
これは、今の長野県は上田と言う城下町の、昔むかし、昔むかしのお話しです。
『上田城』には、真田氏がお城を築いたときから白い蛇が住み着き、戦乱から城を守り城下を平穏に静めておりました。
ある夏の日のことです。房山村の大工さんが、お城の蓮堀あたりを歩いていると水堀の方から助けを呼ぶ声がするではありませんか。駆けつけて見ると、なんと草刈り仕事に来ていた人が大きなヘビにまきつかれ、今にも堀の中へ落ちようとしているのです。これは一大事と、大工道具もほうり投げて駆け寄って見ると、実に大きなヘビではありませんか。大工さんはかたわらに落ちていた大きなカマを手にとるや、無我夢中でダイジャめがけて切りつけました。
その時です大きく振り降ろしたカマに手ごたえがあったかと思うと、
血しぶきが飛び散りダイジャの首が宙に舞い、ドボンと大きな音をたててお堀の中へ、
そのとたん 雷鳴がとどろき、ものすごい夕立ちが、あたりは昼間と言うのに夕方のようです。残った胴体は、雨にたたかれ だいぶ長いことのたうち回っていましたが、ついに水際で息たえのでした。
ようようの思いで助かった二人は、しばしぼうぜんとしていましたが、ふと、我に返り大蛇の死がいを見て目をみはりました。夕立ちも上がり明るい日差しの中、なんと美しいのでしょう、まっ白い体は七色に光輝いているのです。
『こいつはめずらしい』『白い大蛇だ』いつの間にか二人の回りには、いく人もの人が集まっていました。大変珍しいと言うことで、大手門まで運び、その門のかたわらにつるして置く事にしたそうです。