あの頃のPADI
管理人的 PADIの掘り下げた話
Cカードにまつわる話
安全にスキューバダイビングを楽しむには、そのための知識と技能を有しているという証明が必要です。その証明をするのがダイビングの指導団体が発行している「Cカード( Certification card =認定証 )」と呼ばれているもので、各指導団体が独自に発行しているものです。
Cカードには初級者レベルのものから上級者レベル、ダイビングの特定分野の専門技能、プロレベルなど様々なものがあります。
管理人は(たまたま)PADIのインストラクターからダイビングの講習を受けたので、PADIの初級者レベルのCカードをもらいました。下の写真がそのときのカードです。表地の色は銀色、表面に小さく「PADI PADI PADI…」と書かれているのがわかるでしょうか?これ、PADIのアメリカ支部が発行したカードなんです。管理人が教えてもらったインストラクターは日本人ですが、サイパンで活動しているので登録がPADIアメリカになります。そこで、カード発行の申請書もPADIアメリカに送り、アメリカからカードが届きました。
日本で講習を受ければ、もちろん日本支部であるPADIジャパン発行のカードになるわけですが、日本のカードは当時は表面に「PADI PADI PADI…」の印字はなく、銀一色の表地になっていました。ちなみに、裏には顔写真と名前、認定日などが書かれています。
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PADIの場合、初級レベルの「オープン・ウオーター・ダイバー」の次のステップは「アドバンスド・オープン・ウオーター・ダイバー」です。そして単純にステップアップするのであれば、次は「レスキュー・ダイバー」になります(それぞれの詳しい説明を知りたい人はPADIのサイトで調べてね)。
それぞれのカードは下の写真のようになりますが、表地の色が「金」、ゴールドです! これ、ステップアップしたからというわけではなく、「PADIファイブスター・ダイブセンター」で講習を受けて発行されたカードだからなんです。
PADIのインストラクターは、PADIと個人契約をして、PADIの教育システムを使って講習をして、PADIのCカードを発行します(毎年契約料を払って資格を更新する必要があります)。だから個人でも講習できるのですが、仕事としてやる場合は普通はダイビングのお店を開くか、そこに雇われて講習します。そして、そのお店にランクがあるんです。
「PADIダイブセンター」等、お店の名前に「PADI」をつけて名乗るには、PADIが決めた条件を満たした上でお店としてのPADIとの契約が必要で、PADIのインストラクターがいるだけでは、「PADIショップ」とか「PADIダイブセンター」とか言っちゃいけないんです。で、「PADIダイブセンター」にもランクというか種類がありまして、ファイブスターなどのダイブセンターでは「ゴールドカードが発行できる」ってことになります。
個人や普通のダイブセンターでCカードを取ると「シルバーカード」、でもファイブスター・ダイブセンターで取ると「ゴールドカード」、もちろん講習内容や質は同じ、ダイビングをするときに利用する現地のダイブセンターやリゾートで扱いが変わるといったことはありません。でも、金色のカードはなんとなくステータスが高そうに感じるのはリアルバブル世代だからでしょうか。まあ、さりげなく差別化を図っているわけです。
というわけで、管理人が当時サイパンに行って、そこのPADIファイブスター・ダイブセンターだった「PRO-DIVE SAIPAN」で取ったカードがこちらです。「PADI PADI PADI…」の印字がありますが、日本のゴールドカードはシルバーと同様、金一色になります(現在はシルバーではなくブルーや写真の入ったデザイン、ゴールドはあまり金ピカではない金になっていますね)。
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この先に進みたければ、アマチュアの最高峰「マスター・スクーバ・ダイバー」を目指すか、プロコースに進むか選ぶことになります。管理人はプロコースを選び、同じ「PRO-DIVE SAIPAN」でダイブマスターになるためのトレーニングを受けてダイビングプロフェッショナルの第一歩、ダイブマスターになりました。ダイブマスターになるとメンバーNo.が与えられます。管理人は日本支部の先頭番号「8」に続いて「07000」番台でした。
これがそのときにもらったカードです。表の色は黒!そう、PADIのプロランクのカードはブラックカードなんです(なんか、クレジットカードのランクみたいですね)。今までのカード同様にPADIアメリカに申請書を送って、でも、管理人の住所が日本なので書類がPADIジャパンに送られ、PADIジャパンが発行したカードが送られてきました。
そう、プロになると毎年PADIと契約しなければ活動できないので、活動拠点を管轄する支部と契約することになるので、今までのカードと違ってアメリカ所属のインストラクターから講習を受けても、カードの発行は日本になるのです。なので、カードの表面は黒一色! でも管理人的にはブラックカードは黒一色の方が渋いと思うのです。
ちなみに、裏側には今年もPADIと契約して活動できる状態ですよ、ということを証明するシール(契約を更新すると送られてくる)が貼ってあります。
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インストラクターになる前に、アシスタントインストラクターの資格を取りました。ダイブマスターから直にインストラクターになれるので、アシスタント・インストラクターをとる人は珍しいのです。というわけで、レアなアシスタント・インストラクターのカードです。
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IDC(インストラクター開発コース)でトレーニングを受けて修了し、IE(インストラクター試験)に合格すると、はれてPADIのオープン・ウオーター・インストラクターになれます。インストラクターとしての最初のランクですが、当時は、オープン・ウオーター・ダイバー、アドバンスド・オープン・ウオーター・ダイバー、レスキュー・ダイバー、ダイブマスター、アシスタント・インストラクターの講習と認定ができました。
裏面には、このインストラクターは現在講習できる状態であることを示す、金色の「Teaching Status」シールが貼られていました。
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ステータスシールは、講習できない状態(保険に入っていない)だと、銀色の「Non Teaching Status」のシールが送られてきます。年の途中からでも、保険に加入して講習できる状態になると、金色のシールが送られてきて張り替えます。これ、毎年のPADIメンバー資格更新(契約)と併せて毎年更新する必要があります。この銀と金のシールですが、2005年から白と黄色のシールになりました(グレードダウンな感じです)。
その後、2008年からはステータスに関してはウェッブで確認する形になり、下の中のようなシールが送られてきて、以降、毎年のステータスシールは廃止されました。
現在は、右のようにカードにこのシールの記載が印字されていて、毎年シールを貼り替える儀式はなくなってしまいました。
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スペシャルティー・インストラクターという資格があります。これは、ダイビングの専門分野、テーマごとの講習と認定を行う資格で、「DEEP:18mを超える深度に潜るダイビング」や「WRECK:沈潜ダイビング」などがあります。カードの表面には「SPECIALTY INSTRACTOR」とだけ印字されていて、裏面に何のスペシャルティーかが書いてあるます。新しく入ってきた「ENRICHED AIR」だけは、特別な感じで表面に金字で印字されています。
ちなみに、PADIジャパンも管理人がはじめの頃に取ったカードの表面は単色でしたが、途中から「PADI PADI PADI…」の柄が入ったものに変わりました。
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5種類以上のスペシャルティー・インストラクター資格と、PADI MFA(Medic First Aid:心肺蘇生法・応急処置:現在はEFR:Emergency First Responseに変更)のインストラー資格をとって、PADIダイバーの認定数の条件をクリアするとマスター・スクーバ・ダイバー・トレーナー(アマチュアの最高資格であるマスター・スクーバ・ダイバーの認定ができる)になることができます。
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次の資格としてIDCスタッフ・インストラクターがあります。これになると、IDCのスタッフとして参加することができるのと、オープン・ウオーター・インストラクターでは認定できなくなった、アシスタント・インストラクターの認定ができるようになります。下の右側は、PADIが設立50周年の時の記念デザインカードです。これ以外にもPADIでは、通常デザインのカードの他、水中生物の写真を使ったデザインカードを発行しています。
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この先さらに、マスター・インストラクター、そしてIDCを行うことができるコースディレクターと上のステップがありますが、個人で活動している管理人は、条件が厳しくてついていけませんでした。ここまで読んでいただいた方はお気づきになったと思いますが、PADIのダイバー教育システムにはまると次から次へと新しい目標を目指すことができるようになっています。これを管理人は「PADIの蟻地獄」と呼んでいます(笑)が、皆さんも蟻地獄にはまってスキューバダイビングを思う存分楽しんでみませんか?
ダイビングは自然を楽しむ活動です。なので、自然環境を守って、未来永劫楽しめるようにしなければなりません。そこで、PADIでは、海と水中環境を守るための活動「プロジェクトAWARE」を行っています。水中環境を守るために特に重要なダイビングスキルである中性浮力を身につけるスペシャルティー、「Peak Performance Buoyancy」のインストラクターカードです。ダイバー用は表地が緑色になります。
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アドベンチャープラスカード
スキューバダイビングって潜るたびにログブックに記録をつけるんですが、何回潜ったかその数を「本数」で数えます。「本数」はタンクの本数のことで、通常は1回のダイビングに1本の空気タンクを使うことから来ています(ちなみに、ボンベとは言いません。さらに最近は「シリンダー」ということになりました)。
本数だけ言えば20本潜れば初心者脱出、ダイブマスターになるためには最低60本、インストラクターになるためには最低100本のタンク本数が必要です。もちろん、同じ場所で100本潜った経験より、いろいろなところで、いろいろなダイビング経験を積んでいる方がプロとしてはよりよいということになります。
このタンク本数、多い方がなんとなく「ベテラン」という感じがして、ダイバーが集まると「いままでに何本潜りました?」という質問が必ず出て、自分の方が多いと、ちょっと優越感に浸れました(なんと体験ダイビングだけで100本なんて強者もいました)。
ダイビングリゾートでは、どこのポイントに連れて行くかタンク本数を参考にしますし、そこでのダイビングで100本や200本目を迎えると、「100本オメデトウ」なんて書かれた旗を持って水中で記念写真を撮ったり、リゾートのTシャツにサインを入れて贈呈してくれたりと、イベントとして祝ってくれたものです。
PADIでも区切りのダイブ本数ごとにその本数を顕示する(当時はいろんなことに「見栄」を張ることが結構重要だったんです)カードがあって、50本、100本、200本、350本、500本、1000本とタンク本数を重ねるごとに申請するとアドベンチャープラスカードとバッジとキーホルダーのセットがもらえました(あっ、今までもいろいろなものを「もらえる」と書いてきましたが、すべて有料です。商売なのであしからず)。ちなみに無料でPADIメンバーが配っていた、はじめの一歩ならぬ、はじめの25本記念シールがあります。管理人は認定した生徒やリゾートなどで一緒に潜った人が25本目を迎えたときに、記念にログブックやCカードに貼って差し上げていました。3枚だけ残った貴重なシールです。
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郵送だった連絡物
PADIの基準(インストラクターと生徒の人数比など)や教材などの教育システムなどは、時代の変化に合わせて常に改善されています。細かいところは結構頻繁に変わっていて、その情報や教材、新コースの情報等が「トレーニング・ブルテン」という冊子にまとめられて4半期ごとに郵送で送られてきました。
トレーニング・ブルテンと一緒に「アンダー・シー・ジャーナル」というPADI本部が編集した雑誌と「PJレポート」というPADIジャパンが編集した雑誌が送られてきました。
そして、基準などの変更や誤字、文章の訂正などを行ったインストラクターマニュアルの差し替えページも入っていて、その都度、該当ページを差し替える儀式がありました。PADIメンバーは、常に新しいダイバー教育システムを確認し、変更点を反映した最新の指導内容・方法でダイバー教育をしなければならないという契約になっているので、このような確認作業を常にしなければならないのです。
時代は流れ、世の中がデジタル社会になっていくと、郵送で届いていたものはすべてオンラインで確認することになり、インストラクターマニュアルも基本的には紙ではなくデジタルで、変更箇所も自動的にアップデートされるようになりました。紙がたまって…とか、置き場所が…、といったことはなくなりましたが、分厚いマニュアルがなくなったり、定期的に届けられる「具体物」がなくなったのは、管理人的にはどこか寂しい気がします。
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イメージキャラクター
1997年からPADIも女性タレントをイメージキャラクターに起用して、その年のPADIの顔として宣伝媒体に使っていました。1997年は雛形あきこさん、1998・99年はビビアン・スーさん、2000年は辺見えみりさん、2001・02年は広末涼子さんでした。
PADIのダイビング紹介雑誌「ダイビング・パラダイス」や各種チラシ、ウエッブサイトにも使われていましたが、契約が切れると使用することができなくなります。その辺厳しくて、「○○さんの画像は使用しないでください(印刷物は廃棄)」と定期連絡物にそのたび注意書きが書かれていました。
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年賀状
PADIジャパン登録のメンバーの元には毎年年賀状が届きました。イメージキャラクターがいる年は、そのタレントの写真を使った年賀状です。
それもデジタル化の波により、郵送ではなくデジタルデーターで見る形になり、そして年賀状はなくなってしまいました。
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ワッペン・ステッカー
海なし県では、当時スキーをする人は多くてもスキューバダイビングをする人はまだ少なく、なんとなく特別感がありましたので、何かと見栄の張り合いをする時代、「俺ってダイバーなんだぜ」っていうことを誇示するのに、ワッペン、ステッカーは絶好のアイテムでした。あの頃のPADIには、様々なワッペンやステッカーが用意されており、キャップに縫い付けたり、車の窓ガラスにこれ見よがしに貼ったりしていました。
ごくたまに、地元でPADIのステッカーを貼った車を見つけると、ちょっと親近感がわいたものです。今は、こんなことしている人は…見かけないですよねぇ~。
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これは、市販されていない「メンバー・フォーラム」のステッカーです。トレーニング・ブルテンを読む以外に、各地で開催されるセミナーに参加して、基準の変更点など確認する機会があり、それがオンラインになり、受講すると参加証明書と一緒に送られてきたものです。
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