので、妊娠している場合は接種することができません。胎児に影響が出る可能性があるからです。しかし、妊娠中にはしかにかかると早産や流産の可能性があります。感染リスクのある場所には行かないようにするなどの注意が必要です。特に海外旅行には注意してください。
妊婦の周りにいる家族などは、子どもも大人もワクチン接種を受けておいた方がよいでしょう。それが妊婦とおなかの赤ちゃんを守ることにつながります。



感染者と接触したら
はしかの感染者と接触した場合、72時間以内にワクチン接種を受けると、発病しない可能性があります。また、ガンマグロブリンを発症予防に使用する場合もあります。

症状が出たら
症状が出たら、まず、医療機関に事前に電話で相談してください。そうすることで、交通機関や医療機関での二次感染を防ぐことができます。医療機関のアドバイスを受けて受診してください。

参考 NHK
トピック2 Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」 4月から定期接種へ

百日せきや破傷風などを予防する子どもを対象にした4種混合ワクチンに、肺炎などを引き起こすHib感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、厚生労働省はことし4月から新たに法律上の定期接種に位置づけて接種を行う方針を決めました。

子どもが接種する4種混合ワクチンは、百日せきや破傷風、ジフテリア、ポリオを予防するためのもので、生後2か月から接種が行われています。

5日開かれた厚生労働省の専門家分科会で、4種混合ワクチンに肺炎や髄膜炎などを引き起こすHib感染症を加えた「5種混合ワクチン」について、法律上の定期接種に位置づけて接種を行うことについて了承されました。

定期接種の対象となるのは生後2か月から7歳半までで、一定の期間をあけて初回接種と追加接種で合わせて4回の接種が行われます。

Hibワクチンは、現在も単体で定期接種が行われていますが、4種混合ワクチンも合わせると合計8回の接種が必要で、スケジュール管理が課題となっており、5種混合ワクチンに混合することで接種回数を減らすことができると期待されています。

5種混合ワクチンの定期接種は、ことし4月から行われます。


 
参考 NHK
トピック2 さいたま市、全中学校の正門にAED設置へ 

 さいたま市教育委員会は25日、市立中学校全58校の正門など屋外に、自動体外式除細動器(AED)を本年度中に設置すると発表しました。2011年9月、市立日進小学校6年の桐田明日香さんが駅伝の練習中に死亡した事故を教訓に。市立学校の子どもらの問題提起を受け、検討されていた。屋外にAEDを設置することで、24時間救命措置が可能となり、市教委は「救いうる命を救うことができる」としている。
寄贈するのは、同市西区の「小山本家酒造」が創業215周年を記念して、AEDと屋外型AED収納ボックスそれぞれ58台を寄贈する。
市教委はAEDを使用した救命マニュアル「ASUKAモデル」を策定した。教職員の研修を充実させ、小学5年から中学1年にかけて、AEDの使用を含む心肺蘇生法を学ぶ授業を実施している。
 市内全域の中学校の正門に設置することで、探すことなく、24時間救急活動が可能になる。収納ボックスは施錠せず、リモート監視や位置情報システムが導入される。
参考 埼玉新聞 

トピック4 止まらぬ花粉治療薬の供給不足

このランキングは、出荷調整や出荷停止などの医薬品供給状況を登録しているDSJP(医薬品供給情報データベース)において、直近1週間に閲覧された回数の多い医薬品名を示したものです。

2024年2月18日〜24日に供給情報について検索された医薬品のうち、内服薬の上位10製品について紹介します。内服薬



順位 商品名 製造販売
1 ⬆ オノンカプセル112.5mg 小野薬品工業
2 ⮕ ツムラ葛根湯エキス顆粒(医療用) ツムラ
3 ⬆ アスパラ-CA錠200 ニプロESファーマ
4 再 ラベプラゾールナトリウム錠10mg「ケミファ」 日本ケミファ
5 ⬇ ポララミン錠2mg 高田製薬
6 再 セレコキシブ錠100mg「ケミファ」 日本ケミファ
7 ⬆ モンテルカスト錠10mg「KM」 キョーリンリメディオ
8 再 ランソプラゾールOD錠15mg「トーワ」 東和薬品
9 再 ローコール錠20mg サンファーマ
10 ⬇ レスプレン錠20mg 太陽ファルマ




花粉症に伴う需要増加も相まって供給不安が拡大し続けています。患者さんへの影響をできるだけ回避できるよう、早め早めの対応を心掛けていきたいとおもいます。

      

参考 日経メディカル
トピック5 埼玉で「溶連菌」初の流行警報 続報


埼玉県は20日、「溶連菌」による咽頭炎として知られるA群溶血性レンサ球菌咽頭炎の感染が増加しているとして、流行警報を発出しました。11~17日の1定点医療機関当たりの報告数は警報基準値の8人を上回る8・04人。警報の発令は統計のある1999年以来初めてのことです。

溶連菌による咽頭炎は子どもに多くみられ、2~5日の潜伏期間があり発熱や喉の痛みなどの症状がある。1週間以内に軽快するが、まれに重症化し、全身に赤みが広がる「しょう紅熱」への移行や、リウマチ熱や腎炎の原因となる場合があります。。

県感染症対策課は予防のため、外出後の手洗いや消毒、せきエチケットなどの感染予防にこころがけるように呼びかけています。


続報、劇症型溶血性レンサ球菌感染症の報告例が確認された自治体は45都道府県に

 劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS、5類全数把握疾患)の感染が拡大しています。国立感染症研究所のIDWR速報データによると、2024年の累計報告数が2月18日までの第7週に338例に達しています。昨年は941例と現行の調査が始まって以来の最多を記録したが、2024年に入ってからも報告が絶えず、第7週で既に昨年の3分の1を超えました。また、報告例が確認された自治体は、45都道府県に広がっています。


 図1は、STSSの累計報告数の推移を見たもの。昨年に比べて、2024年の報告数が急増していることが一目瞭然


 報告例のあった自治体数を見ると、第1週は15都道府県だったが、第7週には45都道府県に増加し、地域的な広がりも見せています。第7週時点で累計報告数が最も多いのは東京都の56例で、埼玉県が26例、千葉県が21例、神奈川県が18例と続く。東京都とその周辺の県で目立つが、愛知県や大阪府でも16例と多くなっています。


70歳代が最多、50歳代以下も32%
 2024年のSTSSの報告例のうち、感染研の感染症週報で確認された302例について年齢・年代別に見たところ、70歳代が75例と最多だった。60歳以上が67.9%と多くなっているが、50歳以下も32.1%と決して少なくはない。報告時死亡例は302例中76例で、致死率は25.2%だった。


図2 2024年に報告されたSTSS(302例)の年齢・年代分布
参考  日経メディカル


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