△ 「心海のサブマリナー」シーン38


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ポセイドンのクルー上手に。コックピットには艦長は山野、ほおずき、川藤、光彦。機関部には山田。

山野 「いいのか?この艦もまだ修理中で、魚雷も使えねえってのに。」写真
ほおずき 「よいでありんす。引き受けてくれてありがとなんし。」
山野 「断われる訳ないだろ。まさかほおずきさんが閻魔の娘だったとは…それに、君の頼みじゃな…」
光彦 「まさか、おれが死ぬ時にも潜水艦が入ってたなんて。」
山野 「助けられなかったが、これで借りが返せるならな。そうでなきゃ根本を助けるなんて…」
川藤 「どうしてそんなに根本さんを目の敵に?」
山野 「あいつに殺されたからさ。」
山田 「え?!」
山野 「俺は戦争中、あいつと同じ隊にいた。あいつに全滅させられた隊にな。」
光彦 「それで艦長を…。」
ほおずき 「でも山野はん。本当は分かってるんでありんすよね?それは根本はんのせいではないって事。」
光彦 「え?」
山野 「何言ってる、あいつのせいだ。おれはあいつを…」
ほおずき 「わちは、閻魔の娘でありんすよ。」
山野 「…チッ…」
光彦 「どうゆうことですか?」
山野 「…根本は…隊長に頼まれて捕虜になりに行ったんだ。」
光彦 「え?」
山野 「元よりあいつはお国のために戦うよりも、家族に会いたがっていた。隊長も同じ考えでな。隊員全員捕虜にして命を救おうとしたんだ。しかし我々の同意は得られず、隊長は根本が出発した後殺された。」
光彦 「それじゃ…」
山野 「ああ、根本はそんな状況を知らず、全隊員が降伏するとアメリカ軍に伝えた。しかし偵察に来たアメリカ兵は殺され、騙したと思われた根本はその場で銃殺された。そしてその後おれたちも…」
光彦 「艦長は何も悪くないじゃないですか!」
山野 「お前らにはわからんさ!あの時代、あの場所では、おれたちが正しかった!おれたちが正義だったんだ!」
ほおずき 「でももう分かってるでありんしょ。それは間違いだったって。」
山野 「どこにぶつけていいか分からねえんだよ…だからおれはずっとこのと界に…」
ほおずき 「本当は根本はんではなく、自分にぶつけている。でもそろそろ終わりした方がよいでありんすよ。」
まほろば 「バッカスが川口の海に入った様ですよ。かなりの傷を負っていってる様ですが。」
光彦 「止める方法はないのかよ!もう倉内にはおれたちが入れるんだから!」
ほおずき 「やってみやしょか…」
光彦 「何かできるのか?」
ほおずき 「家族に会いたがってたって。」

ほおずき、去りかける。

まほろば 「まさか…」
ほおずき 「ちいと天に。」

ほおずき去る。

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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