琢磨会　　　　　　　　　　

　琢磨会は、大東流合気柔術中興の祖、武田惣角より唯一人免許皆伝を受けた、優れた知性派の武道家久琢磨を中心に、その門弟たちによって結成された武道団体である。

　久琢磨は明治28年11月３日、高知県安芸郡佐喜浜に生まれ、大正４年神戸高商（現・神戸大学）に入学、相撲部主将として活躍した。卒業後鈴木商店に就職したが、神戸高商の先輩石井光次郎に誘われ朝日新聞社に入社した。庶務部長在職当時、社業の一環として、植芝盛平を招いて指導を受け、次いで武田惣角より厳しい稽古をうけた。久琢磨は植芝盛平・武田惣角より指導を受けた技を写真に収めて総伝１０巻にまとめた。現在これが大東流合気柔術の初伝から皆伝まで多数の技法資料として琢磨会に伝承されている。

惣角の門人は３万人ともいわれ、植芝盛平をはじめ多くの教授代理がいた中で久琢磨は、昭和14年３月武田惣角より唯一人の免許皆伝を許され、以後この武道の保存普及に尽力した。昭和34年関西合気道倶楽部を開設して後進の指導に当たっていたが、昭和50年久琢磨を中心に門弟達によって団体が結成され、千葉紹隆の提案により琢磨会と称することとなった。

　久琢磨は昭和55年10月31日他界したが、事後を託して任命された森恕総務長のもと、一致団結して正しい技法を研究錬磨し、さらに次代へ伝承すべく、次のような活動や行事を行っている。

　・門弟および会員の指導と拡大 ・昇級昇段審査会 ・機関誌の発行 ・合同稽古 ・指導者研究会 ・演武大会

　昭和54年、財団法人日本武道館が、文部省の後援を受けて作成した記録映画第１号に、大東流合気柔術がとりあげられ、琢磨会の人々が中心になって出演したことに、古武道界における琢磨会の評価をうかがうことができる。

　発足当初７支部であったが、現在海外もふくめ、５０以上の支部同好会を数えるに至っており、益々その充実を図っている。