△ 「宇宙パンダの冒険」シーン12


トップページ > ページシアター > 宇宙パンダの冒険 > シーン12 【公演データ

<前一覧次>

園内。ハウザーが辺りを探りながら出てくる。

ハウザー 「ちくしょう。近くにいるはずなんだが。シグナルに対してネズミが小さすぎるぜ。」

ハウザー去る。インディー現れる。

インディー 「フゥ。しつこい奴だ。しかしなんで俺を追って来れるんだ?…ん?シグナル?…そうか!」写真

インディー、自分の体を調べ、首の後ろの発信機をみつけ、外す。

インディー 「これか!いてて!やっぱり発信機ね。てい!!」

インディー、発信機を投げ捨てる。

インディー 「よし、これで自由だぜ。…とは言え、まだまだ遠いな…体力も落ちてきたし…おっと、誰か来た。」

インディー隠れる。イェーイェーが入って来る。

イェー 「あぁ…、完全に道に迷ったです…。」
インディー 「クマか?…待てよあれは…なんだパンダじゃないか。でもなんでこんな所にパンダが?」
イェー 「う〜ん、どっちに行ったら帰れるですかね…」
インディー 「帰る?…そうか、こりゃ渡りに船かもしれないぞ。」

インディー、イェーイェーの前にとび出る。

インディー 「やあ!こんにちは!」
イェー 「わあ!なんですか?!」

イェーイェー、インディーを見つけられずキョロキョロ。インディー大声で

インディー 「こ〜んに〜ち…」

イェーイェー、インディーに気が付いて驚き、インディーも驚く。

イェー・インディ 「わあ!!」
イェー 「…うわ、すごく小さいのが出てきたです。…君はだれですか?」
インディー 「俺はハツカネズミのインディーってんだ。」
イェー 「ネズミ…。あれ?君、体になんか変なものいっぱいつけてるですね。」
インディー 「ああこれね。これはいろんな装置だよ。」
イェー 「装置?」
インディー 「実は人間に実験されててね。その装置。」
イェー 「え〜、大変そうですね。」
インディー 「まあね。でも実験のおかげで、俺は世界で一匹しかいない天才ネズミになったんだ。」
イェー 「天才ですか!いいですねぇ!」
インディー 「君はパンダだよね。」
イェー 「はい。パンダのイェーイェーです。…え?初めてクマって言われなかったです。」
インディー 「ま、知識は人間よりあるからね。」
イェー 「人間よりですか?」写真
インディー 「ところでイェーイェー君。これからおうちに帰るんだろ?」
イェー 「え?そんな事までわかるんですか?さすが天才ネズミです!」
インディー 「まあね。で、ちょっとお願いがあるんだけど?」
イェー 「なんですか?」
インディー 「俺を君のおうちまで連れて行ってくれるかな?」
イェー 「俺のおうちに?…あ、でも道に迷っちゃって…」
インディー 「大丈夫。僕が道案内してあげるよ。」
イェー 「ほんとですか?!」
インディー 「ああ!」
イェー 「それは嬉しいです!…でもどうして僕のおうちに来たいですか?」
インディー 「いやぁ、実はね悪い奴に追われててね。いい人間がいる所まで連れて行ってほしいんだ。」
イェー 「いい人間?…あ、桃子ちゃんならとってもいい人ですよ。」
インディー 「そうか!じゃ、是非桃子ちゃんの所に連れていってくれ!」
イェー 「わかりました!…ちょっと待ってください…」
インディー 「ん?なに?」
イェー 「今、悪い奴に追われてるって言いましたですか?」
インディー 「うん。言いましたです。」
イェー 「え〜…どうしよ…それは怖いですね…」
インディー 「いや、大丈夫だって。俺がついてるからさ!」
イェー 「う〜ん…でもやっぱり…」
インディー 「じゃあこうしよう。連れてってくれたら君が知りたいことなんでも教えてやるよ。」
イェー 「僕が知りたいこと?う〜んなんだろ?…あ!そうだ!」
インディー 「なになに?なんでも言って!」
イェー 「空の飛び方を教えてほしいです!」
インディー 「空の飛び方か!…え?…君が?」
イェー 「はいです。」
インディー 「…う〜ん、…ちょっとそれは…」
イェー 「やっぱり無理ですか…」
インディー 「なんか他に知りたいことないかな?」
イェー 「他ですか…う〜ん…あ!そうだ!」
インディー 「なになに?」
イェー 「ワイルドになってモテたいです!」
インディー 「…ワイルドになって?…モテたい?」
イェー 「はいです!」

インディーしばらく考える。

イェー 「…やっぱりダメですか…。」
インディー 「いや!教えてあげよう!」
イェー 「ほんとですか?やった!」
インディー 「これから俺の言う通りにすれば、きっとワイルドでモテモテになれるぞ!」
イェー 「どうすればよいですか?」
インディー 「まず…」
イェー 「まず?」

インディー、気配に気づく。

インディー 「まずい。」
イェー 「まずい?」
インディー 「戻って来やがった。」
イェー 「え?」
インディー 「まず、俺をきみの首の後ろに隠れさせてくれ。」
イェー 「え?いいですけど…」
インディー 「登るぞ!」

インディー、イェーイェーに乗る。

イェー 「うわわ、くすぐったいです!…あれ?誰か来たです。」

ハウザーが足元を探しながら戻って来る。

ハウザー 「やっぱりこの辺だな。」
イェー 「あ、さっきの悪そうなやつです。」

ハウザー、顔を上げるとイェーイェーと目が合い、両者驚く。

ハウザー・イェー 「うわぁ!!」写真
ハウザー 「…な、なんだパンダか…なあ、パンダちゃん、そこをちょっとどいてくれないかな?」
インディー 「イェーイェー君。そのまま後ろを向いてゆっくり進んで。」
イェー 「わ、わかったです。」

イェーイェー、後ろを向いてゆっくり歩きだす。

ハウザー 「そうだ、いい子だな、そのままあっちに進んでくれ。」

イェーイェー、に近づく

インディー 「よし!奥に入って右に曲がったら突っ走れ!」
イェー 「はいです!」

イェーイェー走り去る。ハウザー、ホッとする。

ハウザー 「ふぅ。焦ったぜ。さてと、シグナルはこの変だな。そこの下か。」

ハウザー、銃を構えてしゃがみ、物陰を探す。

ハウザー 「ん?」

ハウザー、何かを見つけ手に取ると、インディーの発信機だった。

ハウザー 「あぁ!ちくしょう!」

ハウザー、通信をする。

ハウザー 「ハウザーです。あのネズミ、発信機を外して逃げやがった。…ああ、もう追跡は不可能だ。…わかった。いったん戻る。」

通信を切る。

ハウザー 「あのクソネズミめ!」

ハウザー下手に去る。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > 宇宙パンダの冒険 > シーン12 【公演データ