ライナーガオーU

 ライナーガオーは当初3機建造されたガオーマシン中でも殊に多くの課題を生んだ機体となった。列車型という形状からもたらされる運用範囲の限界と、合体時の重要機能の集中搭載によって余力ない機体構造は機界文明との戦線が世界各地に拡大するに至って、決定的な運用の困難さを露呈した。そもそもライナーガオーが一定の有用性を発揮するのは、日本のように鉄道線路網が全国にくまなく張り巡らされた、極めて特例的な地域においてのみであるという事がはっきりしてきたのである。線路外の走行も想定しているライナーガオーではあったが、走行時における路面とライナーガオー自身の駆動輪に対する破壊的影響はもとより、超高速走行時に発生する周辺への破壊的影響を考慮するならば、それは安易に行われるべきものではなかった。加えてGGGがその活動根拠地を衛星軌道上のGGGオービットベースに置いたことで列車型という汎用性を欠いたその形状自体がライナーガオー自身への大きな足枷になってしまったのである。
 ギャレオンを失ったGGGが新主戦力の確保と世界規模での防衛戦力整備を目的として打ち出したガオファイガー・プロジェクトにおいて、ライナーガオーの改良は極めて大規模なものとならざるを得なかった。これまでイザナギステルスガオー等に頼りきりとなっていたライナーガオー自身の移動技術を確立し、オービットベースから世界中どこへでも投入できる汎用性を確保するために、まずはその列車型というコンセプトを見直さねばならなかったのである。その結果、ライナーガオーUはロケット型という一見高機動ながらも汎用性を欠くかと思われる形状を得ることになった。これには公に国連直属の防衛組織としてGGGがその存在を世界的に認知されたことにより、装備品に対する偽装の必要性が、殊ガオーマシンに関しては不要となった事が大きな要因として挙げられるだろう。
 ライナーガオーUは流線形と白と青のコントラストが美しい旧来機から一転して、青を主体とした未来的なデザインのロケット型となった。ロケットと言っても、これは他に分類のしようがないために便宜的にそう呼んでいると言った方が正確である。従来のロケットとは異なり、発進に打ち上げ台や機体の直立を必要とせず、飛行機のように飛行することができる。しかし、飛行機のように長い滑走距離を必要とせず、また翼を持たずに、単機での大気圏離脱さえ可能な本体ロケットエンジンと六基の補助ロケットエンジンの大推力によって半ば強引に胴体で揚力を得ている点で純粋な飛行機型とは言い難い。あえて飛行機に分類するなら特殊なリフティングボディ飛行機とは言えるだろう。
 通常は簡易AIと無線によって制御されるが人が乗り込み操作することもできる。大気圏内外を換装なしで高速飛行することが出来る高機動ロケットであり、出力に多大の余裕を有するために補助装備を接続しての戦闘攻撃機的な運用も可能であるが、過激なまでの高機動力に比して運動性能は劣悪であり、また搭乗員に過大な負荷を強いるという欠点も存在する。
 ファイナルフュージョン時には補助ロケットを排除、上下に分離展開してガオファイガーの両肩と両上腕を構成する。ここでは従来機と同様にGパワーの両腕への供給と変換を行うと共に、ガオファーに搭載されていたフュージョンブロックが移動して内蔵されるようになっている。緊急時には搭乗者の生命保護のため、フュージョンブロックを内蔵した脱出装置としてガオファイガーから分離、射出される。また旧ガオーマシンとの互換性を有し、ライナーガオーと同様にガイガーとのファイナルフュージョンが(機体の一部が損傷するものの)可能である。
 ギャレオン無き後の地球圏秩序維持防衛戦力の主体として各地で活躍したが、GGGの三重連太陽系遠征に投入され現地におけるソール11遊星主との戦闘でガオファーともども破壊されている。

 分類 G−stone Driven Gao Machine
 形式 ガオーマシン
 機体構成 ガオファイガー肩部
 全高 13.1m
 全長 24.6m
 重量 133.3t
 DSPシステム LGC−20000
 GSライドクラス 機密
 構造 単一構造結晶装甲

 主動力 第五世代型ウルテクエンジン
   推進機関 Gロケットモーター×6(+補助ロケットモーター×6)/ウルテク推進システム
 搭乗可能人員数 1
 バリアシステム Gパワーバリアシステム/レーザーコーティングD119負荷転移装置
 装甲 ハイパーG装甲
 武装 なし
 備考 単機での大気圏離脱可能