『動物ジャーナル67』「動物虐待防止会より」のページで、二〇〇九年の収支報告及び補助金支出先一覧を掲げ、この作業の終了をご報告いたしました。
これまでの例にならい、申込者の関られた動物さんの様子を、添えられたお手紙によりご紹介いたします。お名前はもちろんのこと、地域や場所も特定されないよう、固有名詞を伏せます。(「 」内はほぼ原文のまま)
補助金額の何倍もの負担と心身ともに降りかかるご労苦に、敬意を捧げ、感謝いたします。
また、当会を信頼して下さり、ご芳志をお寄せ下さいました皆様に、あらためて御礼申し上げます。
みなさま、どうもありがとうございました。
動物虐待防止会
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○ねこ ♂ 七ヶ月 |
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基本は黒で、顔の下半分からお腹、足は白色。鼻の右側に黒の点印。尾は短い。室内飼いです。もとは道路にうずくまっていた仔猫、手術は可哀想ですが、アパート住いの為、近所に迷惑がかかるので。食べ物より遊びに夢中になる元気な子です。 |
○ねこ ♀ 七ヶ月 |
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色はグレー。我が家に生後六ヶ月ほどの子が迷い込んできた。人なつこく毛並もきれいで、トイレの躾もされていたようなので、おそらく誰かが捨てていったのだと思う。家にあげてしまったら情がうつってしまい、保護することにしたが、ネットで調べて、不妊手術をした方がいいとのことだったので、先日手術した。現在元気に成長中。やはりネットでこちらの会を知った。私の住む市では補助金が出ないようです。
「野良猫がけっこう多く、小屋で仔猫を産まれてしまった…という話をよく聞くので、被害を訴えるだけでなく、そういう制度を作って野良猫を増やさないことが大事なのでは…と、調べるうちに思いました。健康な体にメスを入れるのは…と悩みもしましたが、生まれても飼ってあげることのできない子を増やすのはもっとかわいそうで無責任なことですものね…」 |
○ねこ ♀ 九ヶ月 |
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ロシアンブルー 色はシルバー。 発情期になり、子どもができてももらい手を見つけることが難しいと考え、手術した。
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○ねこ ♀ 一年三ヶ月 |
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シャムねこ 体は白と薄茶色、耳・顔・足・しっぽは濃い茶色。 一時体調が良くならず、延期していたが、手術できた。順調に快復している。これからも大切に育てていきます。 |
○ねこ ♂ 推定一年二ヶ月 |
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キジトラ・面長。「公園でお腹を空かせて鳴いていたところを保護し、その後わが家で室内生活をしています。」 私は社会人一年目、彼は卒論などでアルバイトできず、費用を三ヶ月かけて準備し、先日やっとワクチンと手術ができた。ネットで、自治体で支援しているところもあると聞いたが、現住所の自治体ではそれがないので、こちらに申し込んだ。 |
○ねこ ♀ 二年位 |
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真っ黒。 近所ののら猫さん。ご飯はよその家でもらっている。 |
○ねこ ♂ 八ヶ月位 |
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茶トラ。 夜七時ごろ、生後一ヶ月位の子を体育館で保護。夕方捨てられたらしく、職員が鳴き声を聞いていたという。時折捨てていく人がいるとのこと。この子は保護できたが、他の子の安否を思い、考えると心が痛みます。わが家で最年少、久々の子ねこと思っていたら、あっという間におでぶちゃんに…とても元気です。 |
○ねこ ♀ 約八ヶ月 |
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黒トラ、短毛、尾長、口にほくろ、イエローアイ。「トンネル内を走っていた二匹の女のねこちゃんを保護し、生活を共にしています。今後も室内飼いで一生いっしょに暮します!」 今まで男のねこちゃんは実家で飼った経験があったが、女の子には知識がないまま一回目の発情期を迎えさせてしまい、焦ってインターネットなどで調べて不妊手術の重要さを実感し、中には「女流作家が子猫殺しを告白」という記事があり、衝撃を受けた。そんな時、母の家にも遊びに来るねこちゃんが発情期で、飼えないけれど手術をと捕獲し、良心的な獣医さんにお願いできた。先月から無職となり、補助金があればありがたい。 |
○ねこ ♀ 六ヶ月 |
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白に、頭とおしり、しっぽにグレーのしま模様。 夏ごろ家に迷い込んだ二匹の子猫を保護、ガレージに住んでいる。半年近く経ち、一匹は女の子と分り、不妊手術をした。手術のための血液検査やワクチンなどでけっこう高額になってしまったので、少しでも助けていただければと思う。
(申込書その他をお送りした時、男の子の分も申し込むようお勧めした、その返書に)
「…しかしながら二匹は残念ながら、もうこの世にはおりません…」。男の子の方は外で暮していたので、多分のらのオス猫にやられたのか、発見した時はすでに虫の息、病院に運んだがその日に亡くなった。女の子は伝染性腹膜炎と診断され、徐々に食欲が落ち、腹水もたまって、神経障害も出てきた。最後の一ヶ月は家に入れ、大切にしてあげたが、短期間に二匹も亡くすのは、とてもさびしい。補助金お願いしたままでよろしいか。
(手術をされたことへの補助なので、もちろんお送りしました。)
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ここからは、ボランティアでのらねこさんのケアをなさる方々の分となります。
二〇〇九年度支出に挙げた多頭支出先三件の中の一件は、先に『動物ジャーナル66』に「地域猫を考える会」さまに報告を書いていただきましたので、以下には省略します。
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○ ♀ 推定三年 |
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黒にお腹白毛少し混じる。公園で、ご飯を食べに来るようになり、捕獲かごですぐつかまった。手術後も食べに来ている。 |
○ ♀ 推定五〜六年 |
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全体にキジ柄。 河原でうろついていた懐妊ねこ。その後も元気で、食べに来ている。 |
○ ♀ 推定一歳 |
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三毛。 たまに通る道の脇の公園で見かけ、何回か通ってやっと手術した。全く人馴れしていない。給食者がいるが、接触できてない。 |
○ ♀ 七ヶ月位 |
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黒の洋猫ミックス、半長毛。 とても人に馴れているので、手術後もらい手探しをし、幸いお届けできました。 |
○ ♂ 七ヶ月位 |
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黒の洋猫ミックス、半長毛。 とても人に馴れていて、右の雌ねこときょうだいかも。別々の公園にいたが、近い場所なので。手術後ペットシッターさん宅に預け、もらい手探し中。 |
○ ♀ 推定二年 |
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白地に黒い模様。 美容室裏で子どもを三匹産み、その子たちが自分でご飯を食べるようになったので、お母さんを手術。母子ともに元気、よく食べます。 |
○ ♂ 一歳 |
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茶トラ。 公園にいるのらさんの中の一つ。ご飯を食べさせている。 |
○ ♂ 三歳位 |
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まっ黒。 右と同じく公園で暮している。ご飯を食べさせている。 |
○ ♀ 二〜三年 |
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三毛。 同じ公園で暮すのらさん。ご飯を食べさせている。 |
○ ♂ 二歳位 |
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サバ白。 公園脇の畑に時々来ていた子。給食者と接触できず。耳カットして放した。 |
○ ♀ 七ヶ月位 |
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洋猫ミックス 黒の半長毛。 公園ねこ。人に馴れているが、耳ダニがひどく治療中、自宅に置き、もらい手探し中。 |
○ ♀ 七ヶ月位 |
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洋猫ミックス 黒の半長毛。 公園ねこ。右の子と姉妹と思われる。人に馴れているが、首に怪我があり、知人宅に預けてある。治り次第もらい手を探す予定。 |
○ ♀ 七ヶ月位 |
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洋猫ミックス 黒の半長毛。 公園とは違う場所で捕まえた。人に馴れているので右のふたりと姉妹かと思う。耳ダニ治療中で、ペットシッターさんに預けているが、もらい手を探します。 |
○ ♂ 七ヶ月位 |
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洋猫ミックス 黒の半長毛。 公園そばのマンションで捕獲。あまり人に馴れていない。耳カット、しっぽもライオンのように刈り込んで放した。 |
○ ♀ 一年位 |
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白キジで痩せている。 マンションそばの畑で捕まえたが、あまりに痩せているので、病院でしばらく泊らせてもらい、元気になったので捕まえた所に放した。全く人馴れしていない子だった。 |
○ ♀ 一年半位 |
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キジトラ、小柄。 公園そばで、お腹が大きいのに気づき、急いで病院へ。四匹もいたとのこと、かわいそうだが産ませることはできず、お寺に埋葬された。母ねこは元の公園に放した。 |
○ ♂ 年齢不詳 |
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茶トラ。 七十代女性のえさ場に来る子。そこで捕獲し、手術の目印に耳カットしてそこへ戻した。人馴れしていない。 |
○ ♂ 一〜二年位 |
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黒の洋猫ミックス。 右と同じ。全く人に馴れていない。 |
黒白。 公園脇の畑で捕獲、手術後、耳カットして放した。人に馴れていない子。
以下は、さる大手スーパー敷地内で暮す子たち。複数の給食者がいるけれど、不妊手術ナドしないという人たちらしいです。 |
黒白、呼び名「パンダかあちゃん」、個性的な顔立ち、目がブルー。 獣医からメタボであると言われた。リリース後も健在。 |
三毛。 今も健在であるが、少しスリムになっているのが気になっています。 |
黒・長毛種。 鼻気管炎がひどく、おまけにカイセンの為リリースできず、自宅療養。現在は全快。家猫ライフを謳歌している…。 |
白地の多い三毛。 もらい手さん決定! 三十代御夫妻のお家で大事にされている。めでたい。うれしい。 |
サビ。 やはり家族が決りました。ご主人は流血騒ぎになったそうですが、奥様には懐いているそうです。お腹の子には申し訳ない事をしたが、その分、幸せにと願っています。 |
サビ。 やはり家族が決りました。ご主人は流血騒ぎになったそうですが、奥様には懐いているそうです。お腹の子には申し訳ない事をしたが、その分、幸せにと願っています。 |
サビ。 右の子の母と思われる。体調確認後リリース。 |
黒に少し白髪まじり。 もらい手さんが決り、次の子と子猫セットで行く予定だったが、養家の思わぬアクシデントで御破算に…。現在わが家で家猫ライフ。 |
サビ。 右の子とのセット縁組みを解消され、家猫ライフ満喫。 |
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以上で、個々のねこさんに関する情報紹介を終ります。
例年のことながら、ねこさんひとりひとりが真剣な生を受止めて歩んでいるということに感動します。その生が、おだやかに全うされるよう、祈るばかりです。亡くなったことを知らされたケースもありましたが、温かい手の中で、感謝していたことでしょう。
昨年分からですが、インターネットでの補助金告知が始って以来、各地の家庭からの申込みが増えました。お家のご家族、ボランティアさんを問わず、付けられたお手紙はどれも丁寧、事情説明も行き届いて、これは全く受取人冥利に尽きることでした。
そして、こんなに広範囲に「不幸なねこを生み出さない」ための努力が存在すること、それは愛護団体の啓蒙からだけではないこと、対象を深く愛し尊重するのが自然になされていること、などなどを、あらためて認識させられました。ほんとうにありがたいことです。
「補助金ありがとう」というタイトルは、今回が最終となります。
ご寄付を完全に支出できたことを誇りとし、申し込まれた方々の資料やお手紙を、当会の宝ものとして大切に保存いたします。たぶん、黙々と救済に努められた方たちの証しとして、歴史的価値が発生することでしょう。
二〇〇九年度の収支報告を完成させつつあった頃、お二方から特別のご寄付がありました。不妊手術補助に限らず、かわいそうな動物さんのために使ってほしい、使途は任せるとのことでした。
実は、今回右に記しましたねこさんの数は、09年度支出先一覧のねこ総数を上回っています。つまり、支出がオーバーしています。その分は、この特別分から支出しました。
また、09年度締切後も、不妊手術補助のお申込みを受けています。それも、この特別分から差し上げようと考えております。
いずれ詳しくご報告いたしますが、今はこれのみにとどめます。
09年度締切後に受けたお申込みの一つに次のような内容が伝えられました。
お手紙によりますと、小学生の息子さんが夏休みに実施されるラジオ体操に参加したが、帰途公園に放置されたダンボール箱内に仔猫三匹を発見、友達が一匹、息子が二匹を連れ帰った。わが家には犬と鶉(うずら)がいるため無理、もらい手を探したが見つからず、やむなく飼うことにした。当時は二ヶ月、今は六ヶ月目となり、健康に育っている。不妊手術をするつもりだが、費用は息子が自分の貯金から出すと言っている、とのこと。
こんなうれしいお話はありません。即刻お受けする旨お伝えし、紹介したいと申しましたら、写真と、息子さんの小さなお手紙が届きました。これを希望の大きな灯として、みなさまにお目にかけ、このページを閉じようと思います。
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