「あげぞこ先生」シーン１ 「あげぞこ先生」シーン１トップページ > ページシアター > あげぞこ先生 > シーン1 【公演データ】
字幕「２０１８年」
字幕が消えると上手のサスに畑悦子（はたえつこ）が現れる。
畑 「は？おっしゃっている意味がわかりません。どうして私が辞めなければ…え？いじめを黙認した？いじめを真っ先にみつけて報告したのは私ですよ。もう一年も前から…聞いていない？聞いていないってどう言う事です？…なるほど…そう言う事ですか。私は人柱にされたって事ですね？ …わかりました、どうぞお好きにさって下さい。失礼致します。」
去ろうとするが立ち止まり、
畑 「あ、最後に一言宜しいですか？…畳の上では死ねませんよ。校長。」
畑が去ると同時にサスが下手に切り替わる。そこには福来直人（ふくらいなおと）が立っている。
福来 「だから事実無根だと言っているでしょ！教え子に手を出すなんて…え？わいせつ行為？何度もされたって？…あの子がそう言っているんですか？どうしてそんな嘘を…。え？もうマスコミが騒ぎ始めている？…マスコミ？ え？…それじゃ…もう世間は…誰も僕を信じないって事ですね…。ハハハ…終わりって事ですか…」
福来、頭を抱えて去る。同時にサスが上手に切り替わると、瀬名が立っている。
瀬名 「医療ミスって…何言ってるんですか？あれは私じゃなくて看護士の…。え？…つまりそれは…私に罪をなすりつけようって事ですよね？…知ってますよ、医院長とあの看護士の関係。私だけじゃない、みんな知ってます。こんな事してただですむと思って…」
何か紙を渡される。
瀬名 「何ですか？（受け取って目を通し）身体能力詐称って…これは！…いつの間にこんな…。こんなの…こんなの汚いです！…医師免許剥奪？！ちょっと待って下さい！そんな…そんなのって…」
悔しさでうつむくが、しばらくして顔をあげる。
瀬名 「…医院長、一つだけお聞きしたいのですが…一番お好きな食べ物は？」
サス、下手に切り替わると、内田長次郎（うちだちょうじろう）が立っている。
内田 「私は、校長としての責任はとります。ですがこれだけは言えます。私は横領には一切加担していません。教師になって３５年。子ども達に 「嘘はいけない」と指導して来た様に、私も嘘はつきません。そして、子ども達を信じて来た様に、あなた方も信じたい。」
サス、上手に切り替わると、服部浩一（はっとりこういち）が立っている。
服部 「暴力など振るっていません。全て彼のでっちあげです。…わかります、わかりますよ、彼の父親は権力者だ。機嫌を損ねたらこの学校を守れない。しかし、我々は教師として、いや、大人として、決してこんな事を許してはいけないんです！…え？ちょっと待って下さい、懲戒免職って？！…どうしてそんなバカな事…。結局、そう言う事ですか…。ならばきちんと教科書に載せて子ども達に教えるべきです。「正義は決して権力には勝てない」ってね。」
暗転。
（作：松本仁也／写真：はらでぃ）