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TOP mook 動物ジャーナル バックナンバー 動物ジャーナル61・ホームページへの相談から

■ 動物ジャーナル 61 2008 春

  ホームページへの相談から



 動物虐待防止会のホームページには、当会へ電子メールを送信する「ご連絡口」があります。
様々な通報や問合せ、依頼がありますが、いちばん多いのが「こんな時どうする?」というご相談です。そのような案件のうちには私たちが共通して悩むことや考えるべきこともあり、ご紹介して、共に学ぶ、少なくとも問題を共有した方がよいと思われるテーマがありますので、今後適宜、この紙媒体にも掲載することにしました。
掲載にあたっては、個人情報は全て伏せ、メール発信者に許諾を得ることにしています。しかし、今回の二通の内、お一人に出した許諾要請メールが配達不能で戻って来てしまいました。手を尽したのですが不明のまま、そしてテーマが大事なことで捨てがたかったため、やむを得ず掲載強行します。
差出人がこれを発見して連絡して下さればと願っていますが。

その一
動物愛護は「仕事」か 
   AKさんより

二〇〇七年九月一六日

はじめまして。ホームページを拝見させていただきメールさせていただきました、AKと申します。
私は今高3なのですが、動物に関わる仕事がしたいと思っております。
そこでお聞きしたいのですが、動物虐待防止会は全面的にボランティアで行っているものなのでしょうか? ホームページを見たのですがよくわからなくて…すみません。
できる事なら動物愛護、虐待防止などに関わる仕事がしたいと考えてるのですが‥こういった事に関わる仕事ってあるのでしょうか? そもそも仕事なのですか?
教えて下されば幸いです。
もしよろしければお返事下さい。
よろしくお願いします
それでは失礼致します。


二〇〇七年九月一八日

拝復  メール拝見しました。
当会ホームページによくわからないところがあること、申し訳なく思います。
自分たちでは、少人数でボランティアで、ということを明示しているつもりでしたが。
さて、第一に、AKさんのお志をほんとうに嬉しく感じました。どうか達成お出来になるよう、できることのお手伝いはいたします。が、実のところ、難問山積です。
動物に関わる仕事として、どういうところを想定なさっていますか。
動物園・水族館、サーカス、ペットショップ等々、愛護とは無関係の職種から、純粋に動物を愛して活動する個人ないしグループまで、かなりの幅があります。
その間に、獣医師(愛護を目指す人も増加中)、自治体の職員(保健所など)などがあると思うのですが、「仕事」の定義を「労働の対価を得るもの」としますと、これらは仕事となります。
愛護、虐待防止に関る範疇に入るものでも、給料を出すところはあります。動物愛護協会とか動物福祉協会など、半官半民の法人。
それから、NPO法人。これは、どこも財政的に苦しいようで、強い志が必要なように見えます。
結局、「そもそも仕事なのか」とお書きになったとき、結論に達していらっしゃったように思います。
私見では、仕事にしてはいけない。なぜなら、対価を得ていれば、愛護・虐待防止活動が存続せねばならず、動物救済がおざなりなものになってしまうからです。
残念ながら、かなりいい加減な団体も多く、お暇があれば、当会ホームページのリンク先「「動物愛護団体」を考えるページ」をご覧ください。

現実的に、「仕事」として成り立つ動物園から自治体職員までのどれかに就き、中で愛護の方向への努力をするのが一つ。二つ目はNPO法人で働く。もう一つは、仕事は関係ない職業に就いてボランティアで思いを実現させる。
今、この程度しかまとめられません。
因に私は三番目の部類に属する者です。

この世界?は複雑怪奇な問題も多く、お気持を実現なさるには、徹底的なリサーチが必要かと思います。
幸いネットでは情報もあふれていますし、(が、騙されることもあり)、各方面への問合せで、いろいろ分ってくることがあると思います。充分研究なさってください。
メールをいただいて、あれこれ考えこんでしまい、問題の重さと、ひとさまの将来に関る重さとにけっこうなやみました。
それでお返事もおそくなりました。
不足の点がありましたら、またメールください。私にとっても勉強になりますので。

では、お体お大切に。〈研究結果〉を知らせていただければうれしいです。かしこ      青島


二〇〇七年九月二五日

AKです。お返事大変遅くなり申し訳ありません。
覚えておりますでしょうか?
お返事ありがとうございました。
お返事をいただけて大変嬉しかったです。

家にパソコンが無く、携帯からホームページを拝見しましたのでよくわからない点があったんだと思います。機会があったらパソコンでホームページを拝見させていただきます。

私が「そもそも仕事なのか」とお聞きしましたが、私は仕事になるような事だと思いません。虐待を防止、愛護する必要など本当は無いと私は思います。
でも、やっぱり世の中には沢山の人がいて、それぞれ思考も違うと思います。なので、やっぱり動物に対する気持ちもそれぞれだと思います。となると、完全に虐待防止、愛護をする事は難しいと思います。
でも少しずつでも無くしていきたいと私は思います。
なので、進路の事も含め今何が出来るのかを考えてます。
将来、虐待防止・愛護に関わる仕事がしたいと思っているのですが、青島さんの意見を聞き、私は少しでもいいからそういう事に関わっていきたいなと思いました。
仕事じゃなくてもボランティアでできる事は沢山ある様に感じました。
そこで、今できる事はなんなのかを考え、少し調べてみたのですが、難問が山程あり、私にできる事は何なのだろうと思いました。(中略)
青島さんは今動物愛護に関わる事でどんな事をしていらっしゃるのですか? よかったら教えて下さい。
長くなってしまいすみません。
また暇な時にでもお返事いただけたら幸いです。
それでは失礼します。
夜分遅くに失礼しました。


二〇〇七年一〇月二七日

AK様 
すっかり秋も深まったようです。長い間のご無沙汰おゆるしください。
私が何をしているか、の説明にもなると思うので、ご無沙汰の理由を書いてみます。
この一ヶ月、動物ジャーナルという季刊誌の編集にかかりきりでした。これは、会のメインの仕事で、つくりあげるのに相当のエネルギーを要します。
特に今回は、北海道のイヨマンテ問題というデリケートな事柄を扱ったので、時間はかかる、手間もかかる、で、やっとまとめあげ、さっき編集後記をあげて、ほっとしたところです。
この本は、やさしい心を共有し、元気づけられるようなものでありたいと思っていますので、私の活動のなかではいちばん大事なものと言えます。

私の家には、ねこ十六、いぬ一匹、夫もよく手伝いますが、この子たちの世話は結構大変です。
全て放棄された子ですが、今はみんな幸せそうで、疲れたときなど、猫になりたいな、うちの猫なら…と思うほどです。
以前、ねこが四十匹もいたことがありましたから、格段に楽ではあります。でも休日なしです。
これが、目に見える「愛護活動」かもしれません。
かわいそうな子がいたら助けてあげる、これが第一歩なのかもしれません。
動物愛護は、特別なものであってはならないと考えています。ひどい状況にある動物を見て、かわいそうと思うのは人間に普遍のことです。そうでない変な人もいますが、多分不幸な生立ちなのでしょう。
というわけで、AKさんの「そもそも仕事なのか」は、すでに正解を含む問いかけでした。

ちょっと中断して、キーボードの前に寝ている子を動かし、とりかかりましたが、もう夜更け、あたまも疲れているので、ここで止めておきます。また、お便りします。
では、まったく不十分なお返事で、はずかしいのですが、これで失礼します。      青島

その二
負傷した動物に出会った時     YKさんより


二〇〇七年一〇月七日

こんにちは。私は東京都下に住む二十八歳の主婦です。
昨日、少し離れた所にある祖母の家を訪問していた時のこと、祖母の家の前の公園で瀕死の子猫を発見しました。足があらぬ方向に曲がっていて、肉が見えているような感じで、ぐったりしていました。
これは大変だと思い、娘が寝たのを見計らって近くの動物病院に連れて行きました。
その時、すでに帰らなければいけない時間だったので私は急いでいたのですが、動物病院ではすぐに引き受けてくれました。

そして今朝、動物病院から電話があり、朝方亡くなっていたとのことです。
両足の大腿骨を骨折していて、ショック状態であり、肉が見えていたのは皮膚が裂けていたとのこと。
道路に近い公園で発見しましたが、交通事故にしてはおかしいな、と私も思っていましたが、やはり獣医師のかたもそう言っており、もしかしたら誰かに虐待された可能性も大いにあるみたいで……私自身も猫を飼っているので、もう怒り、悲しみ、悔しさなどで胸がいっぱいになりました。
こういうことがあった場合、どうすればいいのでしょうか? 皆さん、こんなことがあった場合どこかに報告したり、通報したりするものなのでしょうか? はっきり虐待とわかったわけでもないし何も手がかりがないので……でも黙っているのも、もしかしたらまたこういうことが起こるかもしれないですし……
そこでこのホームページを見つけてご連絡した次第です。なにかあればお力をお貸しください。
突然のメールで失礼いたしました。    YK


二〇〇七年一〇月七日

拝復  驚きました。お知らせありがとうございます。また、お医者にみせて下さったこと、ふかく感謝いたします。

間に合うかどうか不安ですが、写真を撮る、獣医師の診断書をもらう、そして、警察へこの事実を通報することが必要かと思います。

警察へは、虐待容疑で捜査するよう、強く要求して下さい。
なかなか動きたがらないのですが、小動物虐待を放置すると、大事件になることはいろいろ証明されています。その人間が、将来子どもや弱者を攻撃する可能性あり、とお伝え下さい。
もっと詳しい情報は、当会ホームページ・アピールのページで見るよう勧めて下さい。
管轄の警察署が判れば、私どもからも申入れをいたします。必要ならばおっしゃって下さいますよう。

とりいそぎ、今思いつくことのみ申し上げました。
お大変と思いますが、よろしくお願いいたします。 こねこさんのご冥福を祈りつつ かしこ
青島啓子


二〇〇七年一〇月一一日

早速のお返事ありがとうございます。
一歳になったばかりの娘がいるもので、すぐに返事できなくてすみません。

昨日また祖母の家に行ったので、猫ちゃんが横たわっていた場所に行ったのですが、なんと地面に『ひろって下さい!』石で書いてあったのを発見しました。
あの時は全然気付かなかったのですが……勝手な想像ですが、どこかの子供さんが負傷した猫をどこかで見つけてしまい、どうしていいのかわからずあそこに置いたのかな。。なんて思うのですが……
どちらにしても交通事故ではなさそうなので警察には電話してみようと思います。
ただ写真はないので…。管轄はH警察だと思います。

そうそう、猫ちゃんが亡くなったと知らされた日の夕方、また動物病院から電話が来て、『治療費二万九千円なので、いつでも良いので持ってきてください』って……私は引き渡す時に『うちでは面倒見れないので……』と言ってあるし、もちろんあちら側もお金のことは何も言わなかったので、『聞いてないし……ちょっと払えないのですが……』と言ったら、半額でも良いので、と言われ、半額も払えないので、とりあえず主人と相談してまた電話します、と言って切りました。
さぁ、どうしようってことになり……しかし私も動物病院も猫を助けようとした側なのに、何で両方とも損?してるんだろう、一番代償を支払うべきなのはやった奴なのに……とその矛盾にやるせなくなりました。うちも余裕があれば喜んで全額お支払いしたいところですが、あいにくそんなお金は無いので、五千円だけ支払うことで決着しました。でも院長さんもとても良いかたで、『初めに確認しなかったこちらが悪いので……』みたいな感じで、全然いやみな感じはありませんでした。

知り合いの獣医さんに聞いたところ、普通は持っていった人に今後責任をとる意思があるかどうか確認し、お金を払えないということであれば、動物愛護団体を紹介したり、いくらまでなら払えるなど相談して治療していくものみたいです。確かに病院も慈善事業じゃないので、仕方ないですよね。でもなんだかやるせないですね。
では長々と失礼いたしました。アドヴァイスありがとうございました。
また何かあればメールさせていただきます。
YK


二〇〇八年一月三一日

YK様
前略ごめん下さい。昨年 負傷した仔猫を獣医さんへお連れになった件につき、メールをいただきました 動物虐待防止会の青島でございます。
頂いたまま、お礼状も出さず、失礼いたしました。実は「やるせない」とお書きになった問題が、この世界?にはあちこちに在り、機会があれば『動物ジャーナル』に貴メール転載をお願いしようと思って、時が過ぎました。
 この度、当会に寄せられる相談を紹介する企画(おおげさですが)があり、貴メールをと思いたちました次第、ご許諾いただけましたら幸いに存じます。全文ではなく、「やるせない」部分を中心に、個人情報に関わる単語や特定される場所その他は全て伏せます。謝礼は掲載誌二冊、お送りしてよろしければですが、そのようにお願いしております。
 つくりました原稿をお目にかける必要がありましたら、おっしゃって下さい。このような条件ですが、ご一考くださいますよう。

 同種のことを、以前獣医さんがお書きになったことがあります。この問題は簡単にかたづくものではなく、常に念頭におかなければならないこととして、貴重な実例を読者に提供したく思いました。意のあるところをお汲みいただけましたら嬉しく存じます。とりいそぎ要用のみ。 かしこ
青島 啓子

二〇〇八年二月六日

青島様
お返事遅くなり失礼いたしました。その節は的確なアドヴァイスありがとうございました。
転載の件、もちろん使って下さい。動物虐待の撲滅に少しでもお役に立てれば幸いです。結局私が遭遇した猫ちゃんの死の真相は謎のままですが……
これからも動物虐待がなくなるよう、頑張ってください。YK