★文芸3 ドキュメンタリー・ルポ・ノンフィクション


D−a036−001
欲望の迷宮 橋本克彦 時事通信社 1989年 B 1400円
国際的歓楽街新宿歌舞伎町大漂流! 気鋭の大宅賞受賞作家がおくる入魂の最新作
―――帯惹句より。★歓楽街新宿歌舞伎町の底に男と女の悦楽の糸が紡がれ美神と
酒神の織りあげる妖しの物語がしたたる――と表紙カバーには記してあるように、歌舞
伎町に夜ごと集まる人々の生態をあますところなく記録したルポ文学。有名な文壇バー
「カヌー」のマダムだった関根庸子へのインタビュー有り。生い立ちと客の埴谷雄高ら文
壇名物男たちについて語っている。※程度はBといってもわりとキレイな状態です。
価格
\600
D−a036−002
アフター・スピード 石丸元章 飛鳥新社 平成9年 初・帯 B 1500円
ドラッグ・ノンフィクション「スピード」の次は、「獄中自由筆記」 逮捕される前にこれを
読め!―――帯惹句より。★覚醒剤所持で現行犯逮捕されたライターが、「懲役1年6
か月、執行猶予4年」判決まで、初めて犯罪者として暮らしたあっち側の世界をレポート
――(表紙見返しコピーより)したものだが、花輪和一氏と違い、彼は監獄へは行かず
留置所・拘置所止まりでシャバに出られた。その逮捕から解放までの一連の経過報告。
一番笑えたのは、裁判での妻と弁護士とのやりとり。やっぱし裁判って今一番イケてる
か?※帯に破れがあるもののわりと程度はいいです。
価格
\1,000
D−a036−003
河童が覗いたトイレまんだら 妹尾河童
 文芸春秋 初 1990年 B 1400円
★ご存知河童さんの俯瞰詳細イラスト入りで各界52人の著名人の自宅のトイレを覗い
た記録集。その覗かれた人たちとは、表紙の田辺聖子を始め、椎名誠、山口瞳、野坂
昭如おすぎ、タモリ、和田アキ子、赤瀬川源平、荒俣宏、藤森照信氏ら作家・タレント・
化人。トイレを通してその人柄の意外な一面が明かされる。一家一冊、トイレに一冊の
好著。※初出は週刊文春に89年から一年間各一件ごと取材連載されたもの。
価格
\1,300
D−a036−004
予想屋 大泉実成・田中良成 太田出版 1998年 初・帯 B 1800円
当たってナンボの世界! 全国21人の予想屋人生を描く 渾身のノンフィクション――本
書帯惹句。予想屋は、時に荘重に、時に怜悧に、ある時は噺家のように、別の時は確信
に満ちた科学者のように、そして優雅な予言者のように、解説し、そそのかし、ののしり、
説得し、笑わせ、口説き、確信する。ひとり台の上に立ちながら。俗の極みの中で、背筋
を伸ばし、何者にも犯されがたい神性と狂気を持って、彼らは立っている―――前書き。
★予想屋とは、競馬、競輪、競艇場などで自分の当たる“予想”を売る人々。全国各地の
場内を訪ね名物予想屋から直接話を聞いたもの。それぞれの意外な人生が味わい深い。
※美本・帯有り。
価格
\900
D−a036−005
あなたがホームレスになる日〜急増する路上生活者の実態
レポート 森川直樹 サンドケー出版局 1994年 B 1600円
★売り切れました!
「失業」……わが国ではあまり切実さを伴わなかったこの言葉が、にわかに身近になって
きた。その「身近さ」を端的に具現化して見せている場所が新宿である。日本一の乗降客
を誇る新宿駅と、都庁舎を結ぶ約300メートルの地下道には、段ボールで作られたホーム
レスの人々の「家」が建ち並ぶ。繁栄の象徴の狭間に巣くう没落者の群れ……。《略》企業
エリートと路上生活者の間には、どれほどの違いがあるというのだろうか?――刊行にあ
たって より。★平成大不況の恐怖と表紙に副題がついた本書は、10年近く前に書かれた
ものだが、事態は改善されるどころか、小泉改革のおかげでより一層不況は悪化してい
る。ホームレスの人々の切々と語る言葉は今日さらに重みを増している。本書で取材に
応えた西新宿のホームレスたちは慎太郎都知事により追い立てられ、現在上野、隅田川
沿岸、多摩川河川敷へと分散してしまったらしい。ともあれ明日は我が身だと思わずには…。
価格
\600
D−a036−007
お役所の掟〜ぶっとび「霞が関」事情 宮本政於
 講談社 1993年 帯 B 1500円
「お役所仕事」の旧弊を直撃、〈役人天国〉震撼のベストセラー!!――本書帯惹句。
★本書の著者は厚生省検疫課長。そもそもの執筆動機は、閑職に追いやられ 官僚
生活が風前の灯になっていた時に友人の朝日新聞の記者の薦めで「月刊Asahi」に、
告白記を書いたところ大反響。連載となった“ぶっとぴ「お役所生活」考現学”に加筆
したもの。内部告発というような激しいタッチではないが、世間一般の常識では全く通
用しない役人の非常識な常識・実態がリアルに描かれている。 役人は、「遅れず・休
まず・仕事せず」だけではなかった!※帯は外され折られて本に挟んであります。美本
ですが、一部鉛筆でチェック印有り。表紙・本文カットはサトウサンペイ。                                       
価格
\700
D-a036−022
誘拐 本田靖春 文芸春秋 1977年 初・帯 B 950円
昭和38年3月31日の夕暮れどき、東京・台東区入谷南公園から5歳の少年が姿を消し
た。東北訛りの脅迫電話、身代金を奪われた警察の失敗、あせる捜査陣の必死のアリ
バイくずし……。戦後最大の誘拐事件を、一年余の綿密な取材で構成する迫真のドキュ
メント―――裏帯惹句。戦後日本を大きく揺るがした吉展(よしのぶ)ちゃん誘拐事件。
その事件の全容を丹念に追った本書は、今やドキュメンタリーの古典と呼んでいい。
容疑者小原を追いつめる刑事平塚八兵衛の私的執念……。NHKのプロジェクトXのよう
に“イメージ映像”で補って読んでも面白いが、酒鬼薔薇や宮崎勤の事件のような真の
「鬼畜」を知った今読み直すと、何故犯人小原は死刑を求刑され処刑執行されたのか釈
然としない気もする。※30年以上も前の本にしては程度は良くしっかりしています。
価格
\900
D−a036−008
囚人狂時代 見沢知廉 株式会社ザ・マサダ 1996年 B 1500円
★筆者は、巻末の略歴によると、59年生まれ。早稲田中、早稲田高校へ進学したが、学
年末試験時、試験用紙を破り教育批判をし退学処分に。定時制高校に通い暴走族に入
る。同じ頃、新左翼ブントの活動家となり「成田空港管制塔占拠」などに参加。中央大学に
進学し、アジト専従の生活を送る。しかし、左翼に失望し、新右翼の日学同に入った。82年
には、一水会、統一戦線義勇軍へ。同年、「イギリス大使館火炎ビンゲリラ」や「スパイ粛
正事件」で逮捕され、懲役12年の判決で千葉刑務所へ。所内で反抗を貫いたため、8年半
を厳正独居房で過ごし、精神病の囚人が収容される八王子医療刑務所にも送られた。94
年10月、獄中で書いた小説「天皇ごっこ」で新日本文学賞を受賞。同年12月に出所。現
在、作家、思想家、暴走族評論家として活躍中―――という、筋金入りのスゴイ人で、その
人が記した「塀の中」の日常生活の記録。石丸某の同種の記録本よりもともかく半端じゃな
く、刑務所仲間も悪人度高し。しかし、このタイトルはいかがなものか。巻末に参考資料とし
て、千葉刑務所各房常備品の冊子「受刑者の生活心得」「守らなければいけないきまり」が
採録されている。それにしても囚人は何故かみんな甘いモノが好きなんだなあ。 ※鉛筆で
の傍線引き有り。
価格
\900
D−a036−009
うちの子が、なぜ!〜女子高生コンクリート詰め殺人事件
佐瀬 稔 草思社 1990年 初・帯 B 1300円
★売り切れました!
昭和64年1月、足立区綾瀬で起きた殺人事件は、検察をして「犯罪史上においても希に
見る重大かつ凶悪な犯罪」と言わしめたほど衝撃的な事件であった。4人の少年が、17
歳の女子高生を40日間も監禁・暴行した末に、死に至らしめ、ドラム缶にコンクリート詰
めにして棄てるという残忍な内容は、多くの人に「恐るべき少年犯罪」を印象づけた。
しかし、被告の4少年の親たちにとって゜うちの子が、なぜ!」という驚きと後悔の感情で
迎えられたことだろう。マスコミは「少年法の適用範囲」や「量刑不当」の問題に終始した
が、事件の本質はもっと広く根深い。《略》しだいに明らかにされる事件の全容は、いかな
る研究書やレポートよりも、現代の家庭や教育が抱える難問を浮き彫りにしているのでは
ないか――カバー裏紹介文より。★こうした事件を克明に追った本を読むと感じるのは、
時代を追うごとに事件の質・動機共に過激かつ不透明になっていき事件は解決されても
後味の悪さだけが残る。しかし、誰かがこうした事件を追い記録に残し、事件の謎を解き
ほぐそうとしない限り同種の事件は形や場所を変え再生産され、真の“犯人”はぬくぬくと
成長続けるに違いない。※本文自体は新品同様で未読の状態かも。
価格
\800
D−a036−010
浮遊殺意 岸田秀×山崎哲 晩成書房 1990年 B 1450円
名古屋のアベック殺人事件、綾瀬の女子高生コンクリート詰め事件、連続幼女殺害事件
など今日の“若者”が起こした残忍な事件について、和光大教授・岸田秀と劇作家・山崎
哲が、「被害者、加害者双方のメンタリティに立って、事件の本質に迫る」べく対談した本。
★どうして次から次へと従来の常識では理解できない事件がおこるのだろうか。その答え
は、この対談を読み終えたとしてもはっきりとは見えてこない。が、山崎が終章で言う、今
の時代は、「殺意が浮遊しているから、どんな場合でもその殺意はすごく恣意的に結びつ
いて、だれを殺ってもおかしくないし、どういう理由で殺ってもおかしくない。どういう理由で
も殺せちゃうし、だれでも殺せちゃう」という発言が端的に言い尽くしているかも。
※美本ですが、鉛筆での書き込みあり。
価格
\900
D−a036−011
事件記者の110番講座 三木賢治 毎日新聞社
 1995年 帯 B 1400円
昔も今も変わらぬ犯人と刑事のチエ比べを、ベテラン記者がそっと教えてくれる本。この
講座を受講すれば、あなたも立派な警察通――帯惹句より。★著者は毎日新聞社会部
元警視庁キャップ。笑える事件から悲惨な、残虐な事件まで、新聞をにぎわした数々の
事件を俎上に載せ蘊蓄を傾けた肩の凝らないコラム本。
価格
\600
D−a036−012
「事件」ブック 山崎哲 春秋社 1989年 初・帯 B 1650円
「金属バット」事件から「宮崎勤」事件まで、やさしい心と勇気ある洞察力で、多発する未知
の事件と新しい主題に挑む、劇作家・山崎哲の「事件」ブック――帯惹句。★綾瀬女高生
コンクリート詰め殺人事件など80年代に起きた若者たちが起こした衝撃の「事件」や世相
に関し各メディアに書いたものをまとめたもの。今日振り返るとこれらの事件は、90年代に
入り神戸や大阪池田小で起きたさらに残虐非道の事件の前章〜前触れでしかなかったこ
とがよくわかる。時代の経過かと共に心の闇はどこまで深まっていくのだろうか。
価格
\800
D−a036−013
Mの世代 ぼくらとミヤザキ君 大塚英志他
 太田出版 1989年 帯 B 1100円
★時代を揺るがすある“大事件”が起こると、その事件を取り上げた特集記事が雑誌で
組まれたり、研究や解説、関連した事象をまとめた本などが多数出るのは出版の常だ
が、80年代末に東京近郊で起きた宮崎勤による「連続幼女誘拐殺人事件」は当時の
世の中に大きな衝撃を与え、マスコミを騒がせただけでなくいくつもの本を出させた。本
書はその代表的なもので、ミヤザキ君と同世代の文化人達の手による「M世代の旗手
が語る90年代の倫理」―――帯惹句。執筆陣は、いとうせいこう・大泉実成・香山リカ・
手塚眞・横内謙介・矢崎葉子・山崎浩一。大塚英志と中森明夫の対談を収める。この
ミヤザキ君の起こした「事件」の特殊なことは、同世代のオタク的文化人が彼にシンパシ
ーを抱いて時代と自分を饒舌に語っていたことだ。これは、犯罪史上特異な現象だった。
今、本書を読み返すとあの事件の、というより、あの時代の風俗・雰囲気の記録としての
部分の方が面白く興味深い。僕らはこんなことをあの頃考えていたのかってことだ。
※美本ですが、とこどころ鉛筆で前所持者の感想書き込み有り。
価格
\800
D−a036−014
君は宮崎勤をどう見るのか 宮川俊彦
 中野書店 1989年 初・帯 B 1200円
 もし私たちが「死刑にしろ」「死ね」「許せない」という言葉しか持たないとすれば、この
青年の人間像も、彼の行為が私たちにつきつけた意味もわからないで終わってしまう
のではないか。果たしてこの事件に対して私たちの社会はどんな言葉を持つことができ
たのだろうか。私は興味を持ち、新聞紙上に発表されたコメントを集め、検討し始めた。
それがこの本の誕生のきっかけであった――プロローグから。★幼女連続殺人事件以
後多数出版された“事件本”の一冊で、著者は国語作文教育研究所所長。作文研究指
導に長く携わった立場から、宮崎君自信の作文や手紙、事件を語った識者の発言など
を元に事件を読み解いていく。※本文はキレイですが、ところどころ鉛筆書き込み傍線
有。帯は外され本に挟まれていました。
価格
\700
D−a036−015
音の犯罪捜査官 鈴木松美 徳間書店 1994年 帯 B 1500円
誘拐犯、凶悪犯、航空機事故から暗殺者まで声が追いつめた10の事件秘話――帯惹
句。★表紙に声紋鑑定の事件簿と副題がついているように、著者は元科学警察研究所
/日本音響研究所長の肩書きを持つ、音の専門研究家。彼が携わった「甲府信金OL
誘拐殺人事件」「アキノ氏暗殺事件」、「吉展ちゃん誘拐事件」「大韓航空機墜落事件」等
“声”や“音”が決め手となった事件などを回顧したもの。音の世界もまたこんなに深く広
いものだとは…。※本文の程度はキレイです。
価格
\700
D−a036−016
墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便
飯塚訓 講談社 1998年 帯 B 1500円
 あの時から13年が過ぎた……。520人、全遺体の身元確認までの127日を最前線で
捜査にあたった責任者が切々と語る――帯惹句。★著者は、1985年、墜落事故発生時
高崎署刑事官で、身元確認班長として事故の現場に立ち会った。事故発生の報告から
合同慰霊祭までの当事者ならではの想像だにしえない悲惨で貴重な記録。これもまた
ひとつのプロジェクトXだ。※美本・状態良し。
価格
\700
D−a036−017
死体は生きている 上野正彦 角川書店 1990年 帯 B 1200円
★ご存知、前東京監察医務院長であり医学博士の上野先生の死体にまつわる記録簿。
90年代初頭のベストセラーだった。「死者の無言の言葉が、生者を裁く。だから、法医学
はおもしろい!」――帯惹句。とあるように本来、人から忌み嫌われる死者の世界をマジ
メかつ面白く語って今読んでもホント面白い。※本体も程度はキレイですが鉛筆傍線有。
☆他の上野先生の「死体シリーズ」本は、店頭の均一棚に売れ残っていればあります。
価格
\600
D−a036−018
裏本時代 本橋信宏 飛鳥新社 1996年 初・帯 A 1700円
 この本は1980年代初頭に突然湧いたアンダーグラウンドカルチャーとしての裏本の
世界と、そこから派生したサブカルチャー的媒体誌としての「スクランブル」をめぐる記録
である――帯裏惹句より。★裏本という男女の性交写真を一冊の本に仕立てて流通させ
空前の利益をあげていた“会長”こと、後のAV監督「村西とおる」と出会った26歳の“僕”
の目を通して見た、闇の出版ビジネス業界の栄枯盛衰史。文句なしに貴重な記録であり
面白い。そして何よりも青春の輝きがそこにはあった。最近文庫化されたけれど当店一の
お奨めです。※表紙装画安西水丸。
価格
\1,200
D−a036−019
三文ガン患者 谷岡雅樹 太田出版 2001年 初・帯 B 1700円
『Vシネマ魂』で知られる映画評論家が、「32歳・胃の全摘出手術」という体験の中から
叩きつける、型破りの闘病レポート!――帯惹句。★Vシネマ中心に精力的な評論活動
を行っている著者は、95年に胃ガンが発覚。以後手術・闘病生活・再発の不安と現在に
至るまでの心の軌跡をまとめた闘病記の一種だが、この手の本にありがちな、頑張って
いる自分を誉めてげたい、というスタンスは微塵もないのに感心する。そこにあるのは、
冷徹といっていいほどの客観だけだ。谷岡は言う「――人が死ぬのは必ずやある状況
に殺されているからであって、巡り巡って多くの者が殺しに手を貸しているのである」と。
彼が読みまくったガン闘病記の中から選りすぐった40冊の辛口ブックガイドも収録され、
同病で悩み迷う人にとっても羅針盤の役割を果たす枕頭の書である。
価格
\1,400
D−a036−020
こちら泌尿器科110番 入沢俊氏 
草思社 1990年 帯 A 1600円
ペニスが折れた! 勃起したまま小さくならない! 小便が出ない!精力が衰えた!
包茎・短小を救って! 性と排泄をめぐって今日もセックス・ドクターは大忙し――帯惹句。
★著者は三代に渡る泌尿器科医の家に生まれ東北大医学部講師を経て現在喜多方市
で医院を開業している泌尿器科医31年のエキスパート。セックスに関する悩みだけでなく、
男性器全般のありとあらゆる悩みと病気の症例が詳しい図版入りで解説されている。実用
かつ面白く読んで蘊蓄を傾けることができる男性必須の本。女も大変だが、男だってなか
なかいろいろと大変なのである。
価格
\1,200
D−a036−021
バンカーズ 山崎洋樹 JICC出版局 1992年 帯 B 1400円
資金面では第一勧業銀行に抜かれ、収益性では住友銀行に抜かれ、かつての都銀第一
位の名声にしがみついているF銀行。この病める大銀行に就職した若き銀行員の体験。
そこは、想像を絶する奇妙な世界だった!――本書帯惹句。★というわけで、今最もホッ
トな問題となっている銀行業界の内幕暴露本の一種なんだけれど、これもまたひとつの愛
と出会い別れの青春群像。アンビリバボーな実態を描きながら爽やかな読後感。銀行を舞
台にした青春小説だ。どの業界も実はヘンで異常で、それがヘンでも異常でもなくなったと
きに社内では生きていけるが人は死んでいくのだろう。業界用語の注解つき。
価格
\700
D−a036−023
食を想像した男たち 島野盛郎 ダイヤモンド社
 1995年 初・帯 B 1700円
日本人の食生活を変えた五つの食品と五人の創業者――副題。★本書は、ケチャップ=
カゴメ、カルピス、ウイスキー=サントリー、マヨネーズ=キューピー、カレー粉=ヱスビー
食品と、今日の日本の食卓に無くてはならないヒット商品を考案・開発した創業者達の足
跡を辿り、現在の後継者にもインタビューをおこなった労作である。カルピスの誕生秘話、
S&Bカレー粉のSとBの由来など知ることができ蘊蓄を増やすには格好の書だ。
価格
\800
D−a036−024
ホテル料理長列伝 岩崎信也 柴田書店 1984年 B 1500円
★現在では、もはや伝説的料理長として日本の西洋料理の歴史に名を残す“食の達人・
名人”と呼ぶべき帝国ホテルの村上信夫、丸の内ホテルの斉藤文次郎ら10人の名だた
るホテルのレストランのシェフたちの半生を本人から聞き書きしまとめあげた貴重なルポ
ルタージュ。日本の洋食の歴史やホテルレストラン史を知るのに格好の書でもある。
価格
\700
D−a036−025
喜びは悲しみのあとに 上原隆 幻冬社 
1999年 初・帯 B 1500円
各紙誌書評で絶賛された、名作『友がみな我よりえらく見える日は』で静かなブームを呼ん
だ上原隆の第二弾―――帯惹句。★デパートの実演販売の男、障害のある子供を持った
作家、倒産した新聞社の社員、日本で働く香港人女性、子殺し事件の裁判をいつも傍聴
する女…名も無き市井の人々の悲しみと喜びを淡々とした筆致で描き出す好著。人生に
ちょっと疲れた人にお勧めの癒し系本です。※文中に一部鉛筆による書き込み・線引きあり。
価格
\700
D−a036−026
「宗教時代」いま日本人のココロに起こっていること
 米山義男編 晶文社 1988年 B 1900円
「幸福」ってなんだ? 「生きる」ってなんだ? お金も、医学も、政治も答えを与えてくれな
い。22歳から78歳まで47人の人々が探しあてたもの―――表紙副題。★氏神様から創価
学会、お地蔵様から大本教、さらにはイスラムからイエスの箱船、真言密教まで、何を信じ
るかはその人の自由だが、本書は、当時のほとんどの宗教を網羅し、実際に信仰生活を
営む人々に直接問い、彼らの証言を500ページにも及ぶ大部の書にまとめ上げた労作で
ある。あのオウムが入っていないのが不思議な気もするが、それは編者の見識かもしれな
い。エスパーの清田君のインタビューも入っている。読み終えると目に見えない何かが確
かにあると気づかされる。※本書の一部に鉛筆での書き込みが少々あります。
価格
\900
D−a036−027
タイの象 桜田育夫 めこん 1994年 初・帯 B上 2575円
「タイ人にとって象は犬や猫、《略》“単なる動物”とは違う存在らしい。象は特別なのだ。と
すれば、タイ人あるいはタイ国と象との関わりあいをいろいろな面から取り上げて、つまり
象をキーワードにしてたぐっていけばタイの文化、社会、タイ人の心情といったものが少し
は見えてくるのではなかろうか―――はじめに抜粋。★タイトル通りのタイ国における象に
ついての百科事典とも呼べる400ページを超える大部の労書である。内容は、アフリカ象と
の違いから、タイ国の像の実体、象の仕事ぶり、タイ仏教と神話と象、日タイ両国を結んだ
象、象の捕獲、物語の中の象、果ては象みやげやアクセサリーまで言わばこれ一冊でタイ
の象についてすべてが分かるコンプリートブックである。タイ国と象を愛するすべての人に
捧げるオススメの書。
価格
\1,700
D−a036−028
さまよえる埋立地 【江戸TOKYO湾岸風景史】 石川雄一郎 
農文協 1991年 初・帯 B下 1500円
湾岸埋立地を「整地」として使うには不安さが尾を引く。けれど放置された「裸地」のままで
あれば、自然は、ふてぶてしいまでの強さを生む――。その「裸地」とのつき合い方を、江
戸TOKYOの歴史から、二次自然がつくる眼前の風景から学んでみよう――表紙見返し
抜粋。★東京湾の埋め立て地の歴史を江戸から今日までに渡って詳細に調べあげ分析し
た良書。紙質は戦後のザラ紙みたいに悪いが好写真地図図版を多く収録。ポケットガイド
として湾岸散策に持ち歩くにも役立つ。
価格
\700
D−a036−029
時を越えた旅人 ――グランド・キャニオン縦断―― 
コリン・フレッチャー/新島義昭訳 冬樹社 1989年 帯 B下 1200円
売り切れました!
経験と体力を頼りに、世界最大の峡谷を端から端まで初めて徒歩で踏破した全記録。
ウォーキングの達人が贈る、魅力と興奮の紀行文―――帯惹句。★本書は、達人コリン
・フィッチャーが二ヶ月がかりで峡谷を初めて徒歩で踏破した記録の全訳(訳者あとがき)
だそうだが、高度差と灼熱、極寒の人間にとって非常に厳しい危険な土地を歩いたという
だけにとどまらず、その詳しい自然描写と自然に注がれる視線からは著者が秀れたナチ
ュナリストであること、この本は、グランド・キャニオン版ソロー『森の生活』だとよくわかる。
※挿画 沢野ひとし 装幀彩画 荒川じんぺい 裏表紙カバー上部にやや破れアリ。
価格
\700
D−a036−030
新西洋事情 深田祐介 北洋社 1976年 帯 C 980円
大宅壮一ノン・フィクション賞受賞! 「珍しく審査員全員がイエス票を投じ、ノー票が一つ
もなかった。(中略)アタマとコトバの教養に読者を導こうとせず、生活の直下な次元に眼
をすえる姿勢が大きな功徳である。あざやかな才筆であった」《開高 健評》――帯惹句。
★今日ではこの手の海外生活異文化見聞録はありふれて珍しいものではないが、昭和中
期、高度経済成長のただ中での駐在員達の“現地”の生態をユーモアを交えて報告したと
ころに本書の価置があった。今日読み返すと微苦笑を禁じ得ないが、もはや古典である。
かつてのベストセラー本。※本体ビニールカバー装。やや黄ばみアリ。
価格
\400
D−a036−031
叢書 20世紀を動かした人々1. 世界の知識人 講談社 
昭和39年 初・箱・帯 B 390円
天才的頭脳と行動力を以て近代に生きた知識人の肖像――マルクス=吉本隆明 ロラン
=武谷三男 ラッセル=渡辺一衛 柳田国男=橋川文三 ガンディー=久野 収 ※責任
編集 久野収 鶴見俊輔 ※箱ヘタレ、月報付き。
★20世紀が終わろうとした90年代末には、この世紀を回顧、総括する特集本や、年ごとに
まとめたグラフ誌、ムックなどが多数出版されたのは記憶に新しい。しかし、戦後まもない
といってもいい昭和39年に早くもこのような20世紀を統括する全集が出ていたのは不思議
な気もする。考えてみると、この年は東京オリンピックで高度経済成長に湧いてもはや戦
後ではなくなっている年だ。今日思うと、60年代半ばにして20世紀をひとまとめにしてしまう
のは大いに無理があるというのが常識だが、この頃は、悲惨な戦争も過去のものとなり日
本は復興を果たし、未来はバラ色に輝いていた時代であるからこうした企画が早くも発案
されたのではと勘ぐる。さておき、20世紀を動かした偉大な人々をテーマごとに分けてスポ
ットを当て当時最高の知識人、論者が責任編集し、執筆とまとめ上げたこのシリーズは、
大宅壮一責任編集の16巻目で完結するのだが、、何冊か欠本はあるものの、他の本は、
均一棚に置いたので、そちらから注文をお願いしたい。一応、全16巻各巻のタイトルごと
俎上に乗せた著名人とその執筆者を記しておく。
2.近代日本の思想家 福沢諭吉=河野健二 中江兆民=桑原武夫 西田幾多郎 上山
春平 吉野作造=樋口謹一 大杉栄=多田道太郎 ※責任編集桑原武夫
3.自然の謎に挑む アインシュタイン=矢野健太郎 パヴロフ=岡本彰祐 キュリー夫妻
=村上悠紀雄 北里柴三郎=丹羽小弥太 仁科芳雄=菅井準一 ※責任編集菅井準一
4.技術革新への道 エジソン=星野芳郎 デュイスベルグ=前田哲郎 フォード=井上
忠勝 豊田佐吉=石井金之助 大河内正敏=岸田純之助 ※責任編集星野芳郎
5.真理の旅人 キルケゴール=桝田啓三郎 タゴール=山室静 シュヴァイツァー=浅
井真男 ブーバー=長谷川進 内村鑑三=矢内原伊作 ※責任編集山室静
6.モラルの解放者 ニーチェ=氷上英広 フロイト=高橋義孝・生松敬三 ロレンス=
羽矢謙一 クロポトキン=秋山清 平塚らいてう=井手文子 ※責任編集伊東整
7.近代芸術の先駆者 セザンヌ=寺田透 ロダン=高田博厚 ゴッホ=宇佐見英治 
ピカソ=渋沢龍彦 ル・コルビュジエ=坂倉準三 ドビュッシー=北沢方邦 ※責任編集
小林秀雄
8.大衆芸術家の肖像 チャップリン=山田稔 ドイルとフーディニ=加藤秀俊 ハーゲン
ベック=大宅壮一 黒岩涙香=鶴見俊輔 桂春団治=富士正治 桃中軒雲右衛門=花
田清輝 ※責任編集加藤秀俊
9.世界の富の支配者 モルガン=小原敬士 クルップ=岡倉古志郎 ロスチャイルド兄
弟=中木康夫 タタ=中川敬一郎 岩崎弥太郎=楫西光速 ※責任編集岡倉古志郎
10.近代日本の政治家 大久保利通=遠山茂樹 伊藤博文=宇野俊一 原敬=松尾尊
~ 犬養毅=今井清一 近衛文麿=藤原彰 ※責任編集遠山茂樹
11.現代世界の政治家 チャーチル=江口朴郎 ルーズベルト=清水知久 スターリン
=相田重夫 ヒトラー=斉藤孝・吉田輝夫 毛沢東=立野信之 ※責任編集江口朴郎
12.民族解放の星 孫文=貝塚茂樹 レーニン=猪木正道 ネールー=坂本徳松 チト
ー=高橋正雄 ナセル=西野照太郎 ※責任編集貝塚茂樹
13.反逆者の肖像 トロツキー=松田道雄 ローザ・ルクセンブルグ=松岡保 幸徳秋水
=飛鳥井雅道 河上肇=橋本峰雄 北一輝=高橋和己 ※責任編集松田道雄
14.未知への挑戦者 シュリーマン=村田数之亮 ヘディン=岩村忍 リヴィングストン=
勝藤猛 バード=加納一郎 河口慧海=藤吉慈海 ※責任編集岩村忍
15.マスメディアの先駆者 ピューリッツァー=香内三郎 ノースクリフ=内川芳美 村山
龍平=荒瀬豊 野間清治=掛川トミ子 正力松太郎=高木教典 ※責任編集日高六郎
16.アイディアに生きる トーマス・クック=栗原孟男 メーシー=鳥羽欽一郎 スタットラー
=鈴木博 小林一三=青地晨=ラスカーとホプキンス=遠藤健一 マイク・トッド=岩崎昶
 ※責任編集大宅壮一 今日から見ると、この頃は有名だったがその後時代と共に忘れ
去られた人などもいてはなはだ興味深い。また執筆者の中に渋沢龍彦、矢内原伊作、富
士正晴、高橋和己、花田清輝ら今日ではビッグネームがいるのも今では貴重だ。
価格
\500
D−a036−032
叢書 20世紀を動かした人々8. 大衆芸術家の肖像 
講談社 昭和39年 初・箱・ B 390円
チャップリン=山田稔 ドイルとフーディニ=加藤秀俊 ハーゲンベック=大宅壮一 黒岩
涙香=鶴見俊輔 桂春団治=富士正治 桃中軒雲右衛門=花田清輝 ※責任編集加藤
秀俊
★このシリーズで一番豪華な執筆者が集ったのがこの8巻目。付録の月報では、徳川夢
声と尾崎秀樹が対談している。取り上げられた人々にふさわしいメンツを揃えたというわけ
だ。個人的には、黒岩涙香という人物に惹かれる。講談社の野間清治に並ぶ大出版人、
編集者であり、かつ翻訳家(超訳家?)としても数多くの作品で後世に名を残す、一言で
はくくれないまさしく“巨人”。その翻訳に至っては、原書を紐解くことすらなく題だけを眺め
て筆を進めたという「伝説」の持ち主で、レ・ミゼラブルを「噫、無情」、モンテ・クリスト伯を
「厳窟王」とと訳すことぐらいは朝飯前。最近、内田魯庵が再び脚光を浴びているが、この
黒岩ジャーナリズムの全容も未だ正確に全貌を明かされていないように思える。本格的再
評価が望まれる。※箱ヘタレ、ビニールカバー破れ、月報折れ目あり。
価格
\800
D−a036−033
事件のはじまり 現在という出来ごと 朝倉喬司 
王国社 1993年 初・帯 B 1800円
…少なくとも、事件は治癒さるべき対象としての輪郭をもっていた。この輪郭がいつのころ
からか大幅に崩れ、こちらの目にみえない部分にこそ「病因」がはびこり、広がっている
気配は強く感じられるのだが、それが気配以上のものとして伝わってこない、すなわち
“内出血”的な事件が多くなったのである―――あとがきより。★気鋭のジャーナリストに
よる、80年代末から90年代はじめにかけての時代の記憶。いわゆる「事件」の裏面史や
当事者の内面を考察するルポだけでなく、雑多な雑誌に発表された当時という「時代」を
記録した多角的ルポ雑文集。貴花田、宮沢りえ、大林雅子、桜田淳子と統一教会、冬彦
さん、皇太子の婚約、そして今田勇子…。ついこの間の事件がかくも遠く、懐かしささえ
覚えるのは何故だろうか。だが、この「過去」は今もずっと続いていて、その出血の度合い
はいよいよもって激しさを増す一方なのである。あの時代をもう一度検証してみたい方へ。
価格
\700
D−a036−034
ちびくろサンボ』絶版を考える 径書房編 
径書房 1990年 B下 1751円
★僕らの世代で子供の頃、絵本『ちびくろサンボ』を読んだことのない者はまず
いないだろう。児童文学として古くから知られる人気作であったが、80年代末、
米国黒人団体などから「黒人差別を助長する有害図書」として抗議を受け、岩波
書店版も含めあっという間にすべて廃刊・絶版となってしまった。本書は、その
「事件」のきっかけとなった「黒人差別をなくす会」を作り活動している一家への
インタビューから絶版までの全経緯を発行時点で可能な限り全て、内外の関係
者、識者のコメントまで網羅し、絶版の是非及び「サンボ」はそもそも黒人差別図
書であるのか、そして差別とは何かということまで踏み込んで事件の全容をあま
ねく記録している。巻頭に収録した「サンボ」の原書のイラストも興味深い。また、
巻末に絶版に批判的な立場をとる岸田秀・竹田青嗣らの対談も収録して「差別」
に関し縦横無尽に語らせている。実際、差別問題というのは非常に難しく簡単に
は答えが出ない。だが大事なことはともかくまず考え、知ることだ。黒人差別に限
らず“差別”“被差別”という意識に関心がある人にはまさしく必読の書である。
※ところで誰か「サンボ」の絵本持ってませんか。紙ゴミの日など出ていないかと
マスダはずっと探しているのですが、未だ入手できないもんで。
価格
\900
D−a036−035
日本人の黒人観 ジョン・G・ラッセル 新評論 
1991年 初 B 1648円
80年代末、ある一親子の告発から突然巻上がった、絵本『ちびくろサンボ』
黒人差別図書事件。結果として私たちが幼少の頃より慣れ親しんだ旧版
『サンボ』は絶版となったことは記憶に新しい。しかし、日本人が持つ黒人へ
の差別的イメージは『サンボ』のみにとどまらないと本書の著者は説く。副題
に「問題は『ちびくろサンボ』だけではない」とあるように、日本人の持つブラ
ック・アフリカンに対するイメージは古くより偏見と差別に満ちていると指摘す
る著者は、在日アフリカ系米人。幼少の頃より、「アストロ・ボーイ」に心酔し
長じて日本文化を学ぶため来日し、そのステロタイプ化した黒人像にふれて
失望したと言う。戦前の『冒険ダン吉』で描かれた“土人”から手塚治虫、山
上たつひこ、さいとうたかをに至るまで、数々の図版・資料を基にいかに私
たち日本人の持つ“黒人”のイメージが画一的でステレオタイプされたもので
あるのか実証している。また、その差別的イメージの“源流”についての考察
も深く面白い。非常な労作であり本書によって気づかされる点も甚だ大であ
った。中でも手塚治虫が鉄腕アトム=アストロ・ボーイのアニメが米国で放
映される際、彼が描いてきた“差別的”黒人像の指摘を米人から受けたこと
をさらにまたマンガに描きギャグとしたことに関し「手塚は生涯、彼自身の持
つ差別意識に無自覚であった」との指摘は鋭く大変興味深い。本書を読ん
で、差別とは、そこに客観的に差別が存在するか否か判断を待つまでもな
く、また差別する側がある人々を差別しているという意識のあるなしではなく
つまるところ、差別される側が“差別を受けている”という意識を持つかどう
かであることにようやく気づかされた。本書は差別問題に関心のある人必読
の書であるが、それ以前に読み物としてともかく面白い。当店一押しのオス
スメ本。
価格
\800
D−a036−036
海外の教科書にみる 異国ニッポン・グラフティ
JATEC出版 1983年 帯・初 BD 980円 
ビックリするような誤りや日本人も知らなかった珍しい写真、真実を鋭くついたイラスト
等、20余年の調査活動、2万余点の海外教科書のなかで表現されている“異国としての
日本像”を、ビジュアルに再現――帯惹句。★海外の教科書でとんでもない内容で紹介さ
れている日本の姿を集めてそのヘンさ、いい加減さを面白がるだけならば今日はやりの
トンデモ本の元祖であると思えるが、著者名がなく、編集協力として(財)国際教育情報
センターと表記されているように、こうした由々しき事態があるので日本は海外から誤解
されてしまう、海外摩擦の原因にもなると問題意識から作成されたマジメな本。でもその
図版の多くにはどうしても笑ったり首を傾げたりせざるをえない。本書が出てからもう20年
経過しているので現在ではまさかこんなにヒドイ誤解、無理解は改善されていると信ずる
が、根本的な部分では日本側でさえもお互い相容れない誤認識を持っているのではない
か。本書の中でもアングロサクソン系諸国、特に英国のカンチガイ度が高いことが目を
引く。そこには英国人特有の国民性が大いに関係しているように私は思える。巻末に、
「どう突き破る日本理解の壁」と題して永井道雄、ドナルド・キーンらによる討論が収録さ
れている。※本書は保存状態があまり良くなく、帯と表紙下部にネズミ?による囓り破損が
あります。読むのにはまったく問題ありません。
価格
\600
D−a036−037
これからどうなる21 予測・主張・夢――
岩波書店 2000年 初・帯 B 1900円
パソコン、携帯電話、プロ野球からガン制圧、首都移転、憲法、核まで各界の第一人者
241人による21世紀への大胆な展望!――帯惹句。★世紀の変わり目には来るべき時
代を予測するこの手の本が数多く出るものだが、これは、2000年1月付けで岩波書店が
出した21世紀の予測本。五十音順にランダムな事象に関し、明石康から和田光弘(アム
ネスティ・インターナショナル日本支部長)まで何と241人の各界の“第一人者”がそれぞ
れ自分の専門分野に関して400字×3,4枚程度の分量で執筆している。見開きで一枚
程度だから読みやすいが、あまりに雑多な事象の羅列でとりとめがないようだが、これは
これで時代の記録と呼べるのだろう。個人的に興味深いのは人選が極めて岩波的だと
いうことだ。政治家では、菅直人、志位和夫、土井たか子、橋本大二郎、辻元清美らが
並び、自民党など保守派がほとんど登場しない。またサブカル系知名人と呼ぶべきか、
芸能人的なその種の人選が少ない。横尾忠則、照屋林賢、香山リカが登場する程度。
清水ちなみ(OL委員会)とかに場を与えるならもっと他に人はいるだろうと突っ込みたくも
なる。あくまでも学者や研究者などマジメ系中心に選択された人選がとても岩波的だと思
う。これが扶桑社などで出せば、小林よしのりなどを中心にまったく違う人選となるだろ
う。ともかくこの種の本は、何十年か時間が経過した時にようやく価値(面白さ)が出る
もので、それまで大事に保存しておかねばならないのだ。それでもわずか数年で辻元の
ように威勢のいいこと書いていたのに“過去の人”となってしまう人もいて、人の世の浮き
沈みに感慨深いものがある。※小口などにややシミがありますが程度は悪くないです。
高さ約3、5センチ弱。全ページ500ページ。重さは…かなり重いです。
価格
\900
D−a036−038
ニューハーフという生き方 
なぜ“彼女”たちは男を捨て女を選んだのか
猫目ユウ ごま書房 1998年 初・帯 B 1200円
●売り切れ!
差別、偏見、絶望……すべてを乗り越え、自分らしく生きることを選択した8人の
ニューハーフたちの全記録〔プライベートフォト満載〕―――帯惹句。
★最近ではニューハーフという言葉は性同一性障害という言葉に取って変わられ
つつあるような気がするが正確にはこの二つは厳密には違う。男に生まれて女に
なりたいと思うのがニューハーフで、女なのに男に生まれてしまったのが性同一
性障害の人たちなのだ。ニューハーフというのはあくまでも自らが男であり、男で
あったと認識していることが本書読むとよくわかる。テレビやマスコミでも知られ
る、ニューハーフヘルスを経営しているあいだ りな(ジェニー森川)を始め、やは
りニューハーフクラブなどを経営している、松井玲子など業界有名人から市井の
一般人ニューハーフまで8人が語る過去と現在、そしてこれから。彼女たちのヌー
ド写真も収録された発売当初話題の本。
価格
\1,200
D−a036−039
視力のない世界から帰ってきた ロバート・V・ハイン
/山田和子訳 晶文社 1997年 帯 B 2300円
★目が見えること、そして目が見えないということはどういうことなのか。男と女
がどれほど分かり合えたとしても、根本的にお互いの性の感覚を理解できない
ように、健常者は盲人の感覚を、盲人は目が見えるという感覚を理解できない
に違いない。本書の著者は米国の歴史学者。青年期からリウマチに起因する
ブドウ膜炎を患い中年で失明、盲人としての人生を送ってきた。しかし、15年
後、手術により奇跡的に視力が回復、その両方の世界を経てきた体験を学者
として冷静に分析、まとめあげた。例えは悪いが一度死んで生き返ってきた人
は、その“生”の喜びをどのように表現するだろうか。本書にはそうした喜びが
満ちている。そして何よりも見えるという感覚についての省察は興味深い。だが
著者は盲人の感覚を決して卑下していないことだけは記しておく。これはひとつ
の「人生論」の書なのだ。
価格
\450


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