#479 口腔洗浄機を使ってみる

2024/05/15

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 お恥ずかしい話であるが、私は歯茎の健康状態があまりよろしくない。住んでいる自治体によっては無料の歯科検診などをやってくれるので、その機会などをとらえて診てもらうのだが、歯の方は虫歯などはないものの、歯茎の方は歯周ポケットがだいぶ深くなっており、油断していると歯垢や歯石がすぐたまるようになっている。

 もっともこれは私だけに限ったことではないようで、30代以上の3人に2人が歯周組織に何等かの所見があるとの調べもあるらしい。大変大雑把に言ってしまえば、大人の3人に2人は歯周病か歯周病予備群であるとも言える。

 体の他の部分の怪我や病気は、時間がたてば自然治癒力によって治癒に向かっていくものであるが、歯や歯茎の疾患は、一度なってしまうと自然には回復しないどころか、ほおっておくとどんどん悪化していく。特に歯周病に関しては、毒性物質が歯肉の血管から全身に入り、その結果、糖尿病、早産・低体重児出産・肥満・血管の動脈硬化(心筋梗塞・脳梗塞)にも関与しているとのことである(日本臨床歯周病学会のページより)。大変恐ろしい病気なわけである。

 特に日本の場合は、歯周病が国民病と言われるほど、特に中高年の罹患率が高いとされている。歯周病予防のためには、本当は数か月に1回、歯医者に行って定期的に歯垢や歯石を除去してもらうなどの予防歯科が重要なのだが、日本の健康保険では、予防歯科に関しては保険が適用されない場合もあり、その結果多くの国民が、歯や歯茎に関しては、何らかの症状が出て日常生活に支障が出てくるようになってから初めて歯医者に行くような状況になっている。

 そんなわけで、自分の後半生の健康状態を良好に保つためには予防歯科が大事であると考え、少なくとも寝る前は、風呂に入って湯船につかりながら時間をかけてゆっくり歯磨きを行ない、そのほか、糸ようじやデンタルフロス、舌ブラシなどを時々使って歯垢などを取り除くようにしている。そうしてそれでも取り切れないものについては、なるべく機会を捉えて歯医者に行き、歯茎の状態を診てもらうようにしている。

 特に奥歯の隙間については、なかなか歯ブラシなどの器具が隅々まで届きにくいという事情もあって、油断しているとすぐに歯垢がたまるようになっているので、もう少しきちんと取るために、このたび、口腔洗浄機というものを買って使ってみることにした。

 口腔洗浄機というのは、水を高速に噴射した勢いで歯垢を除去するもので、ここでも書いた高圧洗浄機と原理はよく似ている。そのため、水をためておくタンクと電源が必要なのであるが、高圧洗浄機と同様、据え置き型とポータブルなものがある。私が今回買ってみたのはポータブルなものである。

 ポータブル型のものは、水を入れるタンクが機器の下方についていて、その中に貯めた水をポンプで吸い上げて噴射するという原理である。電源はUSBアダプタで内蔵の充電池に充電する。水圧は3段階で選択でき、ノズルも直線的に噴射するものと、X型に噴射するものの2種類が用意されている。貯めてある水は1分ほどで使い切ってしまうが、通常の一回分の使用であれば、上と下、歯の表と裏と、各15秒ごとに使う感じで十分な分量である。タンクは分離型であるので掃除も簡単である。難点としては、タンクも含め一体型なので、ポータブルと言っても結構な大きさになってしまうところである。

 水をタンクに入れたりするなど一手間かかるものであるし、弱っている歯茎に高圧で水を当てると泣きそうなくらいに痛かったりもするが、使ったあとは確かに歯がツルツルになったように感じるので、口腔の健康状態を悪化させないためにも、習慣的に続けるようにしたいところである。


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