△ 「心海のサブマリナー」シーン17


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光彦、布施が出て来る。

布施 「魚雷の再確認、どうにか間に合ったな。」
光彦 「魚雷10門、弾込め終わりました!」
布施 「弾を込めるんじゃ無い。魂を込めるんだ。」
光彦 「お!かっこいい!」
布施 「艦長の受け売りだけどな。」
光彦 「艦長も中々粋っすね。」
布施 「ちょっと休むか。」
光彦 「うぃっす!」
布施 「食う?」
光彦 「○ッピーターンすか?」
布施 「○アラのマーチもあるよ。」
光彦 「まじすか?じゃそっち頂きます。(うまそうに食べながら)あの、布施さん、一つ聞いていいっすか?」
布施 「三億円何に使ったか?」
光彦 「うわ、何でわかったんすか?!」
布施 「みんな聞くからね。」
光彦 「やっぱそっすよね。で?」
布施 「一円も使わなかった。」
光彦 「え?使わなかったんすか?じゃあ…」
布施 「全部燃やした。」
光彦 「も、燃やした?!」
布施 「ああ。ドラム缶で。三億円のたき火。」
光彦 「うわ、もったいなぁ…」
布施 「世間に反抗する事がカッコいいと思ってた。いわゆる不良。でも自分は頭脳明晰の天才だと自負してた。世間に一泡吹かせたはいいが、直後に心が空っぽになっちまってね。結局、警察関係者だった親父が感づいて、オレを毒殺した。」
光彦 「そうだったんすか…」写真
布施 「お前、自分なんか死んで良かったって言ったよな?」
光彦 「え?あぁ…」
布施 「オレも自分をクズだと思ってた。でも死んで良かったなんて思っていない。本当は、犯した罪はこんな所で償うべきじゃない。生きてるうちに償うべきだったんだ。償うまでは、死んでいいはずはないんだよ。」
光彦 「生きてるうちに…」
布施 「もしお前に後悔する気持ちがあるなら、それも「未練」だ。」
光彦 「未練…。」
布施 「ここですべき事は、ポイントを稼ぐ事だけじゃない。「もっと生きていたかった」と未練を感じ、そして生きていた事に感謝する事だ。」
光彦 「感謝…」
布施 「あ、すまん。なんか説教みたいになっちまったな。」
光彦 「いや、そんな…おれこそなんか…」

影から山田と川藤がカレー皿とスプーンを持って、泣きながら出て来る。一緒にまほろばとささがにも出て来る。

山田・川藤 「すみませんでしたぁ〜!」
布施 「山田、川藤…食事してたのか?」
川藤 「おれ、今、もの凄く未練感じてますぅ〜。」
山田 「僕もですぅ〜。」
布施 「わかったからカレー食いながら泣くなよ。」
川藤 「自分の都合で沢山の人を傷つけて、結局何も償えずに…」
布施 「しかたないよ。お前は病気で急死しちまったんだから。」
光彦 「病気?」
川藤 「ジニアス・シンドロームで…」
光彦 「え?あの天才病?1年しか生きられないってやつ?」
川藤 「超能力で3年延命しました。」
光彦 「すごっ!」
山田 「僕なんか自殺ですよ、自殺。」
光彦 「自殺?え?でも自殺したら…」
まほろば 「地獄に行く方も多いですが、ギリギリのポイントでここに来る方も中には。」
光彦 「へえ。でもどうして自殺なんか?」
山田 「子どもの頃からずっといじめにあってて…」
光彦 「原因は?」
山田 「名前です。」
光彦 「名前って、山田?」
山田 「いえ、下の名前。」
光彦 「なんて名前よ?」
山田 「ディカプリオです…」
光彦 「ディカプリオ?!山田ディカプリオ?!」
山田 「はい…」
光彦 「…ん?ディカプ…え?!ちょっと待ってディカプリオって!ディカプリオ?」
山田 「そんなに連呼しなくても…」
光彦 「違うくて、君…お婆ちゃんいる?」
山田 「いますけど…え?知ってるんすか?!」
光彦 「え?いや、そうね、ちょっと…」
山田 「元気でしたか婆ちゃん?!」
光彦 「うん、元気そうな声だったかな?」
山田 「声?」写真

有沢、入って来る。

有沢 「川藤!そろそろ時間!」
川藤 「あ、すみません!」
山田 「やばい!僕も怒られる!じゃ!」

山田、走り去る。

光彦 「あの有沢さん。有沢さんは生前…」
有沢 「川藤、行くよ。」
川藤 「はい!じゃ!…ん?」

川藤、自分の持ってるスプーンが曲がっているのに気付く。

川藤 「あれ、これ…」
有沢 「川藤!」
川藤 「はい!」

有沢、川藤、ハケる。

光彦 「ガン無視かよ。あの人オレに冷たくありません?」
布施 「生前君に酷い目にあったんじゃ?」
光彦 「え?…スリとか空き巣とかかな?」
布施 「覚えてんのは大概やられた方だよ。さ、時間だ。」

(作:松本じんや/写真:はらでぃ)

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