ここではメインテナンスに関する研究を2つ取りあげ、定期的なメインテナンスが何故必要であるのかをみていきます。
Nymanら(1975)は 歯周外科処置後の治癒におけるプロフェッショナル・トゥース・クリーニングの効果を検討しました。実験群(test)は2週間ごとのリコール時に口腔清掃 指導とプロフェッショナル・トゥース・クリーニングを行い、対照群(control)は6ヵ月ごとのリコール時に診査のみで指導は行いませんでした。 24ヵ月間、プロービングデプスとアタッチメントレベルの変化を追跡しました。その結果が下のグラフです。
(Nymanら(1975)より改変)
プロービングデプスのみをみると、対照群でも初診時よりは減少しています。しかし、アタッチメントレベルに着目すると、対照群はアタッチメントロスがかなり大きくなっています。わかりやすく図にするとこうなります。
対照群は初診時よりも悪化していることが理解できると思います。すなわち、適切なメインテナンスを行わないと、歯周外科は有害な処置になってしまうということです。
AxelssonとLindhe(1981)は 専門的なメインテナンスの必要性を評価しました。リコール群は3ヵ月ごとに指導と必要に応じて再治療を行いました。非リコール群は診査のためだけに来院し てもらい、指導や再治療は行いませんでした。6年後のアタッチメントレベルの変化を比較すると、下の図のようになりました。
(AxelssonとLindhe(1981)より改変)
リコール群のアタッチメントロスは11%であるのに対し、非リコール群では89%でした。すなわち、専門的なメインテナンスにより歯肉縁上および歯肉縁下の管理を行わず、セルフコントロールのみでは歯周組織の健康を維持できないということが示されました。
メインテナンスに関する研究は多数ありますが、これらの研究だけからも、専門的なメインテナンスの必要性が理解いただけると思います。
最終更新2013.1.11