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TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー 動物ジャーナル74・東日本大震災物故動物のために法要を行います

■ 動物ジャーナル74 2011 夏  

  東日本大震災物故動物のために法要を行います

動物虐待防止会


 三月十一日、大震災と大津波、加えて原子力発電所なる人工物による災害のために、広範囲に存在した「命あるもの」は、前代未聞の試練に遭遇しました。
 ヒトも動物もただ一つもつ生命を喪うもの多く、当会はひたすらに諸霊の安らかなることを希って哀悼のことばを捧げました。以来その意の薄れる時はなく、今日に至っております。
 死者を憶いつづけるのみでなく、なにかなすべきことはないのか、それを並行してずっと考えてきました。そして近時たどりついたのが慰霊の法要を執り行うことです。
 人間に関しては、忌日ごと、また七七忌(四十九日)、百ヶ日その他区切りごとに慰霊行事が行われたと伝えられています。しかしいまだヒト以外の生類のための法要が行われたことを知りません。

 人間の死歿者・行方不明者を示す数字は日々の新聞に更新され、今もってその怖ろしさを伝えています。生き継いだ人々も苦難を強いられて、他者を顧みる余裕のあるはずがありません。まして、縁をもった動物たちへの想いは遠慮され押しやられていると想像されます。それならば出来る人がやればよい。それでは誰が?
 幸いにして被災圏外にあった当会として、思いがありながら実現は不可能という方々に代り、物故生類のために法要を執行するのは、ほとんど天命に近いものと心得るに至りました。哀悼の意の表明のみで終了させられるものではないと思い続け、何かをと考えてきた結論がこれです。

 それではどのように? 第一に、宗教宗派を超越したものであること。次に、縁ある動物さんを亡くした方々に、少しでも慰め・安堵をもたらされるものであること。三番目には、この天災人災により歿した鳥獣虫魚=生類すべてを弔うべきこと。
 すなわち法要の対象は、ヒトとの直接の縁の有無に関らず全ての生類、法要は仏式で行いますが、志す人の宗旨教義によってそれぞれの心で祈るものでありたいと思います。

 実現の方法を探っていた間に、旧知のお坊様のお寺が福島であったことを思い出してお伺いを立てましたら、快諾いただきました。法要の趣旨上、場所は被災圏内がのぞましく、また、超宗教での実行を受入れていただかなければなりません。このご住職は私どもの希望を完全に理解して下さるお方でした。
 八月二日、そのご住職・大室英爾老師を福島県伊達市霊山町の曹洞宗石田山普光寺にお訪ねし、日程その他をご相談してきました。一五七一年開基の山内は威厳に満ち、清浄の空間に座して久々に心おちつくのを感じました。
 供養会の回向文に定型のあることを示され、「それはこれ」とすぐにコピーをとって下さいましたので、後にお目にかけます。
 日程は、十月五日午前中と決めましたが、急変もあり得ます。供養会は三仏事(僧侶三人)と称する基本的な規模、現在は僧一人の略式が多いがとのご説明でしたが、私どもの構えとして省略を好まず、三仏事でおねがいすることにします。費用一切は当会が負担いたします。

 折角の法要ですので、家族同様または気持をかけてきた動物さんを思い続けた人々に広く知らせ、想いをのべていただきたいと考えます。その方法は「葉書での申込み」としました。これも後に挙げ記しますが、葉書に個別の事項を書いていただき、普光寺様
へ送っていただきます。その葉書によって、志す主と対象動物さんが法要の場に参加することになるでありましょう。もちろん実際の参加を拒むものではありませんが、葉書一枚でという簡単な作業ですむことが、被災者各位に負担のないものと思います。
 広報を工夫して、被災各地の方々にこの趣旨が伝わるようこれから努めますが、読者諸兄姉におかれても、伝播かたおねがい申し上げます。

[申込み葉書について]

◎送り先は 
郵便番号九六〇─〇八〇七 伊達市霊山町石田字下屋敷六二
普光寺様気付 動物法要係

◎葉書の裏面に書いていただきたいことは
・動物さんについて  
種類(犬/兎/馬/金魚/とか)・呼び名(あれば)・年齢(数え年/分らなくても)・その他伝えたい内容何でも。
・依頼者(施主)について 
お名前・ご住所(連絡先)・その他何でも。

※ 一枚の葉書で複数の方が依頼されてもかまいません。動物さんも複数で結構です。
※ 個人情報の扱いについては法令を遵守します。

[法要の回向文](原案=いただいたコピー)

動物供養回向
仰ぎ冀くは三宝、俯して照鑑を垂れたまえ。

今月此の日、三宝を奉ずる信心の願主[(施主、主催者)]等、特に丹誠を抽んじて、当寺に就いて、[対象とする動物の霊]供養の法筵を厳修す。謹んで(現前の清衆を集め、同音に)[(経咒)]を諷誦す。集むる所の功徳は、所念の霊魂、苦海の一切の有情に回向す。伏して願わくは、この功徳力に乗じて疾く菩提心を発し、十方の仏前に生ぜんことを。次に冀くは、信心の願主、業務安全、無患安穩、福寿増長、諸縁吉祥ならんことを。

※ 施主の部分には、当会の名及び葉書を寄せられた方(一々のお名は無理ですが)が入ります。
※ 対象とする動物さんの霊の部分には「今回の大災厄物故生類すべて」の意を表す言葉を探索中です。先にしるした「鳥獣虫魚」の古典的ななだらかさも捨てがたく、または近ごろよく語られる中尊寺、その建立願文中にある「羽毛鱗介」も格調高く魅力的です。御意見お願いします。
※ 最後の一文「信心の願主」の現世利益を祈る部分は、私どもの趣旨から外れますので割愛していただく予定です。
※ まだ少し時間がありますので、願文についてはご住職のご指導を得ながら、私どもの気持に合うよう完成させたいと思います。


[御布施について]

 費用の一切を当会が負担しますが、もし読者諸兄姉にお志がおありならば、一紙半銭の御布施をお預りし、当会の用意とは別立てでお納めいたします。そして芳名を願文中の[施主]の部分に加えます(数によりますが個々名は無理かも)。
 なお、お受けした場合、芳名と金額を公表します。

[法要の段取りについて]
 当日は全て普光寺様に従って動けばよろしいのですが、知識も作法も不足する私どもとしては、前日に予行演習?をおねがいしないと安心できません。そのため十月四日午後に福島入りの上、お勉強が済みましたら近くに宿をとり、翌朝に備えます。
 また、法要終了後にお斎をさし上げます。小人数の会食になると予想しています。
 ざっとこのように予定していますので、もしもどの段階かで参加(恐縮ながら自費で)ご希望の向きがありましたら仰せ越し下さいますよう。
 この災害によって落命したものその数を知らず、まだどれほどの不幸が発生するか見当もつきません。ひと知れず埋もれてゆく生類の、せめて苦悩の軽微であるよう、この法要においてそのことも祈念したいと思います。
 以上でこの法要に関する事柄の説明を終ります。
 霊山町は、福島市の北東に接し、緑におおわれ、なだらかな起伏のつづくゆったりとした感じの町でした。福島駅からの往復をご住職が自ら車を駆って下さり、途次あそこがホットスポットですよと。飯舘村にも隣接するシチュエーションなので、最近高線量の地が喋々されていました。現実にそれと指されて見つめると言いようのない怒りがこみあげます。
 普光寺様も地震の被害に遇われていました。参道の擁壁が崩れ、本堂や経蔵の土壁が落ち、本堂の仏前に置かれた一対の大きな燭台が転げ落ちて、床に傷が残った…。鐘楼も、墓地も。揺れもまだ続いているし職人さんはもっと大変な方に手をとられているし、復旧を焦ってもと思うと、さすが悟っていらっしゃる方のお話でした。
 この度このようなお寺にご縁をいただき、私どもの憶いを実現できることになりましたことに感謝しつつ、法要のご案内を終ります。