△ 「ブリジニツィー」シーン20a


トップページ > ページシアター > ブリジニツィー > シーン20a 【公演データ

<前一覧次>

明転。島袋、入って来る。

島袋 「まいったな。本当に迷路だなここは。」

上原、入って来て島袋と銃を向けあう。

上原 「警部!」
島袋 「おぉ、上原君か。」
上原 「良かったぁ、見つかって。」
島袋 「今井君と木村君は?」
上原 「わかりません。」

奥から足音。隠れる二人。ヴァイオレットが入って来る。二人で挟むように飛び出し、銃を向ける。

上原 「動くな!…女か?」
ヴァイオレット 「上原?」
上原 「え?あの、どこかでお会いしましたっけ?」
ヴァイオレット 「え?…そうか、もう1人の方か。」
上原 「は?何言ってるんですか?」舞台写真
ヴァイオレット 「うぅっ!(急にうづくまる)」
上原 「どうした?」

上原と島袋が近付いた瞬間、ヴァイオレットが二人の顔の目の前に銃を突き付ける。

ヴァイオレット 「銃を捨てて。」
島・上 「速っ!」
ヴァイオレット 「(上原、島袋銃を捨てる)悪いけど遊んでる暇ないの。さよなら。」

ヴァイオレットが去ろうとした時、後ろから木村が銃を向ける。

木村 「動かないで!」
上原 「木村さん!」
上・島 「ナイスタイミン!」
木村 「やっぱりあなただったのね。」
島袋 「この人がお知り合いの方?」
ヴァイオレット 「言ったでしょ、遊んでる暇はないの。」
木村 「どうして?どうしてこんな事しているのよ、彬!」
上原 「あきら?あきらって…元カレじゃなかったのか…」
ヴァイオレット 「姉さんに会うの。」
木村 「香澄さんに?」
ヴァイオレット 「もうすぐ姉さんに会えるのよ。」
木村 「何言っているの?」
上原 「お姉さんを探してるんですか?」
木村 「しっかりしなさい、彬!会えるわけないでしょ?」
島袋 「会えるわけないって、どうしてまた?」
木村 「亡くなっているのよ。」
上・島 「え?」
木村 「10年前に亡くなっているのよ、彬のお姉さん。」
島袋 「一体どういう事なんです?」
ヴァイオレット 「えぇ、確かに姉は死んだわ。でも会えるの。この仕事が上手くいけば、また会えるのよ。」
島袋 「まさか…」
木村 「クローンね?」
上原 「クローン?」
木村 「それで宇都宮首相を殺したのね。」
上原 「あの、話が良く見えないんですが?」
木村 「10年前、当時首相だった宇都宮は、重い心臓病を煩っていた。そして、事故で亡くなった彬の姉さんの心臓が移植された。」
島袋 「ドナーだったんですね。」
ヴァイオレット 「クローンを造るには、その人の細胞が必要なの。でも、姉さんの細胞はもうその心臓だけしか残っていなかった。」
上原 「それでバラバラに?」
ヴァイオレット 「えぇ。でも、それだけじゃない。姉さんは事故死じゃなかった。殺されたのよ政府の奴らに!しかも理由を調べて驚いたわ。たまたまよ。たまたま病院の近くに家があったからってだけよ!」
木村 「彬…」
ヴァイオレット 「いろいろ調べているうちにグレイと知り合ってね。姉さんを蘇らせてくれる代わりに、この仕事を手伝う事にしたの。もう少し、もう少しで姉さんに会えるの。だからお願い、邪魔しないで!」

ヴァイオレット、照明を撃って去る。照明、半分消える。

木村 「彬!!」
上原 「待てっ!」

刑事3人、すぐに追う。

(作:松本仁也/写真:広安正敬)

Next! 上原島袋木村ヴァイオレット

<前一覧次>


トップページ > ページシアター > ブリジニツィー > シーン20a 【公演データ