TOP | ■ アピール | ■ 活動報告 | ■ GPCA-FAQ | ■ トピックス | ■ 出版案内 |
mook 動物ジャーナル | ■ Links | ■ 通信販売 | ■
ご連絡窓口 |

TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー 動物ジャーナル78・最近の報道から

■ 動物ジャーナル78 2012 

  最近の報道から

 この表題の下で、新聞記事その他から、動物問題を考えるために重要と思われる情報を、要約してお伝えします。
 今回は、少し気になる傾向が見えた「動物実験」の記事を集めることにしました。二〇一二年の八月まで、入手した記事の内容は省略、誌紙名もはぶき、見出しだけを月別に羅列します。
( )内に、使われた動物名を私に補いました。
一月
5日 インスリン効果減のタンパク質 神戸大など発見 肥満、糖尿病治療に応用も(マウス)
25日 iPSの神経 サル脳で機能 京大研究 パーキンソン病に光(サル)
28日 「腹八分目で長寿」サルの実験で証明 〈カロリー制限なしで同じ効果〉の成分探る R・ウェインドルックさん(サル)
30日 アレルギーとがん抑制と「もろ刃の剣」細胞発見 富山大(マウス)
31日 メラニン色素の仕組みを解明 白髪予防に期待 東北大教授ら(マウス)
二月
6日 発毛の休止期、遺伝子抑制でフサフサ 実験で確認 脱毛症に朗報も 産業技術総合研究所(マウス)
8日 胃粘液の「鎖」がんをブロック 信州大チームが確認「薬開発に活用も」(マウス)
10日 トマトにメタボ改善成分 京大グループが発見(マウス)
iPS細胞、遺伝病治療に道 自然修復細胞を選択 京大再生医研(マウス)
13日 肺腺がん原因遺伝子発見 国内外三チームが同時発表 オーダーメイド医療追い風(マウス)
15日 小さな小さなブタ開発 体重10キロ、医療用(ブタ)
20日 「太る」遺伝子特定 高脂肪の食事でメタボ促進 京大・仏国立研、世界初(マウス)
22日 パーキンソン病サル ヒトES細胞で改善 京大、脳へ神経移植(カニクイザル)
23日 遺伝子の欠損で脳室拡大、初確認 アルツハイマー病解明も 奈良女子大大学院(マウス)
仲間や遊具で賢くなる「刺戟と脳」仕組み解明 東大チーム (マウス)
27日 卵巣に「生殖幹細胞」 埼玉医大・マサチューセッツ総合病院チーム確認(マウス)
三月
5日 老化防止に人気のサプリ ビタミンEのとり過ぎ注意 骨粗鬆症リスク高まる 慶大チーム(マウス、ラット)
12日 幹細胞で大腸修復成功 体外で増やし 東京医科歯科大(マウス)
14日 ナノ微粒子 大人より乳幼児の肺に沈着しやすい ハーバード大実験(ラット)
16日 「休眠卵子」体外受精に 聖マリアンナ医大、臨床研究 妊娠機会拡大も 動物では成功(マウス)
20日 卵子の膜通過 精子二回可能 不妊治療に応用も(マウス)
21日 失恋ハエ、やけ酒か 脳内物質関係「中毒」解明に光 カリフォルニア大チームが発表(ショウジョウバエ)
22日 心停止後移植でも臓器機能保持 ラットで 自治医大チーム(ラット)
29日 iPSより早い、安全 皮膚から直接神経細胞作成(マウス)
四月
2日 しみ、そばかす招く遺伝子発見 「日光過敏症」が原因 大阪・東北・広島各大、他大学も(マウス)
4日 痛風、第三の原因は 小腸の尿酸排泄減少 東京薬科大など発表(マウス)
10日 フリーズドライ精子で子 五年保存後、誕生 京大医学研究科グループ(ラット)
排卵調整の仕組み解明 名古屋大グループ 不妊根本治療に道(マウス)
脳前頭葉に「不安の源」 うつ、PTSD=心的外傷後ストレス障害=治療法確立に前進 マサチューセッツ工科大チーム(サル)
15日 インフルワクチン 皮膚パッチで効果長持ち 注射より抗体減らず 米チーム(マウス)
18日 急性脳浮腫、抗体投与で抑制 「突然死や障害を防げる」岡山大成功(ラット)
国内初 ES細胞臨床研究 新生児肝臓病で計画 国立成育医療研究センター(マウス・ブタを予定)
幹細胞移植 毛が生えた マウスの背に再生 東京理科大チーム成功(マウス)
19日 骨作り促進&保護のタンパク質を発見 骨粗鬆症治療に期待 東京医科歯科大チーム(マウス)
30日 急性腎不全原因タンパク発見 新治療に期待 ハーバード大チーム(マウス)
五月
1日 脳神経発達にGABA(ギャバ=神経伝達物質)が作用 統合失調症・自閉症原因解明に期待(マウス)
2日 夜中のトイレ、我慢できるのは… 膀胱容量を体内時計が制御 京大などのチームが解明 夜間頻尿治療に期待(マウス)
9日 マウス胎児の腎臓の芽を移植 ラット体内で独自に腎臓再生 東京慈恵会医科大など(マウス、ラット)
心筋梗塞抑制ホルモン 名古屋大チーム特定 治療に光明(マウス)
12日 補助心臓ワイヤレス化 完全埋込みへ道 東北大教授ら、世界初開発(ヤギ)
21日 脳梗塞悪化の仕組を発見 慶大など 新治療法の可能性(マウス)
30日 胃や前立腺 がん転移の仕組み解明 タンパク質が促進 名大大学院グループ(マウス)
六月
2日 肝臓時計 インスリンが調整 「食生活とメタボ」関係証明 名古屋大(ラット)
8日 iPS細胞で人の肝臓 マウス体内で初の臓器 横浜市大チーム(マウス)
9日 お肌のしみ これが原因 メラニン増やす蛋白質 メナードなど解明、予防薬に期待(マウス)
老化促す蛋白質 千葉大など、マウスで特定(マウス)
マグネシウムが記憶維持に役割 都研究所などが解明(ショウジョウバエ)
12日 アトピー治療に光 慢性化の原因タンパク特定 佐賀大、九大など(マウス)
白血球注射で脳梗塞治療 神戸の病院研究 骨髄から採取、静脈に(サル)
13日 iPS使い国内初の臨床試験へ 理研、来年にも 網膜細胞、マウスでがん化せず(マウス)
14日 免疫のないブタできた 農業生物資源研究所 新薬研究で活用へ(ブタ)
ES細胞(ヒトの胚性幹細胞)から網膜組織 理研など作成成功 難病治療に道(前段にマウス)
18日 脊髄に別神経回路 霊長類の「器用な手」解明 文部科学省研究班(サル)
22日 強毒「鳥インフル論文」公開 変異五ヶ所で感染力増(フェレット)
食欲抑制ペプチド作成 埼玉大が成功 メタボ治療に期待(マウス)
26日 脳神経回路狙い撃ち パーキンソン病、新治療に道 京大霊長類研が開発(サル)
七月
1日 幹細胞の培養液で骨再生 移植の安全性向上へ 名大チームが実験成功(ラット)
2日 光で免疫活発化 耐性菌対策に道 防衛医大(マウス)
8日 毛は免疫のスイッチ 皮膚侵入察知し細胞集結 慶大(マウス)
16日 難治性てんかんの原因解明 乳幼児期の熱性けいれん→神経の発達阻害 東大チーム(ラット)
八月
7日 青ジソに老化予防成分 京大など発見 含有量はわずか サプリメント開発に期待(ラット)
8日 暖めてしわ予防 慶応大チーム マウスで成果(マウス)
14日 ALS(筋萎縮性側索硬化症)進行抑制遺伝子特定 岐阜薬科大など(マウス)
16日 切断手足の痛み訴え「幻肢痛」の仕組み一部解明 東京女子医大チーム(マウス)
20日 腸の神経形成 細胞が「近道移動」 理研が解明(マウス)
22日 震える症状の原因遺伝子発見 東京医科歯科大チーム(マウス)
28日 体内時計、簡単に計測 採血一度で可能 理研と慶大など開発(マウス)
29日 心臓に遺伝子入れ、心筋再生 新治療法に期待 マウス実験、慶大が成功(マウス)
30日 胆汁酸排出で糖尿病が改善 メタボ予防活用も 慶大(マウス)
 動物虐待防止会は、動物実験を「虐待の最たるものとして」関心の対象にすると述べました(『動物ジャーナル創刊号』93春)。具体的な行動に出ることはありませんでしたが、個々の意識や行為によって実験を抜け殻にすることは可能と考え、そのための資料を提供しています。
 さて、今年の三分の二、八ヶ月間の見出しを、どうご覧になったでしょうか。この稿作成中に筆者が気付いたことをまとめておきます。
 第一に、記事の分量が例年より多い。切抜きの厚みだけですが、三分の二年でいつもの一年分を超えているように感じます。これは、動愛法改正作業中のテーマの一つ「動物実験規制」への対抗勢力が、なにがしかの力を発揮したのかもしれません。反発勢力の言動等資料は入手していますので、ゆっくり検証したいと考えています。
 次に、記事の書き方について。「これこれの遺伝子を持たないマウスをつくり」の類の記述が臆面もなくあふれ、こうやって慣れさせてゆくのかと空恐ろしく、他ページで「命の重さ/動物は家族」も氾濫し、最高責任者の権限は?と首を傾げざるを得ません。
 また、東日本大震災を契機に、これまでの発展・上昇志向を反省する機運が高まっていますのに、紙面で内容をみれば百年一日のごとく、ヒトのみの欲望の追求に熱中しています。何をか言わんや、です。
 私たちは実験を「抜け殻」にすべく、個々で考えなければと思います。
(青島)