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デヴィッド・コレヴァーピアノリサイタル@Salon Collina(2002年6月1日)

 この日の前日、 私の職場の図書館開所式でデヴィッド・コレヴァーというアメリカのピアニストの演奏を初めて聞きました。 それまでこの人のことを知りませんでしたが、 その演奏には大変感じ入りました。 このピアニストはときどき来日するたびに中西さんというご夫妻のもとに滞在されているということで、 中西さんは自宅の一角にSalon Collinaという小ホールを建てて内外の実力ある音楽家を呼ぶという活動をされているということを知りました。 そこでこのリサイタルのことを聞き、 私にとって交通の便が大変良いこともあり(職場から歩いて5分)、 このリサイタルを聴きに行きました。 リサイタルのプログラムや写真はご夫妻のホームページThe Music Center Japanの中にある 最近の活動を見ていただくとして、 どういう点を素晴らしいと思ったかを簡単に書きましょう。

 演奏はダイナミックレンジが広く迫力があり、 かといって仰々しくはなく、 丁寧で自然なものでした。 技巧も音楽も堪能しました。 演奏後コレヴァーさんに「あなたの演奏法で特に感じ入った点があります」と言ったところ、 「当ててみましょう。僕のペダリングではないですか」と図星をつかれました。 こんなに作曲者の指示に忠実なペダリングはなかなか聴けないと思います。 典型的な例としてはショパンバラード第3番の第2主題のペダリングがそうです。(拙解説の譜例1参照)  コレヴァーさんはヘンレあるいはパデレフスキーに従っています。 作曲者の指示を忠実に実現しようとするとしばしば難しい局面があると思いますが、 それを美しく自然に実現していました。 彼は私に「ショパンの自筆譜のファクシミリ版を買うべきだ」と言ってくれましたが、 いずれ時間とお金に余裕ができたら(できないかもしれませんが)そうしようと思った次第です。
 これを書いている今、彼はもう帰国していると思いますが、 次回の演奏も期待したいところです。

[2002年6月9日記]
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