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■ 動物ジャーナル94 2016 秋

  Caution !

環境省が飼育ケージサイズ等の数値規制を検討

動物虐待防止会 調査部


 すでにご存じと思いますが、先ごろ環境省が、生体販売環境での犬猫の詰込み飼育に対し、ケージ寸法等の数値を設定して規制するとの新聞報道がありました。(朝日 16・10・30)

 記事によると生体の繁殖販売環境で、例えば、ケージのサイズ等を数値で示し、これを業者に遵守させることを想定、環境省は有識者による検討会を立ち上げ、来夏には結論を出すとのこと。
 また、業界側が警戒していることや、この種の記事に欠かせない"伝家の宝刀・決めゼリフ"の「欧州先進国ではすでに導入されている」も記されていました。
 昨年十月の繁殖制限報道※と同様に、あいも変らず、どうぞご自由にといったところですが、当会としてそうもいかないので、以下簡単ですが、考えてみました。
    * 15年十月二十四日 時事通信

法改正とは別で?!

 この数値規制報道を裏付けるように、環境省動物愛護管理室長は去る十一月十二日のペット法学会年次大会で、この記事とほぼ同様の発言をしています。その内容は、
① 数値規制に関する検討会を今年度内に立ち上げる。
② 数値規制が必要と結論されれば、施行は来年夏頃を予定。
③ 数値規制は動愛法改正とは別に行う。
大体このようなものです。

誰が数値規制に携わるのか

 実際に数値規制に基づき業者監督を行うのは、申すまでもなく地方自治体です。
 また、仮に数値規制が施行された場合、相当数のコスト(人員、経費)がかかることは言うまでもありません。

数値規制は本当に有効に機能するか

 結論から言えば、費用対効果以前に、実効性は疑問と言わざるを得ません。
 なぜなら、既にカツカツ状態の地方自治体が多いので、数値規制に見合った予算を組むことが難しいと思われるからです。環境省が予算を増額するのであればともかく、現場に予算と人手がなければ、新規制は空文化してしまいます。

新たなことはせず、今ある法律を適正運用すべき

「どうして動愛法は機能しないのでしょうか?  スタンバオ 眞理代」(『動物ジャーナル89』)で述べられたように、現在の動愛法すら適正運用されているか、甚だ疑わしいのが現状です。
 適正運用に至らない理由は、自治体の怠慢もあるでしょうが、予算が組めない等の事情もあります。また、当初の法律条文に比して細分化している現在の動愛法は充分に運用できていません。
これらの点に目を向け、現行法規の適正運用に先ずは専念すべきであると考えます。
 つまり、新たなことには手をつけない方がよろしいのではないか。
 過去より、愛護諸氏の中には更なる法律や決りごとを作れば、問題が解決すると考える向きがありますが、それほど現実は甘くありません。落着いて足元を見ましょう。

 当会は、繁殖・販売業の実情を知悉できる立場になく、伝聞によりかなり劣悪と知らされるだけですので、その改善に反対するのではありません。が、規制するのであれば、実効性あるものにしてほしいと望みます。