△ 「コスモ・ノアへようこそ!」シーン13


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園内アナウンスが流れる

アナウンス 「本日は、スペース・コロニー・コスモ・ノアへお越し下いまして誠にありがとうございます。」

ゆっくり明転して行く。

アナウンス 「間もなく、動物園エリアは閉園時間となります。またの御来園をお待ちしております。」

畑、アナウンスが終わる少し前から登場し、真剣な顔で出て来てうろうろ。

「まさか…いやそんなはずは…でも、もしそうだとすれば僕は…」

チャールズ、マグカップを持って疲れた様子で出て来る。畑に気付き

チャールズ 「おお、畑君お疲れ。」写真
「チャールズさんお疲れ様です。ジャンボの様子は?」
チャールズ 「やっと落ち着いたんだけど、あいつ、午前中に檻の一部を壊したんだ。」
「えっ?!特殊アルム合金の檻をですか?!」
チャールズ 「まあ、あれだけでかいから抜け出せなかったんだけどね。力は戦車並みだよあいつ。」
「大変でしたね。」
チャールズ 「まだ検査は残ってるんだけどね。あ〜、そういや畑君今幾つだっけ?」
「もうすぐ15です。」
チャールズ 「で、博士号取ったのは…」
「小6の時です。」
チャールズ 「すごいよなぁ。僕なんか小6の時なんて…なにやってたかな?」
「チャールズさん、ご出身は?」
チャールズ 「イングランドのコルチェスターって町でね。」
「ああ、南東部の。確かあの町にも動物園ありましたよね。」
チャールズ 「良く知ってるね。子どもの頃は良く通ってたよ。ゾウとかに餌もあげられるんだ。」
「へえ、じゃ、その頃から?」
チャールズ 「そう。動物が大好きだった。」
「ご家族は?」
チャールズ 「…ああ…まだ国にいるけど…その話しは…」

松木が入ってくる。

「あれ?松木さん、休みじゃないの?」
松木 「ええ、ちょっと所用で。あの、上野います?」
チャールズ 「まだ戻って来てないかも。」

ポリーが興奮して入ってくる。

ポリー 「ちょっとちょっとみんな!」
チャールズ 「おお、ポリーどうした?」
ポリー 「見た?ステーション側の空!」
チャールズ 「え?何?」
ポリー 「「しっぽな」が来てるのよ!「しっぽな」が!」
松木 「しっぽな?」
ポリー 「知らないの?地球軍のミサイル巡洋艦よ!」
チャールズ 「軍艦が?」
ポリー 「しっぽな級なんか滅多にお目にかかれないのよ!あ〜、見に行きたいなぁ〜。」
松木 「でもどうして軍艦が…」

ジョージとパウラが出て来る。

ジョージ 「連邦政府のお偉い方が来てるらしいぜ。どうやら国務次官らしい。」
「え?!クラ―ケン国務次官が来てるんですかあ?!」
ジョージ 「どうした?」
「い、いえなんでも…」

瀬名が出て来る。

瀬名 「ジョージの言う通り。」
ポリー 「瀬名先生。」
瀬名 「今うちの会議室で、園長とコロニー長と国務次官と軍の人達が話しをしてる。」
ポリー 「まずい風向きじゃない?」
松木 「え?」
ジョージ 「元々あの国務次官はこのコロニーを軍の施設にしたがってんのよ。」
チャールズ 「園長それで昨日まで地球に呼び出されてたんですよね。」
松木 「動物園をつぶすかどうかって話だったんだ…」
瀬名 「なのにこのところ動物の様子がおかしかったり、今日なんか監視カメラが故障したり。メディカルセンターでは、ホッキョクグマの檻の電子ロックが故障して脱走騒ぎがあったり。」
「ホッキョクグマ、脱走したんですか?!」
瀬名 「もう、戻したけど。」
チャールズ 「どこにいたんです?」
瀬名 「なんかツキノワグマの檻の前でくつろいでたって。」
松木 「へえ。」
ポリー 「そんなのバレたら、ここつぶすのに有利なネタにされちゃうよ。」

りんごが出て来る。

りんご 「どうしかしたの?」
松木 「りんご!」

りんご、松木を睨む。

松木 「う、上野…さん。」写真
ポリー 「実は政府の偉い人が来てて、ここをつぶすとかいう話しをしてるらしいの。」
りんご 「は?」

そこに園長と、コロニー長のトーマス・スチュアートが現れる。

松木 「園長。」
瀬名 「コロニー長も。」
吉山 「みんな、ちょっと会議室に来てくれる?」
ジョージ 「僕らがですか?」
トーマス 「すまんね、緊急で重要な話なんだ。」

みんな顔を見合わせる。

瀬名 「行きましょう。」

みんなぞろぞろとハケる。

松木 「僕、今日休みなんだけどな…」

松木がハケる頃、照明が変わる。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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