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注1 堡塁と要塞の違いについて 「8月の砲声」(バーバラ・W・タックマン著 山室まりあ 訳 筑摩書房)などでは、リエージュ周辺の防御施設を”堡塁”と表現している。そこで、要塞と堡塁の違いを少し調べてみた。 小学館 日本国語大辞典によると 堡塁・・・敵の攻撃を防いだり、敵を攻撃したりするために、石・土砂、コンクリートなどで構築されたとりで。 要塞・・・@国境などで、攻守に好都合な地にもうけられたとりで。A国防上重要な場所に設けられた軍事的な防御施設。 となっていて、大して違いはない。 国書刊行会 大日本兵語辭典では、堡塁も要塞についても、なんの解説もなかった。 寺田近雄 著 日本軍隊用語集によると、堡塁については、別の用語「橋頭堡」の解説の一部に「その橋に堡塁(陣地)を築いて・・・」と解説している。また要塞については、軍事的に重要な地を守るとりで。と解説している。これは、日本国語大辞典の堡塁ともさしたる違いはない。いささか、堡塁を簡素な防御施設のように解しているようだが、この著者は1930年生まれなので、年齢から推定して元重要な軍人さんとは、思えない。(終戦時15歳くらいだから)よって、この本を持って堡塁を簡素な防御施設と解説できると断定できない。 インタープレス発行の英和・和英軍事用語辞典20000では、要塞も、堡塁も両方とも英語でfortと訳している。 以上のことより、堡塁と要塞は大した違いはないと思われ、リエージュの回りにある防御施設については、堡塁とも要塞ともどちらで名付けても問題ないと思わる。 そこで、要塞の方が世間一般に馴染みやすく、堡塁と訳すとなんかちゃちな防御施設と勘違いされる恐れがあるので「要塞」という言葉を用いることにした。 ←本文に戻る |