笑気麻酔というのは患者さんを酩酊状態(酔っ払ったような状態)にさせるものであり、基本的には次に述べる局所麻酔の補助的なものだと言えましょう。
全身麻酔の場合と違い、笑気麻酔下にある患者さんの場合にはちゃんと意識があります。したがって、リアル・タイムでの会話はほぼ正常に行えます。但し、患者さんは前述のとおり酩酊状態にありますので、時間の経過などはハッキリと認識されていないのが通常です。
ところで、私も学生時代に経験があるのですが・・・酔っ払っている時って、ひっくりかえって少々擦り剥いたところで、痛くも痒くもなかったりしますよね。
別名「迷入麻酔」とも呼ばれるこの笑気麻酔の効果を簡単に説明するならば、このような「酔っ払い効果」(!?)とでも言うべき痛みに対する反応が鈍くなることを期待できるというわけなのです。
しかし、以下の理由などから笑気麻酔には賛否両論があるということも、また否めない事実でもあります。
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患者さんによって、その効果にはかなりのばらつきがある |
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治療自体は終わっても、完全に覚醒されるまでの数十分はお帰り頂けず、特に直後の自動車の運転はもってのほかだということになる |
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患者さんによっては、その導入時に逆に恐怖心を持たれるケースがある |
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etc. |
ちなみに、私も随分以前の話ではありますが、3年ほどにわたって子供からお年寄りまで多くの患者さんにこの笑気麻酔を使っていたことがあるのですが、現在では全く使用していません。
では、何故今は使っていないのか・・・その理由は、実にシンプル。今の私には、患者さんを酔っ払わせて治療することの必要性が感じられないからにほかなりません。
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