行者は何もなかったかのように、ゆっくりと歩き出しました。
しばらく行くとまた、行者の足がぴたりと止まり、大きくうなずくと、再拝するのでした。どうした事かと ともの者たちが前方に目をやると、薄暗い山中、一筋のこぼれ陽の差し込むところ、
確かにほこらが祀られているでは有りませんか。
さっそく※御座(おざ)にて神意を尋ねると
『長い間待ち望んだ者がようやく現れた、非常にうれしい、先達となり人々をここに導くがよい。必ずや皆の望みをかなえよう。』とのこと、嶽行行者を先達に有志が集い。参道を築き、社を設け、滝を作り、講(松尾宇蛇講社)を創り、参拝すれば、これは、これは、霊験あらたかと評判が、評判を呼ぶことに成ったそうで、今では全国各地からお詣りに訪れるとのことです。

補作…藤森聖二

※御座・・・御嶽教に伝わる、神様のお言葉を聞く方法。

このお話は伝説をもとに、新たに書かれたものです。
平成十三年辛巳年(2001年)

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