第10回 下田〜大島黒潮横断カヌー大会

2004/8/6〜8/7  静岡県下田市〜東京都大島町

2003年、夏・・・

2年越しの思いをかけて、大島横断に挑戦した。

完漕は出来なかったものの、それなりの達成感はあった。

ただし、心のどこかに、何か不完全燃焼というか、

やり残した気持ちがあり、再挑戦をぼんやりと考えていた。

2004年の大島横断が迫るにつれ、海に出る回数は激増した。

不安を拭い去るために、海だけではなく、陸でも自転車を漕いだ。

これだけやっても、最終的には、風の神様、

黒潮のご機嫌次第なのは、昨年思い知った。

ただ、今年で最後と言われる大島だから、是非とも完漕したい。

幸いなことに、今回は、チームサウスウィンドの一員として、

石田さん、稲葉さん、三浦さんと共に大島に渡るチャンスを得た。

リジット艇で行くという選択肢は、もはやあり得ない。

困難が予想されるファルトで完漕した方が、喜びも大きいに違いないからだ。

(と言いつつ、ちゃっかり、強風対策としてリジットも積んで行きましたが…)

という訳で、今回もフジタカヌーシーショア500で島渡りに挑む。

 

§

 

8月6日

大島横断のスタートは、朝5時と早い。

前泊が必要なのである。

そうなると、せっかくなので、早めに到着して、伊豆の海で

楽しみたいというのが人情である。だから、まる1日休暇を取った。

朝6時半に出発し、ひたすら、下道で下田に向かう。到着したのは12時過ぎ。

現地で、三浦さんと合流して、昼食。

あとのお二人は、夜到着の予定。

 

爪木崎に向かう。

艇の組み立てには、細心の注意を払った。

後悔のないように、満足行くように、時間をかけて組み立てた。

ファルトは、いい加減に組むと、船体布がねじれたりする。

そして、真っ直ぐ進まないのを、船のせいにしてしまう自分がいる。

そうならないように、慎重に組んだ。

 

浜から出艇し、久しぶりの伊豆の海の感触を確かめる。

 

§

 

夕方、昼過ぎに出発したという稲葉さんが到着した。

今回の宿、「源兵屋」に入り、まったりする。

実は、大島横断が終わったと、もう一泊して、のんびり帰りたい

と思っていた。へんぴなところ(失礼!)だから、余裕で泊まれるだろう

と甘い考えでいたが、結果はNG。隣りの権兵衛屋でも聞いてみたが、

やはりダメ。夏休みで、土曜と言うこともあり、どこも一杯のようだ。

ZENの田中さん(3分割3色セドナ)も同じ考えだったようで、

少し、がっかりした様子だった。

 

時刻は6時過ぎ。

漁民会館では、受付と説明会が始まっていた。

慌てて、席に着く。

前半の向かい潮をがんばって超えれば、

後は追い潮に乗って楽に行けるはずという説明を聞く。

これって、去年も同じような話を聞いた気がするので、眉唾もの?

参加者全員(今年は、ドタ参の1名を加えた52名の参加がありました)

の自己紹介が終わり、説明会はお開きとなった。

 

後は、チームサウスウィンドのボス、石田さんの到着を待つばかり。

何時だったか記憶にないが、ようやく石田さんがやって来た。

暑さでぼーっとして、横浜を車でうろうろしてしまったとか。

石田さんは、シレノスの進水式を兼ねて、大島横断に挑む

という大胆な行動に出るようだ。

 

ようやく、お預け状態だった海鮮料理にありつき、満腹…。

その後は、今年も、缶ビールを手に、みんなで夕涼みへ。

漁港では、渡りガニが泳ぐ姿を、初めて目撃する。

器用に足を使って、水面近くを真横に泳いでいる姿に感動。

カニって、ああやって泳ぐんだー。

宿に戻り、早めの就寝・・・

 

§

 

8月7日

朝3時半過ぎに起床。石田さんは目覚めがいいようだ。

寝ぼけた頭のままで、出発の準備を進める。

稲葉さん、三浦さんを起こしに行く。みんな眠そうだ。

 

まだ真っ暗な中、漁港に移動し、出艇の準備をする。

空が明るんできた。

適度に雲のかかった、絶好のカヤック日和だ。

船をスロープから海面に下ろし、出発の時を待つ。

出艇者の点呼が取られ、全員の集合が確認される。

  05時03分

時間を少しだけ過ぎたところで、一斉にスタート!

大船団が、大島に向け出航した。

 

05時13分

程なくして、船団の進行が停滞する。

併走していた漁船の起こした引き波で、沈したエントラントが出たのだ。

 

05時39分

しばらく漕ぐと、またもや停滞。

なんだか分からないが、高いうねりの中で、延々と待たされる。

この後も、しばらくはいやらしい海況が続く。

ただ、こういう時、安定感抜群のファルトは楽なのだ。

船に任せて、ぼけーっと待っていれば良いのである。

 

06時57分

ようやく本来のペースに戻り、約1時間漕ぎ続ける。

やっぱり疲れてくるが、休憩時間は十分にあるので、

水分、食料をきちんと摂る。

 

07時33分

遠くに航行するのは、貨物船(?)

カヤックから見上げると、まるでビルのように巨大なのです。

 

08時00分

これまでの荒れた海が嘘のような、ベタ凪に近い海。

とても外洋にいるとは思えなかった。

海の変化は、本当に面白い。

 

08時59分

追い波/追い風は、波に乗れない/風にあおられるファルトにとっては、

実はあまり嬉しいものではない。そんな状態が延々と続き、

前に進むよりも、進路修正に力を奪われた。

リジットの皆さんが、気持ちよくサーフしていく姿を、

ひたすら、うらやましく見送る。

石田さんが、サメに襲われたのは、この辺り?

推定3mのハンマーヘッドシャークの尾びれが、

カヤックにドーンと激突したらしく、茶色い跡がついてました。

周りにいたカヤッカー達が、驚くほどの音だったとか。

僕のファルトに当たってたらと思うと、ぞっとする…。

 

09時42分

海の色は、限りなく深い青、藍色とでも言うのだろうか?

言葉では表現しきれないほど美しい色に、疲れを忘れる。

 

10時01分

すぐ目の前に迫る、大島。

ゴールは近い。気合も入る。

 

10時40分

最後のパートは、これまでのクルージングスピードではなく、

レーシングスピードで思いっきり漕いでいたら、

完全にばててしまった。

でも、港はすぐそこなのだ。もうひとがんばり。

 

10時55分

そして・・・

朝5時のスタートから、5時間50分。

ついに大島にゴールした!

 

皆さんの力を借りながら、船を下りる。

長時間座りっぱなしのせいか、真っ直ぐ立ち上がれない。

去年よりは楽な海況だったが、やっぱり疲れた…。

漕ぎ切った充実感は、何度味わっても良いものだ。

 

弁当を食べ終わると、去年はなかった自由時間!

漁港の裏手で、シュノーケリングを楽しんだ。

帰りは、伴走してくれた漁船にカヤックを積み込んで、一路洲崎へ。

12時49分

 

過去最短の横断時間となった今回の大島横断。

過去最長の横断時間となった昨年の大島横断。

両極端の大島横断を経験できたのは、ある意味、幸運なことかも知れません。

もしも来年、第11回大会が開催されるなら、今度はリジットで行ってみたい!

と思う今日この頃です。

 

§

 

最後に、今回の航跡です。

GPS不調につき、色んなところでデータが切れています。

今回の航跡は、理想的なコースで、ほぼ真っ直ぐ大島に向かっています。

(クリックすると大きく表示されます)

 

 

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