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■ 動物ジャーナル 63 2008 秋

   インターネット上の違法・有害情報への対応に関連して

動物虐待防止会


 動物虐待防止会ホームページへの相談に、インターネット上の虐待情報が多々寄せられることは、これまで何度か報告してきました。そして何件かに対して要望書を提出もしましたが、根本的に改善される見通しもなく、通報者と共にもどかしい思いを抱くばかりでした。

 この度、インターネット関連四団体が、「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン(案)」及び「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項(改定案)」を発表し、意見を募集していることが知らされました。

 インターネット関連団体四者とは、社団法人電気通信事業者協会・社団法人テレコムサービス協会・社団法人日本インターネットプロバイダー協会・社団法人日本ケーブルテレビ連盟です。
 この四団体が、インターネットが国民の社会・文化・経済活動などに必要不可欠と認めつつ、法令に違反する情報の流通に歯止めをかけるため、電子掲示板の管理者、ウェブサーバの管理者等が違法情報に対し対応できるよう「ガイドライン(案)」をまとめました。また、違法情報のみならず、公序良俗に反する情報についても対応できるよう、契約約款等の「モデル条項(案)」で提案しました。両者とも、二〇〇六年十一月公表、現在まで活用されてきたそうです。

 二年を経て、見直しを行い、種々の修正、判断基準の明確化、文言等の追加が示され、この度の意見募集となったそうです。
 当会がこれを知りましたのは十月二十八日、この頃までに、今年はネット上の虐待映像・動画・文章類の通報がことさら多く、しかもこれらを防止したいという熱意にあふれた依頼が寄せられていました。
 その一例として、或る方のメールをご紹介します。(九月十六日着信、発信者の許諾を得ています。)

(引用文ここから)
さて、既にご存知かもしれませんが、インターネット掲示板(2ちゃんねる)内の、動物(猫)を虐待しているような書き込みが問題になっております。内容があまりにも残酷(猫に危害を加えた際の反応など)なことや「誰でも閲覧できる環境への書き込み」であることから、子供や精神的に幼い者に悪影響を与える恐れもあり、警察に情報提供するとともに書き込みをしている方や虐待の書き込みに賛同していると思われる方に対して何人かで注意をしてみましたが、書き込みしている当人や虐待賛同者達には「創作だから問題はない」と全く聞く耳をもって貰えなず、逆に開き直られてしまっている状態です。
尤も、虐待に反対する者の中にも荒らし的な書き込みをしている者もいるのですが。
猫や犬と一緒に過ごしてきた人間としては看過すことができない状況なのですが、問題の掲示板が匿名の「2ちゃんねる」であることもあり個人の力ではどうにもならない為、誠に勝手ながら貴団体に情報提供させて頂いた次第です。(引用文ここまで)

 ネット上に「やりたい放題」的な表現がまき散らされている様子、まともな人々の「許せない」感情、影響への懸念、などを見ていただけるかと思います。
 当会はこの通報をいただき、たまたま『動物ジャーナル63』制作に取りかかるところでもあり、編集部、調査部共々この件の対応を相談する場を持ちました。が、「創作かも」という点で議論があり、具体的アピールを仕上げるに至らず、出来上ったらご協力をというお返事にとどまりました。
 以来、雑事に忙殺される日が続き、そのうちに上記意見募集を知り、これに応募意見を述べておくことが結局は基本的解決への早手回しになるかと考え、締切ぎりぎりに投稿しておきました。(言い残したことに気づいたり、強調不足を残念に思ったりしましたが、アトノマツリです。) その応募意見をここに記しておきます。宛先は関連団体の内の社団法人テレコムサービス協会内事務局と指定されていました。

[応募意見]
2008年11月21日
動物虐待防止会
代表 青島啓子

社団法人テレコムサービス協会
意見募集係 御中呈上 この度「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン(案)」及び「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項(案)」について意見募集されていることを知り、動物虐待防止会として考えましたことを以下に申し述べます。
第一に、今回の「ガイドライン」「モデル条項」の改定案に対し、双手を挙げて賛意を表します。
もとより言論の自由・表現の自由は保証されてしかるべきですが、現今のあまりに野放図な情報の氾濫には、社会をまともでない方向へ押しやる原動力とさえ感じさせられます。

このような状況に対する貴機関の二年も前からのご活動に感謝します。また、今回「モデル条項」の禁止事項で対象を明確にされたものの中、殊に
(14) 「人の殺害現場の画像等の残虐な情報、動物を虐待する画像等の情報、その他社会通念上他者に著しく嫌悪感を抱かせる情報を掲載し、または不特定多数の者に対して送信する行為」
は、当会の日常的活動に照らし、大いに歓迎するものです。
また動物を救うためとの名目で、動物実験等の画像をことさらに前面に押しだして金品の寄付を募るなどの動物愛護運動と称する団体の行為も、同等の規制対象としていただきたく存じます。動物が残酷な仕打ちを受けている画像を掲載しなければ進められない「動物愛護運動」など、あってはならないと私たちは考えております。
当会へは、動物を虐待する画像・文言等の通報が後を絶ちません。
それを何とかしてという依頼、どうしたら止めさせられるか・何処に訴えればよいかという問合せへの対応に追われています。また、抗議しても受付けない或いは受付口さえ不明の「管理者等」への不満が再々寄せられます。
今回の改訂により「管理者等」が動物虐待を軽視せず、真摯に対応されるようになれば大変ありがたいことです。
当会は動物につらい思いをさせないようにとの一念で活動しております。
同じ思いの人々が、無私の慈悲心から、動物への暴虐に怒り、心を傷めています。「嫌悪感」を遥かに超えた哀しみまたは憤怒ともいうべき心情を抱え、なす術なく過していると言えましょう。
動物虐待画像等は、ただ単に動物ほんにんの痛苦を問題にさせるだけではなく、ヒトの苦しみをも発生させているということをご理解いただければ幸いに存じます。
以上、当会の意見を述べました。
貴機関のご想定を外れた立場からの発言であったかもしれません。が、「動物への虐待は重大犯罪の予兆」とする学説もあること(当会ホームページご参照)、また日本古来の生類への慈悲心はヒトへの情や和につながるものであること等を念頭に置き、動物問題は必然的にヒト問題であるとの認識の下、心ゆたかな社会の到来を希っておりますので、一半の責任も感じ、発言しました。  以上[補足説明]

この「ガイドライン」「モデル条項」(案)は、当然のことながら人間界のものです。内容を少々説明します。

「ガイドライン」は違法情報に対してどう対応するかが考えられています。どのような法律違反が取上げられているかと言いますと、猥褻関連・薬物関連・振込め詐欺関連・その他(例えば不正アクセス禁止)などの法規が主なものです。これには動物虐待関連法規(動愛法など)も加えてほしかったところです。現状には目に余るものが多すぎるので。

 また今回特に、公序良俗に反する情報について、警察機関から掲示板・ウェブサーバ管理者への対応依頼書(書式)が追加されました。これが有効に機能するとなれば、私たちがキャッチした虐待映像等を警察に通報し、それへの対応を、警察がウェブ管理者等に依頼するよう、私たちがつよく要請できることになります。つまり使い物になるということです。

「モデル条項」は、インターネットサービス提供者と利用者との契約にあたり、約款はこのようにあってほしいというモデルを示したものです。その中の「禁止条項」について、今回対象をより明確にする作業がなされました。
 当会応募意見に取上げた「殺人現場、動物虐待の画像」は、この改訂作業に含まれているものです。
 その他の改訂には、違法行為を仲介したり誘い込んだりする行為、自殺を勧誘する行為等々がありました。いずれも違法行為未満ともいうべき、公序良俗に反する行為を問題にしたものです。
 以上、インターネット関連団体の意見募集に応じたことをご報告しました。
 また、この「ガイドライン」「モデル条項」を理解しておけば、どこにどう要請できるか、道筋をたてられるかもと考えました。
 しかし、所詮間接的であることも事実です。
 私たちは直接〈不逞のやから〉に迫るべきと考えます。残酷な内容の投稿者は無論のこと、苦情の受付口も設けていないネット管理者等へも、怠らず改善要求を続けていかなければならないと考えています。
 当会は、思いを同じくする方々と共に、つよくアピールすべしと覚悟いたしました。
 これから作業の遅滞を取戻し、実行を目指しますので、たくさんの方のご意見もいただきたく、ご協力をお願い申し上げます。