12月3日 北限調査紀行Part1
11月上旬、カヤネズミの「生息北限調査」に行って来た。これは、今回の「全国カヤマップ2000」に絡めた助成研究の一環で、宮城県−山形県−新潟県の3県にまたがる、列島横断調査行だった。
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カヤネズミは九州から本州にかけて連続的に分布しているが、その生息北限は、現在報告されている限りでは宮城県(日本海側は新潟県)である。近年、さまざまな人間活動により、カヤネズミの生息場所は減少の一途をたどっている。早急に詳しい生息状況に基づいた施策をとるべきだが、本種の生息状況は、過去複数の調査報告書により断片的に記録されているものの、全国レベルの分布状況は殆ど明らかにされていない。従って、現時点での本種の生息分布の北限を明らかにしておくことは、本種の保護政策を行う上で、重要な基礎資料として位置づけられるとともに、学術的も貴重な資料になる・・・。
・・・まあ、理屈はさておき、要は一度北限を見ておきたかったのだ(笑)。
例えば同じネズミ科のアカネズミはほぼ日本全国に分布しているが、カヤの場合、宮城・新潟以北に生息記録はない。つまり、現時点では宮城−福島−新潟ラインが「分布の北限」なのだ。地続きの本州で、「北限」を決定づける制限要因は何なのか。そもそも、「北限」とは生物にとって、どんな意味をもつのか。今回の調査で可能な限り明らかにしたい。併せて、分布の北限を更新できればなお嬉しい。
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仙台空港はあいにくの雨だった。調査に同行して貰ったKさんも、「さすがに東北は寒いですねぇ。」と天候の悪さが少し恨めしそうだ。寒さに震えながら空港に降り立った私たちをにこやかに出迎えてくださったのは、宮城野野生動物研究会のTさん、Hさん。Tさんは宮城県下でカヤの巣を発見・報告されている、県内の数少ないカヤの巣の目撃者だ。お二人には、今回の調査をお手伝いいただけるとのことで、私自身はさっぱり地理勘が無いため、非常に有り難かった。
空港で予約してあったレンタカーを借り、まずは宮城県のカヤの生息環境を確認するという意味も含めて、文献に基づき、過去の巣の発見場所をまわってみることにした。
さて、カヤニストことわたくしは、果たして北限のカヤに会えるや否や?
待て、次号!(笑)