△ 「悩める王子の惑星」シーン23


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病院の休憩室。(上手側)アーモンド、メリールーを連れて出て来て、椅子に座らせる。

アーモンド 「目はいつから悪いの?」
メリールー 「生まれつきです。グラス脳障害で。」
アーモンド 「君の治癒能力では?」
メリールー 「自分の病気は治せないんです。」
アーモンド 「そっか…。」
メリールー 「眼鏡があれば少しは見えるんですが、壊しちゃって。」
アーモンド 「直せないの?」
メリールー 「新しい眼鏡を作ってたんですけど、メガネ屋さんが疎開しちゃって。」
アーモンド 「別の星に?」
メリールー 「はい。惑星チェアビットに。」
アーモンド 「そうなんだ…。」写真
メリールー 「大丈夫です。そんなに不自由はないですよ。」
アーモンド 「えっと…。王子じゃなくって…セ…セレ…」
メリールー 「セレックさん?」
アーモンド 「そうそう!セレックさん!彼とはいつ頃から?」
メリールー 「え?…あ、二ヵ月前、ヴィンセント王子が亡くなった時の戦闘で彼も負傷して、たまたま私が近くにいて応急処置を。」
アーモンド 「へえ。」
メリールー 「そのあと時々お会いするようになって。」
アーモンド 「でも、隠れて会ってるみたいだよね?」
メリールー 「ええ。何かご事情があるようで。」
アーモンド 「ご事情ね…。ねえ、堂々とお付き合いしたいよね?」
メリールー 「え?…はい。でも…。」
アーモンド 「僕にまかせてくれない?」
メリールー 「え?まかせるって…?」
アーモンド 「堂々と会えるようにしてあげる!」
メリールー 「ほんとですか?」
アーモンド 「うん!」

メリールー、アーモンドの手を取り

メリールー 「お願いします!ピーナッツさん!」
アーモンド 「アーモンドです。」
メリールー 「ごめんなさい…」
アーモンド 「ま、似たようなもんです。」

上手側の灯りが消える。

(作:松本じんや/写真:関口空子)

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