かなめゆうじの特別 版

 

さる9月28日、東京新宿はゴールデン街でかわごちツアーが開催された。

かわなかのぶひろ、イノリン、かなめ、デビル、ぱんだ。いずれも酒豪の強者揃い。

7時間に及ぶこいつらの、ゴールデン街はしご酒の荒れ模様を、

平成のおぼっちゃまくん、かなめゆうじ氏がレポートしてくれた。

 

2002年9月28日 新宿ゴールデン街「生きて動いている内藤陳を見に行く」

 

18:30

 

 9月28日(土)、我等がかわなかのぶひろセンセイ提案されたところの"ゴールデン街ツアー"、題して「生きて動いてる内藤陳を見に行くぞ!ツアー」がなんとな〜く実現してしまった。
  さて、どこからレポートを始めたものか。最初から最後まで、ツアーの一部始終を見届けた私としては、やはりツアー前哨戦から報告することにしよう。
 
  午後6時30分。新宿3丁目交差点から四谷方向にちょっと歩いた右手にある新宿東映。私が着いたときには、すでにぱんださんが待っていた。ぱんださんとは初対面 だったし、目印も特徴も聞いていなかったにもかかわらず、そこに立っている人が彼女だとすぐにわかった。ハウサーオーラとでも言うのだろうか、彼女も同時に気付いたようで(笑)。予定では、ここに花パーさんこと中平真澄嬢が加わるはずだった……のだが、当日になって彼女のお父さんの具合が悪くなったというアクシデントが起こり、やむなく欠席。
 
  さて、まずは前哨戦の目的地である『隋園別館』へと向かう。この店に決めた理由は、アゲイン周辺の掲示板で親しくなった花茶さんが「隋園別 館の水餃子は絶品!」と、かつて推薦してくれたことを覚えていたからだ。店は想像していたよりも小さくて、適度にキタナク、庶民的なたたずまいだった。これは美味しいアンテナにピピッと来る店だ。
 
  3階の窓際席に案内され、前菜盛り合わせと水餃子と五目あんかけ焼きそばを注文。あらためて自己紹介する。しかもお互い本名で(笑)。アゲインというか、ビックリハウスではペンネームで通 ってるので、どうも本名だと緊張してしまう。……という、変な挨拶を済ませ、まずは青島ビールで乾杯。ぱんださん、飲みっぷりがいい。水餃子もウマイ。焼きそばもなかなか。前菜は、焼豚、中華ハム、棒棒鶏、豚耳の煮こごり、クラゲなどがてんこ盛り。「ちょっと何かお腹に入れていこう……」という話だったのが、しっかり満腹に(笑)。
20:00  午後8時。待ち合わせの時間にはずいぶん早いけれど「先に飲んで待ってるのも有りだよねぇ」という呑ん兵衛発言でゴールデン街へ直行。待ち合わせ場所の『BONS』には10分足らずで到着。写 真で見ていたよりも、こじんまりした店だった。バーボンがメインというメニューにニヤリとするも、注文したのは2人ともカクテル(笑)。

  待ち合わせ時間にはまだ20分はあろうかという頃、かわなかセンセイ現る。我々が先に到着していたことにちょっと驚いた様子だったけれど、すぐにあの人懐っこい笑顔を見せてくれた。挨拶もそこそこに、気がつくと"かわなかボトル"がドンとテーブルの上に置かれている。センセイとぱんださんが前回の「よるひるツアー話」に花を咲かせていると我らが親分・イノリンさん到着! 席につく前からエネルギッシュなおしゃべり連打が始まり、あっという間の盛り上がり。
 
  と、そこに店のお兄ちゃんが「かなめ様にお電話です」。あ、平野氏かな? と、受話器を取ると、なんと声の主はコンポメーカーデビル氏だった! 聞くと、今、新宿に用があって来ているので後で合流したいとのこと。「じゃあ、着いたら電話して」と、携帯の番号を伝える。『BONS』での盛り上がりが果 てしなく続きそうな空気ではあったが、本来の目的を忘れてはいけない。ゴールデン街ツアー、かわなかセンセイ御一行様は一路『深夜+1』へ。

↑「深夜+1」 (左より)内藤陳さん、コンポメーカーデビル、かなめ、かわなかさん、イノリンさん、ぱんださん
天井からはセスナの模型が・・

21:30

 ゴールデン街の路地は迷路の様相である。センセイを見失っては、迷子になってしまうのは必定。ひょいひょいと路地を抜けるセンセイの背中を睨みつつ小走りに進むと、そこに『深夜+1』の看板が!! ああ、これが伝説の店かぁ〜と、感慨にふける間もなくずんずんと店内へ。入った瞬間、右手のカウンター越しに映った人物が……な、な、な、内藤陳さん!!! 生きとる!! 動いとる!! トリオ・ザ・パンチの、「ハードボイルドだど!」の、日本冒険小説家協会会長の、正真正銘の内藤陳さんの姿がそこにあった。
 
 この店では、女性と遠距離訪問者は優先的に席に座らせてもらえるという暗黙のルールがある。が、カウンター席がちょうど4つ空いていたので、その心配はなかった。先客は常連さん揃いと見え、はす向かいの席にはホラー作家の桐生祐狩さんの姿も。  
  陳さんのお姿にしばし見とれていると、そこへ平野氏からの電話が。かわなかセンセイ、イノリンさんは「よるひる」ぶり、ぱんださんは「よるひる」での擦れ違いリベンジ会話、私は18年ぶり。受話器からでも内藤陳さんのオーラが伝わるとよいのだが。
 
 電話といえば、ふと携帯を見ると電波状態がよくないことを発見。あーー、デビル氏が電話してくるんだっけ。稲月亜津子師匠も「電話するぞ!」って言ってたなぁ。大丈夫だろうか。どうやらぱんださんの携帯の方が多少は使えそうな感じだったので、稲月宅へ電話してもらう……が、話し中。やっぱ、ダメかな。この周辺には携帯電話などという中途半端なツールははじかれてしまう力があるのだろう、きっと。などと、思っているところへ勢いよくドアが開く。

  そこに立っていたのはスキンヘッドの武闘派……じゃなかった、お懐かしや〜のコンポメーカーデビル氏であった。彼はなんと、自力でこの店にたどりついたらしい。さすが、スキンヘッド。  
  絶妙のタイミングで帰っていった桐生祐狩さんと入れ替わりに、席を確保できたデビル氏。ここで、あらためて内藤陳さんの思い出話を聞くことになった。どれもこれもケッサクな話だったけれど、印象に残った話を2つ。
   
 『イカす!バンド天国』で審査員をされていた頃のエピソード。深夜の生番組だったにもかかわらず、スポンサーが大塚製薬だったために出された飲み物がポカリスエット。これには陳さん、キレた。「この時間にアルコールも出さねぇで、何がロックだコノヤロウ!」。さらに、審査にもポリシーを持っていた陳さん。「オレが推さなきゃ世の中に出て行けない奴等にだけ点入れてたんダ。ビギンとかな。いつだったか、ランプを青く塗って、無理やり入替えたこともあった」。そうか、陳さんのおかげでデビューできたバンドって、そういう経緯があったのか……って、インチキじゃん(笑)。でもまぁ、大らかでいいや。
 
 かわなかセンセイの勤める造形美術大学で講師に呼ばれたときのエピソード。囚人コントの実演をやることになった陳さん、看守役の相方として大学の守衛さんを連れてきた。もちろんコントの経験なんてない守衛さんだったが、すでに制服を着ているからそのままで役ができるし、途中で死体になって寝ているだけだから誰でもできると口説かれたそうで。ところが、その守衛さん、だんだん欲が出てきてしまい、死体になっても何かポーズをとって目立とうとする。陳さんもついに、「テメェ、死体がいつまでも動いてるんじゃねぇ!」と、ハチャメチャな展開になったとか(笑)。

いやホント、お会いするまでは店の雰囲気に馴染めるかどうかという心配があったのだけれど、陳さんの菩薩様のような笑顔に一同癒されっぱなしでした。


↑「しの」左が店長代理のお姉さん

23:30

 居心地のよい『深夜+1』に後ろ髪をひかれながら、またまたセンセイの背中を追いかけてヨコハマ……じゃなかった次なる目的地である『しの』へ。

  ここは、かの高田文夫センセイとも関わりの深いお店なのであった。壁には高田センセイが責任編集を務める雑誌『笑芸人』の表紙も飾られている。代理でカウンターに入っていたお姉さんは、近々結婚が決まったとかで、かわなかセンセイも嬉しそう。 ここで、稲月師匠に再度電話をかけてみる。やはり自宅だし、ダンナが出てはまずいので、ぱんださんにかけてもらうことに。今度はつながった! ぱんださん、かわなかセンセイ、デビル氏、私、イノリンさんという順番で金沢⇔新宿間のテレフォンデートが展開。 ここからの稲月興奮状態は「稲月亜津子」掲示板を読んでもらった方が臨場感満点だが、まぁとにかく大喜びしてもらったのは確かだった。  



↑「気仙坂」右がママさん

0:30

 次にちょっと軽く食べようということで、美味しい蕎麦を出してくれる『気仙坂』へ。まずは各自、麦焼酎を流し込む。んで、卵焼きウマイ、蕎麦ウッマ〜イ! おまけにママさんの人柄も素朴であったか〜い。ゴールデン街にこういう店もあるのだなぁ……と、感心したのでした。  
  『気仙坂』を出たところで、センセイの教え子であるウノザワ君とバッタリ遭遇。というか、彼は我々と遭遇するように狙って来たらしい。ある意味、スゴイな。で、そこからどこをどう歩いたのかわからないまま、『唯尼庵』に到着。気風のいいきーよさんの熱気に当てられ、コテツさんの達観したかのような立ち居振舞いに見とれる。飲んだ分だけの支払いということで(と言っても一杯だけで移動になったが)、ひとりなんと600円〜800円! いいのかなぁ、こんな安くて。一応、5万円くらいまでは覚悟してきたんだけどなぁ

↑「みゆき」左がママのキマリさん。右はウノザワ君
1:30 

 ここで、もうひとつの山場である『みゆき』にたどりつく。というか、かわなかセンセイが捕まってしまったという感じにも見えたのだけど。ママ(?)のキマリさんは終戦直後からの筋金入りというオカマさん。そのド迫力には「恐れ入りました〜」と、ひれ伏すしかないのであった。かわなかボトルに書かれた「キマリ、飲んでよし!」という文字にセンセイとキマリさんの友情(?)を感じ取ったのでありました。





 


↑ぱんださん&デビル(視線がヤラシイ 笑)


↑デビル&かわなかさん(熱唱するかわなかさん!)

2:00

 さぁ、いよいよツアーの終点『チルドレン』。ここは今までの店と違い、雑居ビルの3階に位 置するスナック風の店。ここでのかわなかボトルは"珈琲豆入り焼酎"。これがまたなんともスイスイいけてしまう代物。でも、アルコール度数は高いのよね。センセイがここでの記憶なくすのも無理なし。 かわなかセンセイご執心(?)の美人ママさんもサッパリした人で、女性客(そのときには主婦グループがおりました)が多いのも納得。 

 カラオケ忘年会の前哨戦というノリでアゲイン歌合戦がスタート。熱唱に次ぐ熱唱だったので、誰が何を歌ったのか、覚えきれないほどめいっぱい歌ったのだった。しかも、開いたページにある曲から必ず選ぶというゲーム性を持たせてみたにもかかわらず、だ。選曲の特徴をあげれば、"シブ専・かわなか""正統派・イノリン""ブチ切れ・デビル""ノンジャンル・ぱんだ""入り込み・かなめ"といったところか。冷静に観察しとるな、ワシ。 11月のカラ忘がとってもとっても楽しみになってきたぞ。あ、ちなみにウノザワ君は沈没しておった。


↑イノリンさん熱唱!

↑「チルドレン」左がママさん。その他酔っぱらいの皆さん

3:00

 『チルドレン』を出ると、時刻は夜中の3時をまわっていた。ここで新宿の喧騒の中に消えていくデビル氏。残った5人はタクシーに乗り込み、阿佐ヶ谷へ。タクシーの中では、センセイが稲月師匠に送った「テレビビックリハウス」の司会者の名前を思い出そうとしている。「はしだのりひこと……あと、ほらヤギュウジュウベエやってた女優…誰だっけ?」。それを聞いて、「その女優なら児島みゆきでは?」と、わかってしまう私。ジュウベエと聞いて『ハレンチ学園』をすぐ思い出した自分もなんなんだか。阿佐ヶ谷駅に着き、駅前に自転車を停めてあるというイノリンさんと別 れ、さらにかわなか邸へと移動。
   
 広いリビングに通され、ジュースをいただきながらセンセイの愛猫たちとしばし戯れる。 我々の話し声に起こされたのか、センセイの奥様登場。数分ほど話に加わっていただいたが、すぐまたベッドに戻られた。
 
 4時をまわり、タクシーで帰るというぱんださんを近所まで送るセンセイ。ウノザワ君は大沈没状態で床にころがっている。戻ってきたセンセイに地下の部屋を案内され、朝まで仮眠を取ることにする。創刊当時のビックリハウスがどっさりころがっていた。読み耽りたい気持ちを抑え、横になる。ううう、読みたい……。  

  朝、9時。センセイの寝息を後ろに聞きながら、そうっと失礼する。昨夜の肌寒い天気とはうってかわり、ちと暑いくらいの快晴である。ちょっとゴールデン街ツアー明けには似つかわしくないかな、などと思いながら阿佐ヶ谷を後にするのであった。 <完>

かなめ君、詳細なレポート及び写 真撮影ご苦労様でした。
時間の経過と共に乱れていくみんなの表情がマヌケ(笑)ですねー。
それにしても、かなめ君は変化がないんだけど、ちゃんと同じ量呑んでいたの?
最後に、よいこはまねをしないようにね。からだこわします(笑)(イノリン)

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