オーディオ日記 第50章 幸せのひと時(その20)2020年12月14日


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AoE on Symphonic-MPD:

AoE(Audio over Ethernet)の機能を搭載した Symohonic-MPD がベータ版ではあるが利用可能となり、鋭意テストを開始した。基本構成はラズパイ4が2台でフロントエンドはSympnonic-MPD V1.0.10をベースにAoE対応の改修を加えたもの。バックエンドは全くの新規開発でオーディオデバイス駆動の専用機となる。我が家でのバックエンド機はHifiberry Digi=Pro互換のHATを載せており、専用電源、クロック換装、クロック専用電源を備えたものでここからS/PDIF信号を出力させて、Mutec MC3+USBでのリクロックを経てデジチャンに入力するという環境である。

AoE構成におけるバックエンドとは巷で多少評判となっているDiretta Target PCと同様のコンセプト、機能を持っていると云えば判り易いと思う。つまりLAN経由でフロントエンド側のプレーヤーソフトからデータを受け取って出力デバイスへ送り出すというミニマム処理に徹するPCとなる。もちろんSymphonic-MPD、Direttaのそれぞれの内部構造の詳細までは判らないし、いずれも独自に持っているノウハウや仕組みがあるので、内容的には同一とは云えないかもしれないが。なお、現状のDiretta Target PCはUSBでの出力となるので、後段はUSB DDC/DACとの接続となる。AoE on Symphonic-MPDの場合は、バックエンドのラズパイに搭載するHATの選択によって単体で直接アナログ信号出力あるいはS/PDIF信号出力(I2Sも可)を行わせることが可能となっている。

(参考)AoE on Symphonic-MPDのコンセプト図は こちらに。

似たような考え方と構成はかってのJPLAY Dual PCでも実施していたものだが、要は最小限の処理で出力デバイスを安定的かつ高品位に駆動しようというものだと思う。Symphonic-MPDもV1.0.10まで進化してきて単体でも音に対する成果を存分に提示してくれていたが、また新たなチャレンジの始まりと云えるであろう。

現状のベータ版でも44.1Kから192Kに至るどのサンプルレートでの再生も問題無く実に安定している。そしてその上で、特筆すべきは音質である。密度感、実在感、演奏の場の気配、低域の押し出しいずれも文句なく、そして何よりも素晴らしいのが音楽としての厚み。従来のシングル構成のSymphonic-MPDではシャープな、そしてやや細身の感触もあったのだが、この辺りが大きく変化、進化したと実感している。

まだベータ版状態なので、機能的な完成度や鉄板の安定性を求めてはいけないし、音自体もさらに洗練されていく可能性もあるのだが、見方によっては、このバックエンド側の機能は既にほぼ完成されたものとも考えられる。つまり、今まで積み重ねてきた音に対する改善ポイント、内部処理ロジックの良いとこ取りを行い、その凝縮と徹底的な軽量化によってバックエンドの機能としてまとめられているのだ。実のところ、この機能がこんなに早いタイミングで出てくるとは予想できなかった、、、

PCオーディオをいろいろとやってきた中で、複数台のPCを組み合わせる様な構成はそれなりに音へのメリットがあることも実感しているのだが、維持管理の面倒くささ、安定して使う上での諸課題とのトレードオフが結局は発生してしまうことを否が応でも認識させられてきた。それ故なるべくシンプルな構成で最良の音を求める方向に向かい、それを何とかカバーしてくれているのが現行(V1.0.10)のSymphonic-MPDとBluesound Node 2iなのである。

だが、一旦この音に触れてしまうと、またぞろ複数台構成に戻らざるを得ないだろうとの覚悟が湧いてくる。幸いなことにSymphonic-MPDをベースとしたフロントエンドであるが故に操作性(WEB-UIならびにyaMPCなどのMPDクライアントベース)は全く変わらないので、ここが犠牲となってはいない。

このコンパクトなバックエンド機能について更に考えてみれば、フロントエンド側はもっと多様であっても良いかもしれないとも思う。極端に云えばSymphonic-MPDであることが必須とは限らないし、ハードウエアがラズパイである必要もない。要はこのバックエンド機と接続、駆動できるものであれば、どんな環境、構成であっても良い訳で、結果としてバックエンド側の「音」を享受できる可能性があると思う。

もちろん個人の方がボランティア的に開発しているものなので多少似てはいるもののDirettaとは道が異なるかもしれない。Direttaも本来の使い方としてはLAN DACの機能(現状はSFORZATOの製品のみだが)として進化していくべきとは思うが、まずはDiretta Target PCとしてそこそこ廉価?に販売し、普及や認知度向上を優先しているのであろう。

翻って見れば、究極のデジタルトランスポート探し、は自分の中でどこかで挫折してしまっていたのではないかと反省する。もちろん唯一、絶対無二などというものは無いとは思うのだが、より良い音を求めることを避けても、諦めてもいけない。かって、一世を風靡したALIXやAPUによるシングルボードコンコンピュータのPCオーディオも大分様変わりしており、Windows環境も大いに復権していると云ってよいだろう。

だが、ここは敢えてラズパイあるいはARMプロセッサーベースのコンパクトな機器(Node 2iもこれ)で、自分なりの理想を追い求めたい。それは価格あるいはオーディオ的なコストということではなく、そこに大いなるポテンシャルを見出しているからでもある。


                 3way MW16TX構成の設定暫定値(2020年12月11日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
SB Acoustics
MW16TX
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
能率
能率(90dB基準相対差)
dB 97.0 (+7.0) 87.5 (-2.5) 110.0 (+20.0) 93.0 (+3.0)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +0.7 +0.0 -10.5 +5.5
マスターボリューム
アッテネーション
dB -9.0 -3.0 -3.0 -5.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0 0 -12.0 -12.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 88.7 84.5 off 81.5
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

250
250

2800
-

-
2800

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-24 24-24 24-18 24-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -10.0 +28.0 -40.0 +26.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm  
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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