中国人民軍に籍を置く科学者でGストーンとそれに伴うオーバーテクノロジーの無償供与を受けて科学院航空星際部において開始された超機人計画に参加、その中心となって風龍、雷龍を完成させた。科学者であると共に軍人であり、レスキューロボであった氷竜、炎竜の基本プログラムを改定し軍事教練を行うことで戦闘用ビークルロボの基礎理論を造りあげた。しかし完成間もなくの風龍、雷龍はシンパレートの上昇が見られず、それ故にシンメトリカルドッキングはもとよりGストーンの共鳴励起による出力向上効果が得られず、想定していた戦闘力を得ることが出来ないでいた。アメリカに留学経験があり、当時から成績優秀であったがいささか自信過剰で、自身の理論に固執する傾向があったと言われている。
ヤン博士はシンパレートを単なるAI同調率として単純に理解し、同一の目的を与えれば自然に上昇するものと考えていた。そのため超AIの最大の特色である極めて人間に近い「心」の一部を敢えて封印し、単なる高度な戦術思考を行うコンピュータとして使用することで、AIを戦闘用に機能特化し、その結果機界文明による人的物的被害を抑制しようと考えたのだ。
だが、共感を得られない連帯がひとの心を励起することがないように、勇者たちにとってもまた、人命を救うという共通目的に向かい共に鋼鉄の身体を有する仲間としての互いを信頼し思い合うことなしに、シンパレート(共感)が生まれよう筈もないのである。対ZX−05戦を通して、風龍、雷龍がそのことを学びとっていくことで、ヤン博士の心情にも大きな変化が起きていった。
2006年、中国人民軍を辞して、この年創設されたばかりの国連宇宙軍へ移籍、その司令官に抜擢される。軍人としての優秀さが認められたわけであるが、平時においてはかつての古巣である科学院航空星際部において研究や実験を行う二足草鞋の生活を続けていたようだ。2006年6月におけるGGGの「大異動」以来、GGGの各国支部や国連軍の編成は急速に進んではいたが、木星決戦における人的損耗などもあり、各部署における人員の充分な配備が整うまでにはなお多くの時間を必要とすることになる。
2007年のいわゆるGGGクーデターに際しては国連宇宙軍司令官として量産型CRによる攻撃部隊を指揮、巧妙な波状攻撃とGGGの特性を知り尽くしたからこその戦術で、クーデターを鎮圧寸前にまで追い詰めるが、マイクサウンダース13世の反逆行動によってカナヤゴ以外のディビジョンフリートの進発を許してしまう。GGG追放命令以後は、降伏したオービットベースを速やかに接収、制圧下に置き、八木沼長官以下、残留していた隊員全員を拘束することに成功した。一説にはかつて知己を得たGGG首脳部と結託してその進発に際して、戦力を譲渡したとも言われているが、詳細は不明である。その後は国連宇宙軍司令官を務めながら降伏したGGG隊員に対する便宜を図ることに尽力した。
漢字で書くと楊龍里。なお、木星決戦終結直後に結婚、その後一児をもうけた。
声優は中博史さん。