オーディオ日記 第44章 理想と現実の距離(その14)2019年3月25日


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残っていたDSDtoPCMテスト:MUTEC MC-3+USB(その7)

MUTEC MC-3+USB導入以来あれこれと 遊び倒して きたが、まだひとつ試していないことがあった。DSDtoPCMである。我家ではデジチャンにPCM信号を入力するスタイルを採っているため、DSD音源はリアルタイムにPCM変換してあげる必要がある。現在の方法はMinim Serverからffmpeg経由SoXを呼び出すような仕組みとしており、SoXに最高精度でのDSDtoPCM変換(ダウンコンバート)を行わせている。

MUTEC MC-3+USBはDSD/DoPのUSB出力を受け、DSDtoPCM変換を内部のFPGAで行う機能があるのだが、この機能は確認のみで本格的に評価していなかった。DSD信号をPCM信号に高い精度で変換するためにはかなりの処理能力を必要とするので、搭載されているFPGAでは非力ではないか?という先入観もあるのだ。だが、この点はしっかりとテストした上で最終結論を出すべきものであろう。

なお、MUTEC MC-3+USBにDSDtoPCMを行わせることの利点はJPLAY FEMTO環境において、FEMTO Serverを使用する場合でも我家の環境構成でDSD音源の再生が可能となること。この使い方ができるということは、JPLAY FEMTO Serverを使用した絶対的音質優位(?)の構成でもDSD再生ができることである。(FEMTO Server使用時はDSD音源をそのままUSBデバイスに送り出す(DSD Native再生)ため、従来のダウンコンバート機能の無いUSB DDCではこれには対応できなかった)

Minim Serverを使用する超極楽環境でもDSDtoPCMを行わせるためのTranscode設定(dsf:wav24;176)を外せば良い。従い、適宜サーバーを使い分けるという我が家でのJPLAY FEMTO再生スタイルに於いて、FEMTO Server、Minim Serverどちらのサーバー使用時でもMUTEC MC-3+USBにDSDtoPCMを行わせる用法に一本化できる。ただし、肝心のポイントは「音」にあるので、これを厳密に比較した上で今後の常用環境を決めなければならない。もう一つ気にかかっているのは、PCM変換する時のサンプリングレートの設定である。マニュアルを読むと、出力のサンプリングレートは自由に設定できるようになっている。ということはDSD再生の度に出力PCM信号のサンプリングレート設定をしてあげなければならないのか? という点。基本的にはDSD音源は176.4KHz/24bitに決め打ちで変換させたいと思うので、都度設定が必要だとちょっと困ってしまう。

音質や使い勝手など多少の悩みがあるにせよ、何しろやってみることが一番である、、、

まずはFEMTO Server使用時の音。これはじっくり聴いても文句がない。DSDtoPCMの変換処理はおそらくは最高精度(Very High)ではなく、高精度(High)のレベルで行っているものと推測されるが音に対する遜色は感じない。MUTEC MC-3+USB内にてDSDをPCMに変換する際、当然ながら10Hzマスタークロックから入力されたクロック信号を基準に処理している訳で、その利点があるものと思うがむしろ鮮度感が高く、変換処理に於いて往々にして感じてしまうような滲みなど全くない。つまるところ、上流にて一旦176.4KHz/24bitにダウンコンバートされて送られてきたPCM信号を改めてリクロックするよりは、処理が集約されてシンプルになることを考えてみればこちらのスタイルの方が確かに合理的とも思えるし、それが如実に音にも現れているようだ。

Minim Serverを使用した場合でも基本的な音の感触は変わらない。Minim Server(+SoX)でダウンコンバートさせる場合はDSD音源の読み取りとメモリー上での変換処理が行われるため、再生開始までに一瞬の「タメ」が生じてしまうのだが、そのような僅かな遅れ感も解消されているという付随効果もある。

MUTEC MC-3+USBはどちらかと云えばプロ用機器として位置付けされているものなので、DSDtoPCM(DSDダウンコンバート)の音質が悪ければ使い物にはならない訳で、いろいろな情報、評判を確認する限りそのような問題、課題情報は確かに目にしてはいない。10MHzマスタークロックの外部入力を行う構成は我が家のような環境ではもしかしたら最強ではないか? と思わせられる。MUTEC MC-3+USB恐るべし! である。もちろん、デジチャン自身にクロック入力の機能があれば更に期待値が高まるものもと思う。翻って、Accuphaseのデジタル機器(CDP、デジチャン、デジイコでも)は何故かクロック入力を一切持っていない。内部クロックと外部クロックの切替処理を嫌ってのことかもしれないが、これは何とももったいないようにも思えてきた。

ある程度ランニングでの聴き込みを行った上での最終結論とはなるものとは思うが、当面DSD音源に関してはこのスタイルで行こうと考えている。思えば、デジチャンにデジタル入力する方式を採用してから、DSD音源の対応には随分と苦慮してきた。結果的に自分なりに調査研究してきたMinim Server(+SoX)でのダウンコンバート環境が脆くも崩れてしまう、ということはそこそこ寂しいものもあるのだが、それでも音や使い勝手が優先するという原則を変えることはできない。

なお、気になっていたPCM信号出力時のサンプリングレートであるが、一旦176.4KHz/24bitの設定をしておけば、普通のPCM音源を再生してからDSD音源にもどしても以前の設定をそのまま使ってくれるので全く問題が無いことも分かった。

MUTEC MC-3+USB 構成図:(変更後)
MUTEC MC-3+USB Configration


4way構成の設定備忘録(2019年3月24日更新)Accuton C51-6-286対応設定値

項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Accuton
C51-6-286
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 93 (+3) 93 (+3)
定格値
DF-65の
出力設定
dB +2.5 +0.7 +1.7 +4.0
 
マスターボリューム
アッテネーション
dB -3.0 -0.0 -3.0 -3.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB 0.0 0.0 -6.0 -6.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 96.5 90.7 85.7 86.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

200
200

1250
1250

4000
4000

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 48-24 24-24 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -13.0 -0.0 +0.0 +1.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Rev Rev JPLAY FEMTO
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない

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