インプラント治療が成功したとしても、その後のメインテナンスをきちんと行っていないと、インプラントに付着したプラーク(歯垢)により、周囲粘膜に炎症 が起きてしまいます。歯周病が原因で歯を失ってしまった患者さんが「歯磨きが面倒だから抜いてインプラントにしたい」という場合、確実に失敗を招きます。 事前にインプラント治療後はプラークコントロールと定期的なメインテナンスが必要であることを説明し、十分に理解していただいた患者さんに行うべきである といえます。
天然歯の歯肉炎に相当するのがインプラント周囲粘膜炎です。初期の感染に対する歯肉とインプラント周囲粘膜の反応に違いはみられません。
天然歯の歯周炎に相当するのがインプラント周囲炎です。
歯周炎ではポケットが深い場合にも必ず1〜1.5mmの線維性付着が存在しています。骨吸収はみられても、骨に直接炎症が波及している訳ではありません。
インプラント周囲炎では炎症が骨まで波及してしまいます。その理由として、インプラント周囲のコラーゲン線維は平行に走行しているのみで、天然歯よりも
組織破壊に対する抵抗性が低いこと、線維芽細胞が少ないため、炎症により破壊された組織を修復する能力が小さいことが挙げられます。
現在、インプラント周囲炎に対する外科的な治療も報告されていますが、状態によってはインプラントを除去せざるを得なくなってしまいます。
(上顎ブリッジの動揺を主訴として来られましたが、インプラント周囲の骨吸収が著しく、除去する必要があります)
最終更新2013.1.10